2007年07月31日

ミケランジェロ・アントニオーニ監督が死去

ミケランジェロ・アントニオーニ監督が亡くなったと、いま知りました。

最近はあまりにも悲しいニュースが多く、同日にベルイマンも亡くなったし、口にするのも躊躇われるほどですが、先日はエドワード・ヤンが若くして亡くなったし、ショックが止まれぬ、映画界にはあまりに辛い年になりました。

生涯で最も影響を受けた映画の一つが、アントニオーニの作品でした。

特に、何といっても『砂丘』(Zabriskie point/1970)。
劇場に何度も通って何度も何度も何度も繰り返し観た作品ですが、言葉にならないな、本当に好きです。
俺にとっては至高の映画の一つです。
あんな映画を俺も撮りたいと、今日の昼間にも偶然か否か、シーンを思い起こしながら考えていました。

ベルイマンもアントニオーニも90歳前後での死去であって、自分でもある程度心構えというか覚悟は出来ていた気もするのですが、何だろうか、この喪失感は。

俺は死ぬまで、彼等の作品を繰り返し観ることができる。

それはとても幸せなことなのだけれど、そしてそれを望んでいるはずなのだけれど、止まれぬ喪失感がある。

悔しいです。

ご冥福をお祈り致します。
posted by 井川広太郎 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(1) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2007年07月30日

Lost in Seoul 01

アウトライン

映画祭について

Cindi2007(cinema digital seoul 2007_film festival)は今年、韓国のソウルで初開催されたデジタル映画(通常の35mmフィルムではなくハイビジョンやDVなどデジタル機器を使って撮影や制作されたもの)のみを扱う映画祭である。

その趣旨を、閉幕式での実行委員長の挨拶から引用すると 「この映画祭には3つの大きな成果があった。デジタル映画だけでも映画祭が可能だということを証明したこと、デジタル映画の新しい未来に対して一緒に論議するようになったこと、そしてアジアの若き映画人たちと出会ったことだ」。

初開催の映画祭であって、上映作品は40本(うち、コンペ部門は20本)と規模は決して大きくはないが、映画祭スタッフや審査員などには世界各国から超一流の映画人が結集し、取り扱われる作品も話題作から新進気鋭のものまで、そうそうたるラインナップであった。



上映作品

期間中はコンペ部門を中心に観ていたのだが、俺は20本ほど観ることが出来た。

本当はもっと沢山観たかったのだけれど、ドキュメンタリーが多く、どれも英語字幕なので観ていて非常に疲れるので、1日3本が限界でした。反省。

言うまでも無くどれも刺激的な作品ばかりなのだが、さらに唸るような素晴らしい作品にも何本も出会えた。

監督賞を獲った『像と海』と『最後の木こり』は共に気に入った作品達であり、それぞれの監督達とはお互いの作品を観合って仲良くなっていたので、大変に嬉しい。

(大まかな上映作品に関しては以前の記事も参照して下さい)



ホスピタリティ

特にこの映画祭のホスピタリティ(もてなし)は素晴らしかった。

まず、ゲスト一人一人に担当のトランスレーターがアテンドとして付く。彼等の多くは学生のボランティアスタッフなのだが、そのお陰で我々はソウルで自由に過ごすことが出来るし、スケジュール調整や連絡も容易だし、映画や公式行事に集中出来るし、なにより言葉が通じない他国のゲストともコミュニケーション出来る。言うまでもなく映画祭の最大の楽しみは多くの人との出会いであるから、こういったホスピタリティで我々は本当にエンジョイすることが出来る。

同時に、気さくなパーティも頻繁に開催され多くの出会いを提供して頂いたし、心のこもった本当に嬉しい驚くようなプレゼントも頂き、本当に映画祭を楽しむことが出来た。



ソウルの3HOT

まず、着いて直ぐに暑さに参った。ソウルは東京よりは涼しいと聞いていたのだが、俺が発つ前の東京は涼しかったので、逆にソウルの方が暑く感じた。梅雨らしかったのだがまとまった雨には当たらずに済んだ。が、暑さには参った。

次に食べ物。辛いものが嫌いではないが苦手な俺はビクビクしていたのだが、想像を遥かに超える辛さに参った。ソウルに住むにはこれが障害になるなと心配になったのだが、韓国人には「すぐ慣れますよ」と言われた。が、滞在中は慣れるどころか、最後まで辛い食べ物に困った。美味かったけど。

最後は人々。映画祭のスタッフやゲストなど、出会った人々が皆素晴らしく気さくな良い人たちで、出会いを満喫出来た。特に数十名のボランティアスタッフ達が良い子ばかりで、気軽に話せるフレンドリーさが有り難かった。



タイトルについて

この映画祭の旅行記を書くにあたって、物凄く悩んだのだけれど、やはりタイトルをLost in Seoulにすることにした。

出来ればこのタイトルは避けたかったのだけれど、現地でも俺が何度も口にし、あるいは何度も人に言われたこの言葉が、一番真ん中にあるのには間違いない。

『東京失格』を日本で劇場公開してからほぼ一年が経ち、その間に幾つかの映画祭に行って、映画祭に行くということは毎度俺にとっては物凄く素敵で特別なことなのだけれど、やはりアジアの韓国のソウルということもあり、そしてこの旅があまりに素晴らし過ぎたので、俺にとって大きな節目になると思う。

実は俺個人的には、この旅の前後で明らかに自分の内面における変化を実感している。

それは口にすれば単純なことなのだが、実際にこう、心が動くのは物凄く難しいことだし、でもそれは以前から予感していて、それがソウルで起きたことには、やはり縁と言うか素晴らしさを痛感せずにはいられない。

実はかなりリアルにソウルで映画を撮ってみたくて、それが『Lost in Seoul』という映画であったら良いなとは思うのだけれど、何れにしろそれは失った感情を取り戻すという過程を描きたいと思っている。

今の俺にはそれしかねえなあ、と思う。

そういう部分を表現したり咀嚼したり達成するためには、やはり俺にとっては映画でしかなくて、そんなわけでソウルで大小無数の刺激を受けていまは映画を撮りたくて仕方が無いのだけれど、その準備と言うか、おさらいと言うか、何と言うか、これから旅行記を書いて行こうと思っています。
posted by 井川広太郎 at 19:11| Comment(4) | TrackBack(0) | ソウル旅行記2007 | 更新情報をチェックする

2007年07月28日

帰国しました

韓国のソウルで開催されたCinDi2007(Cinema Digital Seoul 2007)に参加し、無事帰国しました。

いや、無事なんかじゃないし。

あまりにも楽し過ぎて、物凄く充実していて、素晴らしすぎる日々でした。

全くもって夢のよう、早く誰かに話したくて仕方が無いほどの美しい出来事が語り尽くせぬほど無数にあるわけですが、なんといってもこの映画祭での沢山の人々との出会いが素晴らし過ぎた訳です。

400枚近い写真と共に近いうちに旅行記を書き始めますが、何でも良いから酒に誘って下さい。

貧乏な俺は奢ってもらわないと困るのですが、その分、オモロい話をいっぱい出来ます。



ちなみに、四つの賞のうちの一つである観客賞を頂きました。DSCN0977_2.jpg

おめでとー

ありがとー

観客に好かれる映画なんて、映画監督として最高の誇りです。

ソウル ノム チュアヨー

カムサニダー
posted by 井川広太郎 at 21:15| 東京 🌁| Comment(15) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2007年07月19日

明日からソウル

いよいよ明日、ソウルで開催される映画祭CinDi2007に参加するためにソウルに発ちます。

いや、なんだか物凄く緊張する。

映画祭そのものはヤル気も楽しむ気も満々なのだけれど、何より初のアジア旅行ってのがドッキドキ。

朝から落ち着き無くオロオロしています。

下調べや、荷造りやら、準備やら、出発前に済ませたい別件バウワーとか、何やら、やらなきゃいけないことが途方も無くあるのに、ソワソワしています。

アジア旅行って、どんなんでしょう。

ソウルに行ったことある人、教えて下さーい。
posted by 井川広太郎 at 11:42| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

3周年

うっかりしてました。

このBlogは7月14日に3周年を迎えました。

おめでとー

ありがとー

これもひとえに皆々様のお陰と感謝しております。



それにしても、俺はよっぽどパリ祭に愛されているらしく、今年も想像を遥かに超えたとんでもないトラブルに巻き込まれました。

「なぜなら今日は特別な日なんだ2007」と題した日記でも書こうかしらとほのぼの考えていたのですが、そんな感傷は吹き飛んでしまいました。

いや、なんつーか、人生の深みにズブズブと。

だからこそ、前に進むしかないのだなと改めて思い知りました。

辛いけど。



危うく自分を失ってしまいそうになりました。

いや、自分なんてちょっと失ってしまっているぐらいの方がちょうど良いのかもとも思う。

人生に立ち向かうんじゃなくて、人生と共に生きる感じ。

意味分からないけど。

俺には映画があって本当に良かったなと思いました。



そんなわけで、今後も宜しくお願いいたします。
posted by 井川広太郎 at 17:57| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2007年07月16日

Go To ソウル

というわけで、金曜から韓国のソウルに行きます。

2004年の日韓W杯では、新宿に集う日韓両国のサポーターを追ったドキュメンタリーを撮ったりもしたし、当然ながら大変に関心がありながら、俺は韓国に行くのは実は初めてです。

『東京失格』にとっては、1年前の劇場公開以来、初めてのアジアでの上映。

東京という都市を描いた映画ですので、ソウルという同じアジアの大都市に住む人がどう観るのかは大変に興味があります。

2つの都市の似ている点と異なる点が、ソウルのお客様ならではの視点として生まれ、それが『東京失格』という映画をさらに豊かにしてくれる。



CinDi2007『東京失格』紹介ページ

Reviewer's Commentとして、大変嬉しいことが沢山書かれています。

その中でも「ジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を彷彿とさせる」という一言には、全く恐縮ながら素直に嬉しい気持ちもあります。



ソウルに行きます。
posted by 井川広太郎 at 23:38| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京失格 | 更新情報をチェックする

2007年07月13日

ヒロシマナガサキ

ヒロシマナガサキ (原題:WHITE LIGHT/BLACK RAIN:The Destruction of Hiroshima and Nagasaki) 2007/アメリカ/1時間26分/配給:シグロ/ザジフィルムズ

製作・監督・編集:スティーヴン・オカザキ

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被爆者14人の証言 勇気という名の希望

本作は、アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞に輝いたスティーヴン・オカザキ監督が、25年の歳月をかけて完成させた渾身のドキュメンタリー映画である。
広島、長崎の原爆投下から60余年を経た今、日本でも記憶が薄れつつあるが、アメリカをはじめ世界の多くの人々はいまだその被害の実態を知らず、被爆者の現実についてもほとんど知られていない。
原爆の被害に対する認識と関心を、世界に呼び起こしたいと考えたオカザキ監督は、被爆者が高齢化していくなか、せきたてられるように日本を訪れ、実に500人以上の被爆者に会い、取材を重ねた。
14人の被爆者の証言と、実際の爆撃に関与した4人のアメリカ人の証言を軸に、貴重な記録映像や資料を交え、ヒロシマ・ナガサキの真実を包括的に描いた本作。被爆者の想像を絶する苦悩に向き合い、彼らの生きる勇気と尊厳を深く受け止め、私たち観る者を圧倒する。

今、作らなければ 今、伝えなければ

スティーヴン・オカザキ監督は1952年ロサンゼルス生まれの日系3世。英訳の「はだしのゲン」を読み広島、長崎の原爆投下に関心を深めたオカザキは、1981年に広島を初めて訪れ、被爆者を取材した第1作「生存者たち」(82)を発表。日系人強制収容所を描いた作品「待ちわびる日々」(91)でアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した。
アメリカでは原爆投下が「戦争を早期に終わらせ、日米両国民の命を救った」との認識が強い。オカザキ監督はヒロシマ・ナガサキの事実を伝え、核の脅威を世界に知らしめることを自分の役目と考えるようになる。
胎内被爆の現実にも迫った中篇「マッシュルーム・クラブ」(05)は2005年アカデミー賞にノミネートされた。
そして今年完成した「ヒロシマナガサキ」は彼のこれまでの映画人生のひとつの到達点ともいえる。

いつか来た道に、ふたたび戻らないために

現在、世界には広島に落とされた原子爆弾の40万個に相当する核兵器があるといわれる。また2001年9月11日の同時多発テロ以降、世界的緊張とともに核拡散の危機が急速に高まり、核兵器による大量殺戮が現実化する恐れも出てきた。
このような状況のなか、「ヒロシマナガサキ」は、2007年、広島に原爆が投下された日である8月6日に、全米にむけてテレビ放映される予定である。
本作は、アメリカのみならず世界中の人々に、広島、長崎で何が起きたかを知らしめ、核兵器の脅威に対して強い警鐘を鳴らす作品になるだろう。


公式サイト http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/

7月28日(土)より岩波ホールにてロードショー


この原爆に関するドキュメンタリー映画の最大の特徴は「アメリカ映画」であること。

日本人にとっては誰でも知っている当たり前のこと。

その当然のことが忘れられ、薄れ、描く事すらできなくなった現在の日本への贈り物だと思う。



あまりにも生々しい映像を避ける人がいるかもしれない。

しかし、それは、60年前に実際に避ける事も出来ずに苦しめられた人々への冒涜だ。

我々には、それを直視する義務がある。



悲しみは終わらず、傷は癒えておらず、事実は永遠に変わらない。

これからどうするのか、それ以前に知らなければいけない事がある。

知らないのなら、これから知れば良い。

無視するのは暴力だ。

我々は映画という力で、時間や国境や文化や全てを越えて分かち合うことが出来る。



戦争とか、暴力とか、平和とか、つまりは我々の日常にとって最も大事な記憶がある。

是非、観て下さい。
posted by 井川広太郎 at 23:37| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2007年07月10日

CinDi2007続報

今月の20日にソウルで開幕するデジタル映画祭、cinema digital seoul 2007_film festival(CinDi2007)の英語サイトが公開されています。

んなわけで今日はCinDi2007の上映作品をご紹介します。

【オープニングフィルム】
なんと!オープニング作品はデビット・リンチの新作『インランド・エンパイア』!
この映画は35mm作品ですが、撮影はハイビジョンで行われたようです。
こりゃスゴい!観るのが楽しみです!


【コンペティション】
『東京失格』もエントリーしているコンペ部門ですが、アジアの若手を中心に20本のラインナップになっています。

日本からは第35回ロッテルダム国際映画祭 NETPAC賞を受賞した廣末哲万監督の『鼻唄泥棒』、2007ベルリン国際映画祭フォーラム部門でも話題になった想田和弘監督の『選挙』、昨年のバンクーバー国際映画祭でもご一緒した中江和仁監督の『single』、それとTVディレクターとして活躍していたTAKAHASHI Naoharu監督の『Watsted Story』の計5本のようです。

他には韓国、中国、香港、マレーシアなどアジア各国から注目作が集まっているのですが、その中でも何と言ってもハン・ジェ監督の『Walking on the Wild Side』!
2006年のロッテルダム国際映画祭でタイガー・アワード受賞を始め、世界各国の映画祭で絶賛された超話題作。
っつーか、俺個人的には生涯最高の一本に数えられる映画なのです。
そんな映画と自分の作品が一緒に上映されるなんて、おったまビックリです。
非常に光栄に感じています。
サインをもらって来ようと思っています!


【招待作品】
招待部門は、世界中の巨匠達の作品が19本ずらりと並んでいます。

日本からは押井守監督の『立喰師列伝』、河瀬直美監督の『垂乳女』、諏訪敦彦監督の『不完全なふたり』の3本。

さらに、アッバス・キアロスタミの『10話』、エリック・ロメールの『The Lady and the Duke』と、超巨匠のお二方。
我が最愛の映画監督の一人であるロメールの作品であり、2002年の日本公開時には嬉々として劇場に走った映画と映画祭でご一緒出来るとは…長生きしてみるものですね。

その他にもトルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン『IKLIMLER』、中国のジャ・ジャンクー『Dong』、 中国のリュウ・ジャイン 『牛皮』、マリのアブデラマン・シサコ『バマコ』、アメリカのマイケルマン『コラテラル』などなど、そうそうたるラインナップ!!


CinDi2007は初開催であり、未知数の部分も多いのですが、この作品群を見ていると否応無く期待してしまいますし、素晴らしい映画祭になるのではと参加者の1人として楽しみにしています!
posted by 井川広太郎 at 12:14| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2007年07月08日

旅する映画

いよいよ本日、7月8日22時にエルサレム国際映画祭で『東京失格』が上映されます。

イスラエルとの時差は7時間なので、日本時間では9日の午前5時ということでしょうか。

何れにしろ、海外で『東京失格』を上映する時はいつもドキドキします。

ちゃんと上映されるのか、お客様はどれぐらいいるのか、どんな風に観られるのか。

物凄くドキドキしても俺にはどうしようもないので、平常心のフリをしています。


worldtour2.jpg

ところで、『東京失格』の上映都市を順に韓国まで最短距離で繋いで行くと、計8ヶ国でなんとなく地球を一周することに気付きました。

シネマアートン下北沢での劇場公開から一年かけて、ようやくここまで来たかという感慨。

いつか、あれだな、フィルムを背負って世界中を放浪して立ち寄った街の映画館に自分の作品を持ち込んで上映してもらう、そんな旅がしたいな。

また夢が広がった。
posted by 井川広太郎 at 17:30| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京失格 | 更新情報をチェックする

2007年07月05日

エルサレム国際映画祭開幕

今日、イスラエルでエルサレム国際映画祭が開幕します。

5日から14日まで、10日間のお祭りです。
いいなー、オープニングガラパーティとか、すんごいんだろうなあ。行きたかったなー。



エルサレム国際映画祭の公式サイトをご覧になった方は既にご存知かもしれませんが、この映画祭では自国であるイスラエル映画を大変に数多く上映します。

人口700万人のイスラエルで、なぜそんなに多くの映画が取り上げられるのか。
その中には商業映画は勿論、インディペンデント作品や、ドキュメンタリー、長編から短編まで、プロダクションもジャンルも問わない作品達がエントリーされています。

デジタル技術の発達によって、映画は決して大掛かりなものばかりでなく、身近な表現手段となりました。

イスラエルの人々が何を見て、何を感じて、何を表現しようとしているのか、この映画祭が内外に、つまりは世界に文化的な発信をしているのだという事を痛感します。

同時にイスラエル以外からも、世界各国の様々な作品を招待し上映します。
それはイスラエルの人々にとっての世界の窓として機能する一方、世界に対しては(イスラエルの映画祭である)エルサレム国際映画祭はこういった映画や世界を受け入れるのだという表現にもなっているわけです。

それが個性的な映画祭である理由であると思うし、世界に名だたる映画祭のスタンスだとも思います。
マスには乗り切らない想いとしてイスラエルの人々がどういった映画を観て撮っているのか、映画人として観るべき機会を逃したのは恥じるし残念なのですが、今回その一部として自分の作品が関われた事はむしろ切欠であり始まりであるようにも感じます。

イスラエルは48年の独立宣言以降に国が作られていったので、戦後復興の日本と時期が同じ事もあり、風景が良く似ていると聞きます。
東京という都市を描いた『東京失格』が、イスラエルの方にどう観られるのか、その接点と差異をどう感じるのか、物凄く楽しみです。



『東京失格』の上映は8日22時と10日12時45分です。
お近くの方は是非ともご覧下さい!
posted by 井川広太郎 at 16:45| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 東京失格 | 更新情報をチェックする

2007年07月04日

cinema digital seoul 2007_film festival出品

今月、韓国のソウルで初開催されるcinema digital seoul 2007_film festival 07.20-27に『東京失格』を出品します。(勝手に日本語に訳すと”第1回 ソウル・デジタル映画祭”といったところでしょうか)

公式ページはまだ制作中のようで、今のところハングル表記しかないので詳細は改めてご報告しますが、俺も7月20日(金)〜27日(金)の間、映画祭に参加する為にソウルに行きます!

『東京失格』の上映は21日(土)16時と、26日(木)11時のようです。
21日は舞台挨拶とティーチインがあるようです。
期間中にソウルにいる方はスケジュールを空けて是非来て下さい。

なんと、俺にとっては初の韓国旅行なのです!
そして『東京失格』にとっても、シネマアートン下北沢以外では初のアジアでの上映!!
物凄く楽しみです!

待て!続報!!
posted by 井川広太郎 at 23:20| 東京 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京失格 | 更新情報をチェックする

2007年07月03日

エドワード・ヤン監督死去

台湾の映画監督エドワード・ヤン(楊徳昌、Edward Yang)が2007年6月29日に亡くなりました。

ホウ・シャオシェン監督(侯孝賢、Hou Hsiao Hsien)と共に“台湾ニューウェーブ”と呼ばれる、世界的な映画監督でした。

〈主な作品〉
『ヤンヤン 夏の想い出』 (2000)
『カップルズ』(1996)
『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994)
『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』 (1991)
『恐怖分子』(1989)
『海辺の一日』 (1983)
『光陰的故事』 (1982)

俺が最初にエドワード・ヤンについて知ったのは、98年頃、俺の恩師である野崎歓先生が講義中に「『嶺街少年殺人事件』は236分の完全版じゃなきゃ良さが伝わらない」という話をした時でした。

それから『嶺街少年殺人事件』の完全版を観て衝撃を受け、追うように全作品を観ました。

特に『恐怖分子』、『エドワード・ヤンの恋愛時代』 、『カップルズ』などが好きで、俺の監督作である『東京失格』の脚本執筆中は『カップルズ』のような都市と時代とリアリティの描き方について非常に意識しました。

未だにエレベーターに乗る度に『エドワード・ヤンの恋愛時代』を思い出します。

誰かのポートレイトを見る度に『恐怖分子』を思い出します。

2000年の東京国際映画祭に王家衛の『花様年華』を観に行った帰りに野崎先生とご一緒し、二人とも泣いて感想を言い合いながら渋谷駅へと向かう道すがら、ビックカメラに子供を連れて入店するエドワード・ヤンを見掛けました。

「エドワード・ヤンっすよ!」と俺が言うと、先生は「本当だ。オマエは目が早いなあ。偉いよ」と言って下さりました。

それが俺にとってはエドワード・ヤン監督を肉眼で見た最初で最後のこととなりました。

ご冥福をお祈り致します。
posted by 井川広太郎 at 03:15| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする