2007年12月16日

言語論01

今も昔も、そして多分これからも、俺にとっての映画における最大のテーマは「言語論」です。

ここで言う「言語」とは「コミュニケーションの方法」とも言い換えられるかもしれません。

前からこのことについて書こうと思いつつ、あまりにも長くなるか散漫になるか、何れにしろちゃんとした文章を書く自信が無いので避けていました。

あるいは、それをまさに映画でやっているつもりなので、わざわざ下手な文章で晒すのもなんだなあと思うわけです。

ですが矢張り言語について考える時に、言語でしか出来ないこともあるわけで、映画にフィードバックするためにも試みる意義はあるのかなとも思います。

というわけで、連載する、という方法を思い付きました。

暇で、貧乏で、ノーフューチャーで、このBlogに書くことが無いから、というだけではありません。


偶然もありました。

ここ数日、俺の母校である栄光学園の先輩や後輩と連絡をとる機会があったのですが、そういった時にしばしば話題に出るのが大先輩である養老猛司先生です。

で、今朝、新聞を読んでいたら、養老先生が「サイエンス映像学会」というものの初代会長になるという記事が載っていました。

そのインタビューの中で、「映像を読み解く方法は未だ確立されていないが、漢字という表意文字を持ち、さらにそれを訓読みと音読みに使い分ける日本人は画像に関する独特の感性がある」というようなことをおっしゃっていました。

まさに、俺が日々考えていることと呼応するなと、是非ともそのシンポジウムを聴講したかったのですが、残念、まさに今日、行われていたようです。


んなわけで、不定期に、いい加減に、言語論していきます。

論と言いつつ、学術的な話をしようというわけではありません。

主に自分の体験からつれづれと書き散らすつもりですし、これは現在構想中の映画のメモであり、考察であります。

あるいは、映画を構想する(監督する)とはどういうことか、まさにその過程を恥知らずにも文章化する試みなのかもしれません。

究極的には、映画とは何か。
posted by 井川広太郎 at 23:52| Comment(5) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2007年12月14日

ファーストフード・ネイション

ファーストフード・ネイション』 2006/アメリカ、イギリス/108分/原題:FAST FOOD NATION/配給:トランスフォーマー、ザジフィルムズ

fast_food_nation.jpg fast_food_nation.PNG

カンヌを震撼させたメガ・バーガー並みの問題作、遂に出店!

2006年カンヌ国際映画祭・コンペティション部門に出品され賛否両論を巻き起こした、リチャード・リンクレイター(『ビフォア・サンセット』、『スクール・オブ・ロック』)の話題作が遂に上陸!
大ヒットドキュメンタリー『スーパーサイズ・ミー』にも多大な影響を与えたジャーナリスト エリック・シュロサーのルポタージュ「ファストフードが世界を食いつくす」(草思社刊)を元にジェレミー・トーマス(『ローズ・イン・タイランド』『ラスト・エンペラー』)、セックス・ピストルズの仕掛け人マルコム・マクラーレン、二人の大物プロデューサーがタッグを組み映画化。
ファーストフード業界の内幕を暴く、リアル過ぎる衝撃のドラマの登場だ!

危ない!怖い!おいしい!笑顔のファーストフードのホントの話

利潤の追求に専心するハンバーガー・チェーン“ミッキーズ”の本社幹部。劣悪な労働条件の下、下請けの精肉工場で酷使されるメキシコからの不法移民。店舗で、時給を稼ぐために勤務時間をやり過ごす、学生アルバイトたち。交わることのなかった三者三様の日常が、“牛肉パテへの大腸菌混入”という事実発覚によって交わり、やがて“食の安全性”、“格差社会”、“環境破壊”…、アメリカだけの問題に留まらない、現代社会の病巣が炙り出されていく。

監督 リチャード・リンクレイター
俳優 グレッグ・キニア,イーサン・ホーク,パトリシア・アークエット,アヴリル・ラヴィーン

2008年2月、ユーロスペースにてレイトショー他全国順次公開
作品公式サイト http://www.fastfoodnation.net/


オモシロかったです。
これはオススメ!


ルポタージュを原作とし、その著者も脚本に参加しているが、全くの劇映画。
ドキュメンタリー的ということはなく、映画として独自のフォルムを持ったフィクションとして完成している。

例えば、正確なデータや詳細な社会背景について知りたいのなら、原作を読む方が適している。

だが一方、そういった事実や見解すら、この世界の氷山の一角でしかないというのも真実。

それこそ、「食の安全性」とか「格差社会」とか「環境破壊」とか、正直今更になって正義を振りかざされても胡散臭いだけだし、小難しい言葉で議論したフリをしても何も解決しないし、数字を比べて検討しても本質は変わらない。

そういうことじゃなくて、この世界のヤバさは、もっと感覚的にアレなんじゃん、の「アレ」。

ここでテーマにされているアメリカのファーストフードだけではなく、現代の地球上のあらゆる全ての事象に潜在する危機感や違和感。

非常に繊細な「アレ」の部分を、この映画は描いている。


あるいは衝撃的な映像を見せられたって、知識として知っていて、感覚が麻痺していれば「ああ、そうか」と思うだけで、何てことは無い。

何と言うか、名付けるならベルトコンベアー映画。

群像劇として大変に良く出来たコメディ映画なのだが、あまりのオモシロさに映画のテンポに身を委ねていると、うっかり最後はここまで行き着くのか!的な気付けば断崖絶壁という行き先知れずの急行列車。

映像が、単なる物語る方法論や事実の記録以上の質感を持つということに関して、この映画は大変に自覚的で意識的だ。


まるで「ビッグ・ワン・バーガー」のように美味しいところを片っ端から詰め込んだようなスターの競演が素晴らしい。

彼等がスターらしくそれぞれが与えられた役を見事にこなしているのが、まるで「ビッグ・ワン・バーガー」のようなこの映画らしさなのだとも思う。

それはつまり、ピクルスはピクルス、パテはパテ、ソースはソースといった具合で、決して交じり合うことの無いそれぞれの要素が混在してこそのファーストフード、みたいな。

どこに興味を持ってどこから喰らついても行き着く先は一緒よ、みたいな。

胡散臭さ満載のイーサン・ホーク、カメオ出演している「世界一運の悪い奴」は流石としか言いようが無い悪ノリぶりなのだが、ヤバい若者やらせたら現在世界最強クラスのポール・ダノもキレキレだし、アヴリル・ラヴィーンが恐ろしくステレオタイプにスノッブな学生を見事に演じ切っていて驚きました。

みんな良い人でどうしようもなく独善的で、隣にいる人への想像力も働かないほど自分自身に追われている。

それぞれがそれぞれの世界を創り、それぞれの世界を守り、そういう世界同士が隣合せの、閉ざされた世界。

まさに「ファーストフード・ネイション」。


そう、この世界の扉は閉ざされている。

この映画は、最後にそのヤバさに気付かせてくれる。

だから、窓を開けましょう。

まず知ってから、さて、次にどうするか。


ルポタージュを原作とした劇映画。
俺も撮ってみたいです。
posted by 井川広太郎 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2007年12月13日

強制退去

現在、俺が住んでいるマンションが解体されるそうです。

老朽化などが原因のようですが、ともあれ、この部屋を出なきゃならないようで、来年早々にも引っ越さなければなりません。

平たく言うと貧乏な俺には物凄く痛手です。痛恨の極みです。

何より、この部屋はとても好きでした。

建物の構造がおかしかったり、春には桜並木が眼下に見えたり、立地も良いし、なんかとてもいい加減だったり、なんだかとてもいい加減だったり。魅力たっぷりでした。

まあ、この部屋では随分と色々と撮影したし、残念ではありますが思い残すこともありません。寂しいけどね。

ともあれ、最近ぼんやりと、俺は人生の転機を迎えているのかもしれない、などとあまり役にも立たないロマンチシズムに浸っているものですから、外側からハッキリと変化を突きつけられると、尚更感傷的にも納得してしまうものです。

しっかし、次に住む部屋とか、人生のビジョンとか、色々と考えてはいるのですが、いい年こいて全くイメージが湧かないから困ったものです。惨めだなあ。

ところで、人は如何にして彷徨うか。
posted by 井川広太郎 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする