2011年10月10日

サウダーヂ

サウダーヂ』2011/167min/35o/カラー/配給:空族

『土方、移民、HIPHOP 『この街で一体何が起きている?!』

不況と空洞化が叫ばれて久しい地方都市。“中心”街。シャッター通り、ゴーストタウン。それがアジアNO1の経済大国と呼ばれた日本の地方都市の現状である。
しかし街から人がいなくなったわけではない。崩壊寸前の土木建築業、日系ブラジル人、タイ人をはじめとするアジア人、移民労働者たち。そこには過酷な状況のもとで懸命に生きている剥き出しの“生”の姿があった。
街そのものをテーマに、実際にそこで生活している人々をキャスティングしてつくられたこの作品には、これまで日本映画ではあまり描かれる事の無かった移民たちの姿が描かれている。特に100年前に日本からブラジルに渡った日本人の子孫たちのコミニティは国内において大きな規模を成している。
移民の問題は世界的な課題であり、そこでは差別や経済格差、文化間の衝突は避けられない。



監督:富田克也

作品公式サイト http://www.saudade-movie.com/

10月22日(土)より、渋谷ユーロスペースにてロードショー!


パワーというか、エネルギーというか、ほとばしるようなような生命力に満ちた作品。

しかし、力で押し切るような映画などでは決してなく、先入観から思わず身構えてしまう観客をもいなすかのような独特の間合いの編集が見事で、コメディとシリアスの境界を旋回するような不思議なグルーブを生み出し、167分という長尺も飽きさせません。

映画を観る愉しみの一つは、いつ、どこで、どんな人々が生きていたのかという記録に触れることですが、この作品の生々しさはその欲望を満たしてくれるので、世界各国の観客にはもちろん、いまの日本に生きる我々にとっても大変に刺激的で興味深いのです。
posted by 井川広太郎 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2011年10月05日

アンダー・コントロール

アンダー・コントロール』(原題:Unter Kontrolle、監督 フォルカー・ザッテル、ドイツ、2010年、35mm、102分)

原子力発電所を廃止するドイツの今を追った、見学・体験型ドキュメンタリー。
ドイツの"原発解体マニュアル"



2011年11月、東京・渋谷シアター・イメージフォーラム、大阪・シネリーブル梅田ほかにて全国順次ロードショー!

公式サイト http://www.imageforum.co.jp/control/


こんにちは。

今朝、ドイツの友人から、彼の友人の映画が東京で上映されるとメールが来ました。

つまり、友達の友達の映画であって、私はまだ観ていません。

しかし、予告編を観る限り非常に面白そうなので、必ず観に行くつもりです。

こういう「ドキュメンタリーっぽくない絵作り」のドキュメンタリーって大好き。





一般公開は11月からで、ドイツ文化センターでは今日5日(水)と、8日(土)に先立って無料上映会があるそうです。
監督を交えての質疑応答やパネルディスカッションも行われるようですね。
こういう貴重な機会は逃してはいけません。お時間がある方は、是非!
ドイツ文化センター Goethe-Institut
映画特集とパネルディスカッション「未来のエネルギー」
http://www.goethe.de/ins/jp/tok/ver/ja8105404v.htm
posted by 井川広太郎 at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2011年10月03日

ちづる

ちづる』2011年/日本/カラー/HD/79分/ヴィスタ/配給・宣伝:「ちづる」上映委員会

妹のことをどう説明したらいいかわからない。だから言葉で伝えるかわりにカメラを向けることにした

劇場公開の予定が決まらないうちにTV、新聞等マスコミでひと際注目を集めている作品がある。立教大学現代心理学部映像身体学科の赤ア正和が監督したドキュメンタリー「ちづる」。自身の卒業制作として企画されたこの映画は、重度の知的障害と自閉症をもった赤アの妹・千鶴とその母を1年に渡り撮り続けた、みずみずしくも優しい家族の物語である。最も身近な存在でありながら正面から向き合えなかった妹にカメラで対話した監督は、映画を撮り終える頃、家族との新しい関係を築きあげている自分に気づく。作者の精神的な成長がいみじくも映像に刻印されてしまった稀有なドキュメンタリーの誕生。“若さ”が成し遂げた映画の奇跡がここにある。


制作、配給、宣伝はすべて立教大生が担当。大学の教員と学生が映画界に挑戦!

「ちづる」は、配給・宣伝の面でも異例の体制でのぞんでいる。赤アの指導教授であり大ヒットドキュメンタリー「蟻の兵隊」の監督・池谷薫を中心に現役の立教大生が映画公開における全ての業務に果敢にチャレンジ。インディペンデントならではの怖いもの知らずが日本映画界に一石を投じる。



監督・編集:赤ア正和

作品公式サイト http://chizuru-movie.com/

10月29日(土)よりポレポレ東中野、横浜ニューテアトルほか全国順次ロードショー



素晴らしく面白い、魅惑的な傑作映画。

ちづるがとんでもなく魅力的だ。魅力が「人の心をひきつけて夢中にさせる力」だとしたら、まさしく彼女はいつ何時もありとあらゆる手で我々の心を引きつけ、半ば強引ながらも否応無く夢中させるので、紛れも無く魅力的なのだ。
スクリーンの中を所狭しと暴れまくり、感情を起伏の激しさのままに発露するその姿は、まったく予想のつかない緊張感の漲る空間を演出しながらも、なぜか信じられないほどに穏やかな癒しを与えてくれる。

さらに妹にカメラを向ける監督自身も、安全なところからカメラを向けてしたり顔をしてみせたりすることも、逆に不幸や不安を煽るようなこともせず、あくまで家族の一員として同じ地平に立ち、カメラの前で共に悩み、笑い、悲しみ、苦悩を露にしてみせる。
だからこそ、我々はちづるを含めたこの家族の有様を決して人ごとなどではなく、まるで、自分が暮らす家の中で起きていることのように親密に感じることが出来る。

そして、きわめつきは全く見事な母親の存在感、思い惑う娘や息子を見守る母親の逞しい明るさは、この母あってこその兄妹であると思い知らせる。
かと思えば、娘や息子に負けてたまるかとばかりに繊細な感情を爆発させる姿は、さすが母の面目躍如である。その有無を言わさぬ迫力は、やはり母親はこうじゃなきゃと思わせるに十分な説得力を持つ。

ひきこもりだけに舞台はほとんど家の中、三人だけのほんの小さな世界が、どこの家庭にも通ずる普遍的な姿に見えてくる。

震災後、家族のあり方が改めて問われる中、泣いて笑いたいのなら、この映画を強くオススメします!
posted by 井川広太郎 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(2) | REVIEW | 更新情報をチェックする