2017年06月23日

ローラ

『ローラ』(原題Lola/1960年/フランス/配給 ザジフィルムズ/88分)



監督:ジャック・ドゥミ
製作:ジョルジュ・ド・ボールガール、カルロ・ポンティ
出演:ジャック・アルダン、アヌーク・エーメ、マルク・ミシェル、コリンヌ・マルシャン

特集上映『ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語』
7月22日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
公式サイト http://www.zaziefilms.com/demy-varda/


港町で初恋の人を想い待ち続ける踊り子ローラを巡る恋模様を描く

その晩はフランスの映画監督と飲んで、僕はやっぱりドゥミが好きなんだ「ローラ」が好きなんだという話しをしていた。
で、酔って千鳥足で家に帰ったら「ローラ」の試写状が届いていたんだ!
こんなことってあるか?
嬉しくて思わず叫び、この嬉しい巡り合わせをすぐさまその監督に伝えた。

そして待ちわびた試写の日、初恋の人に再会するようなウキウキした気持ちで会場に駆けつけた。
いつもはしかめっ面のおじさま達も、なんだかこの日ばかりはみんなニコニコしていたのは僕の勘違いなんかではないはずだ。
みんな浮かれてる、久々の上陸でキャバレーを訪れた水兵達みたいだ。

僕は「ララランド」は観ていないけれど「ローラ」を下敷きにしているのは知っている。
全てのミュージカル映画にとって「ローラ」は幼い頃の憧れの想い人であるのに違いないからだ。
「ララランド」で映画やミュージカルに興味を持った人たちが「ローラ」を観てくれることを切に願う。
僕もいつか「ララランド」を観るのを楽しみにしている。

てへぺろ案件だが、僕の監督作「キミサラズ」も「ローラ」からめちゃめちゃ影響を受けている。
公開中にある人からそのことを指摘されて、すごく嬉しかった!

実際、「ローラ」は初めて観た学生の時から何一つ変わらない眩さなのに、何度観ても全てが新鮮!
ヌーベルバーグの真珠、心の中の宝石。美しいとはこういうことだ。
posted by 井川広太郎 at 10:39| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年06月16日

『丸』(2014年/日本/配給 マグネタイズ/89分)



監督:鈴木洋平
プロデューサー:池田将、今村左悶
出演:飯田芳、池田将、木原勝利

公式サイト http://www.yoheisuzuki.com/maru.html
7月8日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて<逆輸入>ロードショー!!


とある民家の中に謎の球体が出現したことから巻き起こる不可思議な出来事を描く不条理劇

映画にはいろんな表現や可能性があるにも関わらず、昨今の映画館で観られる映画ときたら、どれも似たようなものばかりだ。
ハッキリ言うと、いま映画館で興行しているほとんどの映画は”ハリウッド映画”の真似事でしかない。

ハリウッド映画がよくできていることには疑う余地はないが、映画にはもっと色んな面白さがある。
音楽で例えるならロックだけではなく、雅楽も、クラシックも、民族音楽もあるように。
好みは人それぞれだからこそ多様性が損なわれると脆く弱くなるし、なにより、似たような映画ばかり観ていて楽しいか?正直、僕は飽きた。退屈だ。

「丸」を鑑賞中、ぶっちゃけ僕の趣味には合わず、素直には乗れなかった。
だが、どうだろう、観賞後に振り返ってみると、稀有な映画体験をしたという充実感がある。
あんな映画は今まで観たことないし、似たような映画が思いつかない。
独特な映画だからこそ、各国の映画祭で絶賛されたというのも頷ける。
万人に受けるかどうかは分からないが、「丸」という映画でしか得られない感覚、感情、感動があるのだ。
映画にはこんな表現もあるのか、こんな可能性もあるのかと、映画を観る楽しみがさらに広がった気がする。

ありふれた日常かと思いきや、ノイズのような音楽の心地よさに惑わされ、紙一重でシュールな世界へと足を踏み入れてしまい、台詞は全て言葉遊びのように分解され形骸化する中で未知の言語のような独特の響きを帯びてゆき、感覚に訴えかける細やかな演出がちりばめられたパラレルワールドは物語の定型を一切受け入れない。

ファーストフード店のように世界中どこでも同じ味が提供できるというシステムは紛れもなく偉大だ。
しかし例えば異国を訪れたのなら、その土地ならではの料理を楽しみたいという人には「丸」をオススメする。
お口に合うかどうかは分からないが、しかしきっと忘れがたき映画体験になるはずだ。
posted by 井川広太郎 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年06月12日

アリーキャット

『アリーキャット』(2017年/日本/配給アークエンタテインメント/129分)



監督:榊英雄
製作:間宮登良松、川村英己、野田孝寛
出演:窪塚洋介、降谷建志、市川由衣、品川祐、高川裕也、火野正平

2017年7月15日[土]よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
公式サイト http://alleycat-movie.com/


窪塚洋介と降谷建志が演じる凸凹コンビが珍道中を繰り広げるバディムービー。
二人のカリスマが出会い手を組むという、ありそうでなかった設定だけでワクワク感を刺激する。
しかも可愛い女子を救うために長閑な片田舎から魔窟と化した東京に向かうという、ファンタジーとリアリティを横断する現代の冒険潭。
特に後半からクライマックスにかけてバイオレンスアクションの様相を呈していくのだが、そっからの演出がキレッキレで手に汗を握ってしまう。
主役の二人に負けじと個性的な登場人物が次から次に登場してきて楽しいのだが、その中でも「キミサラズ」にも出演して頂いた高川裕也さんも柔道をたしなむ政治家役で出演していて、これまた強そうでカッコいい!
posted by 井川広太郎 at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年06月09日

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白

『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(原題 Madame B., histoire d'une Nord-Coreenne/2016年/韓国・フランス合作/配給 33 BLOCKS/72分)



監督:ユン・ジェホ
製作:ギョーム・デ・ラ・ブウレイ、チャ・ジェクン

公式サイト http://mrsb-movie.com/
6月10日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!


中国で「脱北ブローカー」をする女の数奇な運命と愛を描くドキュメンタリー

めちゃめちゃ面白かった!
タイトルにある通り被写体のマダムは当初「脱北ブローカー」をしているのだが、そのインパクトあるフック「脱北ブローカー」でさえ些細なことに思えてくるほど壮絶な、女の生き様を描いている。
極限状態を描いた社会派のドキュメンタリーでありながら、一人の女の愛の物語になっているのが、この映画の魅力だ。

北朝鮮に生まれたマダムは夫と子供達を養うために中国に出稼ぎに来たつもりが、騙されて貧しい農村に売り飛ばされ、そこで中国人の農夫と事実婚状態になる。
しかし貧しさは変わらず、身分証もないため仕事も選べず、生活と仕送りのために脱北ブローカーなどもする。
そんな中、北朝鮮に残した家族が韓国への亡命を計画し、マダム自身も身分証を得るために韓国行きを目指すのだが…

めちゃめちゃ政治的な状況に追い込まれながらも、ただただ家族と共に生きるために、マダムは国々を相手に凄まじい大立ち回りをしてみせる。
苦難や抑圧や障害を乗り越え、信じられないようなタフさでサバイブしていくマダムの姿には、「お前らは生きることの重みを感じているか?」と、檻の中で飼い慣らされた観客たちに訴えかける無言の圧力がある。

そして当初は生き延びることだけを考えているような殺伐としたマダムの表情が、北朝鮮と中国との二つの家族の間で揺れているうちに、次第に女の顔になっていくのが素晴らしい。
国や国同士の争いは簡単には変えられないし変わらないかもしれないが、逞しく生きることで人々の運命は劇的に変えることができる。
そして、その勇気や活力を与えてくれるのは、いつも愛なのだ。
愛に生きる女の顔はやはり美しい。
posted by 井川広太郎 at 10:53| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年06月04日

キミサラズ公開終了

監督作「キミサラズ」下北沢トリウッドでの公開、6/2をもって終了致しました。
ご来場頂いたみなさま、ありがとうございました!

作品公式サイト http://kimisarazu-movie.com/
posted by 井川広太郎 at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする