2019年07月30日

ラブゴーゴー

『ラブゴーゴー』(原題 愛情来了 Love Go Go/1997年/台湾/配給 オリオフィルムズ、竹書房/日本初公開 1998年12月12日/113分)



監督 チェン・ユーシュン
製作 シュー・リーコン
出演 タン・ナ、シー・イーナン、リャオ・ホェイチェン、チェン・ジンシン

公式サイト https://nettai-gogo.com/
新宿K's cinema他、全国順次ロードショー


台北を舞台に切ない恋をする人々をオムニバス形式で描くコメディ

冴えないパン職人が、店の常連客の美女が幼なじみであると気づき、子供の頃にし損ねた告白をしようとする。
おデブな女の子が偶然拾ったポケベルの持ち主と電話で話しただけで恋に落ち、デートするためにダイエットを決意する。
美女が経営する床屋に、不倫相手の妻が乗り込んで来るが、そこに偶然、護身具のセールスマンが居合わせる。
といった大枠三つのエピソードがありながら、それぞれの登場人物が重複し繋がっていて、連作のようでもありながら全体で一つの物語を構成している。

パン屋のエピソードとおデブな女の子のエピソードが素晴らしい。
脚本も秀逸で、衣装や美術といったアイテムや色彩設計、全てがキレッキレなのだが、やはり何より登場人物の魅力に尽きる。

太っていてブサイクでいつもカツラを気にしている陰気なパン職人、そしてデブでいながらメッチャ明るく元気で勝気ながらシャイな一面もある女の子。
この二人が台北の街を傍若無人に駆け回り、歌い踊る姿が圧倒的に愉快なのだが、しかも二人ともズブの素人で、本作が演技初挑戦だというのだから驚かされる。

パン屋のエピソードでは美女は脇役なのでもっと映してくれ!とすら思うのだが、床屋のエピソードで実際に彼女が主役になるとなぜか物足りない。
彼女は事実うっとりするほど美しいのだが、先行する冴えないパン職人とおデブな女の子、この二人のインパクトが凄まじいのだ。
イケメンと美女の恋愛など退屈、やはり映画においては個性的なルックスこそが武器になる。

日本初公開時に観て以来、つまり20年ぶりに観たのだが古臭いどころか新鮮さすら感じ、問答無用に面白かった。
抱腹絶倒のコメディであると同時に、侯孝賢やエドワードヤンといった台湾ニューウェーブの流れを受け継ぎ、当時の台湾の景色、台北という街を記録するという映画的な役割を見事に果たしている。
posted by 井川広太郎 at 10:25| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2019年07月27日

熱帯魚

『熱帯魚』(英題 Tropical Fish/1995年/台湾/配給 オリオフィルムズ、竹書房/日本初公開 1997年4月5日/108分)



監督 チェン・ユーシュン
製作総指揮 ワン・トン
出演 リン・ジャーホン、シー・チンルン、リン・チェンシン、ウェン・イン

公式サイト https://nettai-gogo.com/
2019年8月17日より新宿K's cinema他、全国順次ロードショー


高校受験を目前に誘拐された少年が、犯人一家と交流するうちに大人へと成長していく様を描くコメディ

初公開時に観て以来、つまり20年ぶりに観たのだが、紛うことない傑作であった。
加熱する受験戦争、都会への一極集中、拝金主義などといった台湾の社会問題を背景としながら、 ポップでキャッチーに、おかしなおかしな誘拐事件を描く。

実際、この頃の台湾では誘拐事件が多く重大な社会問題になっていたらしいのだが、描かれる事件は深刻さよりも滑稽さが圧倒している。
上手に誘拐も出来ないドジで間抜けな犯人たちは、悪人ではあっても悪意はない。
す巻きにされた少年たちに箸で食べ物を与える犯人の姿は、まるでヒナに餌を与える親鳥のようでもあり、なんとも愛らしく微笑ましい。

台北で誘拐された少年は、犯人の故郷である田舎に連れて行かれ、そこでしばらく過ごすことになる。
核家族化が進み学歴偏重で功利的な都会とは違い、田舎では親類縁者やご近所さんとの家族的な結びつきが残っている。
喧嘩しながらも食事の時は皆そろって食卓を囲むという繋がりの中で、少年もその一員として、つまりは一人の人間として扱われる。
殺伐とした受験戦争や冷たい家族に疲れていた少年は、あらぬ場所に迷い込むことでモラトリアムという不思議の特権を得るのだが、そこはまるで異世界かパラダイスのような居心地の良さがある。
だがしかし、そこで暮らす人々とて挫折や痛みや哀しみを隠し持っていることを知り、少年は自身も責任を負う覚悟を決める。

スパルタな教師がなぜか首にコルセット巻いていたり、田舎町では堰が決壊したとかで家の中まで水浸し、警察官が犯人の元同僚であったりと、シュールな世界観を築く独特のタッチが素晴らしい。
リアルとファンタジーとの境界線を自由奔放に行き来し、愉しく型破りな演出が隅々まで施され、独特のフォルムで映画的な面白味に溢れている。

そして主役は紛れもなく少年でありながら主人公を固定せず様々な登場人物やエピソードに自在に切り替わっていく巧みな話法は、主観と客観を同時に揺さぶられるようでテーマにもグッと即していて、青春の一筋縄ではいかない心理や複雑な感情を見事に表している。
思春期の美しも切ない哀しみを捉えつつも圧倒的なイマジネーションで映画を締めくくるラストは圧巻で、侯孝賢の「恋々風塵」や相米慎二の「台風クラブ」などを彷彿とさせる青春映画の金字塔だ。
posted by 井川広太郎 at 10:16| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2019年07月22日

ブラインド・デート/西暦2015年

今日は横浜シネマリンがメンズデー月曜男性1,100円なので、開催中の『ジョージア[グルジア]映画祭in横浜』にて、長編「ブラインド・デート」と短編「西暦2015年」の併映を観てきた。

ブラインド・デートとは、友人などの紹介で見知らぬ相手とデートすること。
婚活に励む中年男性の悲喜こもごもを描いたコメディで、プロットもよくアイデア満載で、グルジアの街や生活の様子も伝わってきて、とても面白かった。
ドルトムントの香川がキレッキレでスーパースターだった頃もさらっと描かれ、感慨深い。

西暦2015年は、廃墟のようになったグルジアの撮影所でフィルム保存などの作業を続ける老人たちの姿を追った短編ドキュメンタリー。
わずか10分ながら、映画的なセンスと才気が溢れる傑作だった!

懺悔、ピロスマニ、みかんの丘など、ほんの数えるほどしか観ていないが、それにしてもグルジア映画は面白い。
いつかグルジアで映画を撮りたい、なんなら今すぐグルジアで映画を撮りたいと思った。

posted by 井川広太郎 at 19:40| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2019年07月16日

スパイダーマン:スパイダーバース/アリータ:バトル・エンジェル

今日は早稲田松竹で二本観たのだが、スパイダーバースは評判通りの面白さで大満足の一方、アリータが衝撃的なつまらなさで落ち込んだ…



posted by 井川広太郎 at 22:20| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2019年07月09日

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

昨日はTOHOシネマズ新宿で「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」を観た
「エンドゲーム」どころか「アベンジャーズ」を一作も観ていない僕には難解すぎた
こんな難解な映画が大ヒットしているだなんて、にわかに信じがたい
とりあえずジェイクギレンホールの活躍を見られて良かった
それにしても、僕が知っているスパイダーマンとはずいぶん違ってしまった気がする
スーパーヒーローはそれぞれ個性があって面白かったのに

posted by 井川広太郎 at 17:51| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2019年07月06日

破天荒ボクサー

今日は新宿ケイズシネマで「破天荒ボクサー」を観た。
試合をしたくても出来ない理不尽な状況を撃ち破ろうともがくボクサーを追ったドキュメンタリー。
組織が優先されて個人が圧殺されるという不条理な構図は、日本ボクシング界の話でありながら、誰もが思い当たるふしがあるであろう。
だからこそ忖度だとか大人の事情だなんて知り顔してないで、自分の夢を実現するために立ち向かって行く姿は純粋にカッコいい。
とにかく試合をしたい一心で逆境にあらがい、日本を飛び出し世界をまたにかけ、やれることはなんでもやって、次から次にアイデアを実現していく。
予想がつかない展開の連続でハラハラドキドキし、そのバイタリティと情熱に深く胸打たれ、元気と勇気とヤル気をもらった!
あと、ジムにロッキーのポスターが貼ってあって、入場曲なのか試合の前にもロッキーのテーマが流れるんだけど、いやいや、あんたが本物のロッキーじゃんって思った。

posted by 井川広太郎 at 16:35| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2019年07月01日

アマンダと僕

今日はYEBISU GARDEN CINEMAが毎月1日のサービスデーで1100円なので「アマンダと僕」を観に行った。
予告編をイヤってほど見ていたが、なんだか思ってたのとは全然違った。
重い映画でずっしり来たけど良かった。
それにしてもフィルムは素晴らしいとしみじみ。
パリを舞台にした映画はとても久しぶりに観た気がした。

posted by 井川広太郎 at 21:50| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする