2010年12月02日

海炭市叙景

海炭市叙景』2010年/日本/152分/配給=スローラーナー


わたしたちは、あの場所に戻るのだ。


佐藤泰志の幻の傑作が、ついに映画化されます。村上春樹、中上健次らと並び評されながら、文学賞にめぐまれず、90年に自らの命を絶った不遇の小説家・佐藤泰志。

『海炭市叙景』は、彼の故郷である函館をモデルにした“海炭市”を舞台に、そこに生きる人々の姿を描き出す未完の連作短編小説です。監督は、やはり北海道出身の熊切和嘉監督。
熊切監督は、遺された18の短編小説の中から、5つの短編を選び、脚本の宇治田隆史とともにモザイクを組み合わせるように、“海炭市”とそこに生きる人々の姿を浮かび上がらせました。



監督:熊切和嘉
出演:谷村美月、竹原ピストル、加瀬亮、三浦誠己、山中崇、南果歩、小林薫、ほか
音楽:ジム・オルーク
原作:佐藤泰志

オフィシャル・サイト http://www.kaitanshi.com/

2010年11月27日(土)より函館シネマアイリス先行ロードショー、12月18日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開


船、海、造船所、夕暮れ、プラネタリウム、港、地方都市、路面電車、港町、日の出、郊外型大型量販店、湾内の凪、夜景、ロープウェー、機械音、冬、雪、トラック、場末のスナック、猫。

映画に愛されたものたちが寄り添って暮らす、完璧な美しい世界。閉じてはいるが、閉ざされてはいない。風に流され、溶けて、消えていってしまいそうな、儚い世界。

わびしく廃れていく街、行き場が無く暴力化する優しさ、密やかに忍ばせた熱い情動。だからこそ、函館という街でしか生まれ得なかった映画であり、この映画で函館は世界の映画史の中で永遠に生き続けることを自ら決めたのだ。その意志がスクリーンに漲っている。

そこに、侯孝賢が見えた。北野武が、王家衛が見えた。アジア映画を「総括」してみせ、つまり、そのいずれでもなく、さらに新たなる地平を切り拓いてみせたその独特なフォルムは、熊切和嘉の映画以外にはありえない。

日本映画最高!

希望なんてありはしないよ、だってこんなに美しいんだぜ。

路面電車、プラネタリウム、日本映画最高!
posted by 井川広太郎 at 18:45| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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