2004年12月03日

ビューティフル・デイズ

「Ada Apa Dengan Chinta?」(2002/Rudy Soedjarwo)

250万人をハッピーにした奇跡の大ヒット作!
韓国、タイ、そして今インドネシアから、アジアの熱気を感じさせる、とびきりピュアで元気な映画がやってきた!


2005年春、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー!

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インドネシアの青春恋愛映画。高校生のチンタ(“愛”という意味らしい)という美少女の、初恋と友情の狭間で揺れ動く気持ちを明るく、切なく、コミカルに描く。

インドネシア映画史上最大のヒット作で、長らく停滞していた映画産業の復活を促すという、インドネシア映画史に残る作品であるとのこと。

インドネシアの国内事情は、不勉強であまり良く知らないのだが、映画を観るという行為は、そういう関心を多いに刺激するのだなあと改めて痛感した。物語や登場人物に直接は関係なくても、映画のあちらこちらから見えてくる街並み、慣習、風俗といった世界観を知ることが出来るのは、映画ならではの醍醐味だ。

例えば、物語の中枢をなすインドネシアの語学教育の指向や、メイドがいないことが考えられないという生活水準(の登場人物達)、国内史における政治的な影が議論されてみたり。あるいは、当たり前に高校生が自動車を運転したり、部屋にはハリウッド映画のポスターが張られていたり、デートでの勝負服が「死亡遊戯」であったりと、映画の内外から学ぶこと、感じることが多い。

この映画一本でインドネシアという国への興味がぐっと沸くのである。

観ていて最初に気になったのが“スタジオ”映画であると言うこと。多くのシーンでセットが組まれ、大量の照明が当てられる中、撮影されたのではあるまいか。内容はポップな恋愛映画であるにも関わらず、シックな作りで硬派な印象を受けるのは、その辺りからではないかと思う。例えば「恋する惑星」(1994/ウォン・カーウァイ)のような街中の雑踏の熱気そのもののようなダイレクトさとは異なり、丁寧に、周到に描かれているのが良く分かる。

資料を読むと監督は自主製作のDV映画を撮って、この作品を撮るチャンスを掴んだらしい。だとしたら、インディペンデントの映画制作と、それらを受け入れるスタジオを所有するような大手資本の映画制作会社が共存していることになる。なんだ、うまくいってるじゃないか、インドネシア映画。

チンタ役で主演のディアン・サストロワルドヨは“ラックス、パナソニックなどのCMキャラクターに選ばれて、中国のチャン・ツィイーに続くアジアを代表する若手女優とNO.1との呼び声も高い”らしい。確かに魅力的だったし、彼女を取り巻く友人達、そして恋人も、とても個性的で良かった。

で、そのチンタが泣きべそかくと、鼻をズズッとすすりながら擦るというシーンが度々出てくる。素晴らしい。「ストロンボリ」(1949/ロベルト・ロッセリーニ)のバーグマンのパロディでは、まさかあるまいなとドキドキしつつ、やっぱ鼻は(動き、変形することによって人間の)存在を強烈に主張するもんなんだなあと感動。無論、この映画の中ではそんなに重いわけではなく、可愛らしい顔した少女が、余計に愛らしくなるということである。


注※「ストロンボリ」(1949/ロベルト・ロッセリーニ)のバーグマンのパロディ
観て下さい「ストロンボリ」。泣くから。火山でさ、バーグマンの鼻がね、ぐしゃっと曲がるの。あれこそが、神の前で哀れな人間がその存在を示す果敢ない闘争だと、そう思います。

「鼻とは、ああいうものなのだよ、君!」
posted by 井川広太郎 at 21:25| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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