2011年10月03日

ちづる

ちづる』2011年/日本/カラー/HD/79分/ヴィスタ/配給・宣伝:「ちづる」上映委員会

妹のことをどう説明したらいいかわからない。だから言葉で伝えるかわりにカメラを向けることにした

劇場公開の予定が決まらないうちにTV、新聞等マスコミでひと際注目を集めている作品がある。立教大学現代心理学部映像身体学科の赤ア正和が監督したドキュメンタリー「ちづる」。自身の卒業制作として企画されたこの映画は、重度の知的障害と自閉症をもった赤アの妹・千鶴とその母を1年に渡り撮り続けた、みずみずしくも優しい家族の物語である。最も身近な存在でありながら正面から向き合えなかった妹にカメラで対話した監督は、映画を撮り終える頃、家族との新しい関係を築きあげている自分に気づく。作者の精神的な成長がいみじくも映像に刻印されてしまった稀有なドキュメンタリーの誕生。“若さ”が成し遂げた映画の奇跡がここにある。


制作、配給、宣伝はすべて立教大生が担当。大学の教員と学生が映画界に挑戦!

「ちづる」は、配給・宣伝の面でも異例の体制でのぞんでいる。赤アの指導教授であり大ヒットドキュメンタリー「蟻の兵隊」の監督・池谷薫を中心に現役の立教大生が映画公開における全ての業務に果敢にチャレンジ。インディペンデントならではの怖いもの知らずが日本映画界に一石を投じる。



監督・編集:赤ア正和

作品公式サイト http://chizuru-movie.com/

10月29日(土)よりポレポレ東中野、横浜ニューテアトルほか全国順次ロードショー



素晴らしく面白い、魅惑的な傑作映画。

ちづるがとんでもなく魅力的だ。魅力が「人の心をひきつけて夢中にさせる力」だとしたら、まさしく彼女はいつ何時もありとあらゆる手で我々の心を引きつけ、半ば強引ながらも否応無く夢中させるので、紛れも無く魅力的なのだ。
スクリーンの中を所狭しと暴れまくり、感情を起伏の激しさのままに発露するその姿は、まったく予想のつかない緊張感の漲る空間を演出しながらも、なぜか信じられないほどに穏やかな癒しを与えてくれる。

さらに妹にカメラを向ける監督自身も、安全なところからカメラを向けてしたり顔をしてみせたりすることも、逆に不幸や不安を煽るようなこともせず、あくまで家族の一員として同じ地平に立ち、カメラの前で共に悩み、笑い、悲しみ、苦悩を露にしてみせる。
だからこそ、我々はちづるを含めたこの家族の有様を決して人ごとなどではなく、まるで、自分が暮らす家の中で起きていることのように親密に感じることが出来る。

そして、きわめつきは全く見事な母親の存在感、思い惑う娘や息子を見守る母親の逞しい明るさは、この母あってこその兄妹であると思い知らせる。
かと思えば、娘や息子に負けてたまるかとばかりに繊細な感情を爆発させる姿は、さすが母の面目躍如である。その有無を言わさぬ迫力は、やはり母親はこうじゃなきゃと思わせるに十分な説得力を持つ。

ひきこもりだけに舞台はほとんど家の中、三人だけのほんの小さな世界が、どこの家庭にも通ずる普遍的な姿に見えてくる。

震災後、家族のあり方が改めて問われる中、泣いて笑いたいのなら、この映画を強くオススメします!
posted by 井川広太郎 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(2) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2011-11-03 22:33

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