2011年11月25日

瞳は静かに

瞳は静かに』2009年/アルゼンチン/HDCAM/カラー/108分/原題:Andres no quiere dormir la siesta/配給・宣伝:Action Inc.

1977年 アルゼンチン
軍事政権下に隠された家族の秘密

子供の瞳は 静かに 大人を観察している



アルゼンチン映画の中で繰り返し扱われるテーマがある。軍事独裁政権(1976-82)と経済破綻(2001)だ。
この2つは歴史的に密接な関係があるのだが、軍事政権が崩壊してから28年たった今も、なぜ、これらのテーマで映画が作り続けられているのか。

その疑問に答えるかのように、当時、子供だったダニエル・ブスタマンテ監督が、自らの体験をベースに描いたのが本作だ。
舞台はアルゼンチン北東部の州都サンタ・フェ。近所の人たちは皆、顔見知りといった地域に住むアンドレス(8歳)の1年の物語。やんちゃでイタズラ好き、好奇心旺盛な男の子が、どのように変わっていくのか。そして、それは何故なのか。

一見して平穏な町にも、反体制派の一掃をもくろむ情報局のアジトがあった時代。
大人から伝わってくる恐怖や不安、そして、家族を守るためにつく嘘と沈黙。そんな中で、子供たちが何を見て、何を感じていたのか。
「子供は知らなくていい」「大人の話に口を出すな」と言われてきた世代が、大人になり、経済破綻の時期を経て、ようやく子供時代のことを語り始めた。当時の家族の物語を…。

キャスト: ノルマ・アレアンドロ、コンラッド・バレンスエラ、ファビオ・アステ、セリーナ・フォント
監督:ダニエル・ブスタマンテ

公式サイト http://www.action-peli.com/andres.html

2011年12月10日(土)新宿K's Cinema、渋谷UPLINKにてロードショー


原題を直訳すると「アンドレスはシエスタなんてしたくない」。

シエスタというのはスペイン語で「長い昼休み」のことだそうで、目安として午後1時から午後4時、その間にお昼を食べ、家に帰ったり、お昼寝する人も多いそうです。

スペインとアルゼンチンではいまも習慣として残っているそうで、シエスタ中は商店なども休みになったりするとか。

この映画の中で大人は、自分たちに都合が悪い事があると「シエスタしてろ!」つまり見聞きするなとばかりに子供をベッドの中に無理矢理押し込める。

横暴な親にシエスタを強要されるアンドレスの物語、というわけです。

秀逸なアバンタイトルでストーリーのほぼ全てを見せておいて、そこからダイナミックに展開するのかと思いきや、執拗なほど丁寧にエピソードを積み重ねていく構成が、どうしても物語りたかったのだという熱意を感じさせます。

お母さん役の人がとんでもなく美人で明るく素敵で、その嘘みたいな存在感の強さが非常に効いていました。

「恐るべき子供たち」を描いた最近の映画としては、ミヒャエル・ハネケの『白いリボン』(2009)が思い出されますが、描かれている時代も国も別なので、あえて見比べてみるのも面白いかもしれません。

そういえば先日、来日中のスペイン人ミュージシャンのカルロスさんがライブのリハの後、いつの間にか会場の片隅のソファーとテーブルを上手に使ってお昼寝していて、そのシエスタの見事さにやはり本場は違うなと皆で感激致しました。
posted by 井川広太郎 at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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