2006年11月17日

アカデミーヒルズ六本木ライブラリーのトークイベントに出演

昨日は、アカデミーヒルズ六本木ライブラリーの会員の方を対象にした「ライブラリートーク 映画を創る魅力とは…」にゲストスピーカーとして参加して来ました。

我が恩師であり、アカデミーヒルズアーク都市塾塾長でもある米倉誠一郎先生がモデレーターとのことでお受けしたのですが、やっぱ六本木ヒルズってだけで俺には場違いな感が否めず、緊張しきり。
本当に俺なんかで良いのかなー。オモロい話が出来るかなー。ツマラナイって怒られたらどーしよー。
勢い付けにビールを数缶あおらないことには家を出られないほどでした。マジで。

あー、でも本当、流石に六本木ヒルズの49階ってことだけあって、一望出来る東京の夜景は美しいの一言。
あそこでダラダラ本読めたり色んな人と話が出来るっつーのは非常に素敵。
図書館はやっぱ窓際に限るよね。

で、先にメンバーの方からの質問をメールで頂いていたので、前半は概ねそれに沿う形で俺が『東京失格』を撮るに至るまでの話を進めつつ、後半は米倉先生との対談形式で『東京失格』や映画についてざっくばらんに話させて頂きました。

御陰さまで俺は非常に楽しい時間を過ごさせて頂きましたし、イベント後に読ませて頂いた感想用紙にも「楽しかった」とか「『東京失格』が観たくなった」など、最高に有り難いお言葉も有り、本当に嬉しかったです。
米倉先生を始め、スタッフの方々や参加されたメンバーの皆様に改めてお礼申し上げます。

しかし相変わらずの米倉先生の余りに流暢なベシャリに聞き惚れていると、あっという間に時間が過ぎ、幾つかお応え出来なかった質問が有るので、この場でフォローしたいと思います。



Q.東京にこだわるのは、何か理由がありますか。

自分の10年間を『東京失格』という映画とともに振り返ろうとした時、当然のように自分がずっと暮らしている街が念頭に浮かびました。
好きか嫌いか、良いか悪いか、他と比べてどうかということではなく、東京には何か引力と言うか、底知れぬ魅力を感じ続けています。
『東京失格』は数の少ない登場人物による非常にパーソナルな物語として構築されていますが、それは前提として背景でありまさに土台である東京という街、そして東京に住む他の1000万の人々の可能性をも内包しています。
『東京失格』の物語の主人公は2人の男ですが彼等は架空の存在であると言うこともでき、そういう意味では本当にリアルな主役は、2人の男を通じて描かれた東京という街なのかもしれない。
自分は100年間に撮られた沢山の国の映画を観ることで、その時々の多くの街について知ることが出来ました。
映画は街に依存し、街は映画によってこそ描かれると確信しています。
現在の東京の有りのままの姿を映画史に残したいという欲望が有りました。


Q.井川監督が映画を制作するに当り、これだけは絶対に譲れない、というものは何ですか?
(=一番大切にしていること)


非常に難しい質問で、上手く応えられません。
が、映画は自由であるべきだということでしょうか。
創り手にとっても、観る方にとっても自由でありたいと思います。
あとはアンチバイオレンスとか。


Q.次の映画のテーマは何ですか?

いっぱいあります!
それを皆さんにご覧頂くためにも早く次の映画を撮りたいです。


Q.今まで見た中で、最も感動した映画は何ですか?どういう点に感動されたのでしょうか。

1本挙げるのは非常に困難です。
沢山挙げるのには、お酒と煙草が必要です。


Q.監督は、「○○のために映画を創っている」と、一言で伺うことはできますでしょうか。また、誰のために映画を創っていらっしゃいますか(誰に一番観て欲しいと思いますか)。

愛のために、世界平和のために、相互理解のために、自己存在証明のために、色々な言い方が出来ると思います。
が、本当は自分にとって映画を撮ることは特別なことではなく、他にすることも無く、それしかすることがないのでそうしているだけです。
逆に、いつもずっと「映画を撮るためにはどうしたら良いのか?どうしたらより良い環境でより良い映画が撮れるのか?」と悩み、必死にもがいています。
要するに、俺にとっては「生きる」というのとほぼ同じことなので、意味も意義も目的も後付けのものです。
敢えて言うなら「映画のため」です。

ですから、誰のためにというのも特にありません。
勿論、家族、友人、先生方、あるいはスタッフ、キャスト、今まで自分に直接的であっても間接的であっても関わって下さった全ての人や、そして映画へ、感謝の気持ちを伝えたいという想いは有ります。

ただ、映画を創っている最中、つまり構想から脚本執筆、そして撮影、編集の時点で、語りかけるように作業を共にする「脳内観客一号」はいます。
その「脳内観客一号」は、大概その時は会えない実在の人を想定していたりするのですが、その人に何とかして俺の想いを伝えたいという気持ちで創っていきます。

そうして出来上がった作品をどう観るのかは、観客の全くの自由だと思いますし、寧ろ自分が意図しないような見方をしてもらえると、映画を通じて他者と新たな対話が出来たと非常に嬉しい気持ちになります。

自分がそうであったように、映画を通じて新しい世界が開けることが、観客にとっても創り手にとっても最大の喜びだと思います。
そして、それが新しい映画へのキッカケにもなるのだと思います。
上辺や形式や記号などではなく、自分の映画は人の生き様をリアルに映していると確信しています。
そういったものは、例え時代や場所や環境が違っても、誰かの想いと共感し得ると思う。
というより、まさにいま、そう実感しています。



あと、図書館なので「推薦本」を挙げて欲しいと頼まれました。
自分はあまり本を読まないので、推薦出来るようなものはないのですが、以下の2冊の愛読書を挙げることで代えさせて頂きました。

ジャン・ルノワール 越境する映画』野崎 歓 (著)  青土社 (2001/04)

ジョン・カサヴェテスは語る』ジョン カサヴェテス (著), レイ カーニー (編集) ビターズエンド (2000/03)


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posted by 井川広太郎 at 17:22| 東京 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
井川監督のトーク、大変楽しませて頂きました。
トーク後に、「『東京失格』は、あの作り方でしか作れない!」とのコメントを伺いました。
やっぱり人を自然に動かそうとしたら、心がないとダメなんですねぇ。

心に残る言葉でした。
Posted by Suzuki at 2006年11月20日 22:29
Suzukiさん
コメントの書き込みおよびイベントへのご参加有り難う御座居ました。
俺には「情熱」しか無いから、それを少しでも他者に伝えたり共有したいという一心です。
でも、それって相対的な価値観ではないから、国や時代や文化を越えて受け入れてくれる人がいて、物凄く嬉しいです。
ああいったイベントは慣れない場で緊張しきりでしたが、だからこそ自分にとっても有意義でした。
楽しかったです!
Posted by 井川広太郎 at 2006年11月21日 11:40
ロッテルダム国際映画祭ご招待おめでとうございます。
ライブラリートークの中で、「ヨーロッパ進出が次の目標だ」とコメントされていましたが、こんなに早く達成されて素晴らしいですね。是非がんばってきてください!!
Posted by AHスタッフ一同 at 2006年11月21日 14:24
AHスタッフの皆様
こちらこそ大変にお世話になり有り難う御座居ました。
ライブラリートークでは、スタッフの皆様や参加されたメンバーの方から本当に色々な刺激を受け、改めて精進して行く所存であります。
今後とも宜しく御願申し上げます。
Posted by 井川広太郎 at 2006年11月22日 23:02
井川監督、こんにちは。

先日は、トークイベントでたくさんの興味深いお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございます。ずっとワクワクしながら、伺っておりました。
『lost in tokyo』をはじめ、全ての作品の”本編”を是非、観たいです!
どうしたら、観ることができますか?

遅くなりましたが、昨日、私も自分のブログにトークイベントのことを綴りました。

もしよろしければ、遊びに来てください♪

☆ブログ100日マラソンに挑戦しています!
http://www.kokoroplanet.jp/preview.kp?ii=46615089
↑ ココプラに登録すると、”えっちゃん”のブログをご覧になれます。
Posted by etsuko kobayashi at 2006年11月28日 12:01
etsuko kobayashiさん
トークイベントへのご来場そしてコメントを有り難う御座居ます!
『東京失格』はいまのところロッテルダムの上映以外、残念ながら皆様にお見せする機会がありません。
一人でも多くの方に観て頂けるよう、今後も努力して行きますので、気長にお待ち下さい。上映情報などがあれば、真っ先にこのBlogで紹介します!
またココプラというSNSに自分は登録していないので拝見出来ませんが、トークイベントのことを書いて下さってありがとうございます!
Posted by 井川広太郎 at 2006年11月30日 13:49
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