2012年11月02日

Playback

Playback』(2012年/日本/113分/配給:PIGDOM)

第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門正式出品作品

行き場を失くした男の、ある「再生」の物語

誰にでも立ち止まりたくなるときが、ある

勢いだけですべて可能だと、そう信じていたときが終わり、ふと立ち止まる瞬間が訪れる。
いままで自分は何をしてきたのか、そしてこの先どうなるのか。
そんな、誰もが体験するだろう不安を『Playback』の主人公ハジも、40歳を手前にして抱えている。
そんなときに彼は、自らが生きてきた道を辿り直すことで、かつての自分や仲間たち、故郷の風景を改めて発見するだろう。
後悔するためではなく、自らの「再生」を始めるために。


新しき才能との出会いー三宅唱×村上淳×大橋トリオ

監督の三宅唱は、本作が劇場公開デビュー作となる28歳の俊英。
加瀬亮など、映画をこよなく愛する俳優たちをうならせた処女長編『やくたたず』(10)をみた村上淳が、監督にラブコールを送り、この企画が実現した。
監督はその返答として、村上の実人生と重なり合うような、俳優を職業とする主人公を作り出した。
自然体ながら、まるで初めて出会うような村上淳がここにいる。
また渋川清彦、三浦誠己、河井青葉、渡辺真起子、菅田俊ら、エッジの利いた実力派俳優たちが脇を固めるほか、主題歌を提供した大橋トリオの存在も忘れてはならない。
三宅唱という新しき才能を発見する興奮。
そしてその才能と、日本映画を代表する俳優たち、美しいメロディとの幸福な邂逅を、ぜひとも劇場で感じてほしい。


STORY

仕事の行き詰まりや妻との別居など、40歳を手前に人生の分岐点に立たされた映画俳優ハジ。
だがすべてが彼にとっては、まるで他人事のようだ。
彼を良く知る映画プロデューサーは再起のチャンスを与えようとするが、まともに取り合おうともしない。
そんなハジが旧友に誘われ、久しぶりに故郷を訪れる道中、ある出来事が起こる。
居眠りをして目覚めると、なんと大人の姿のまま制服を着て、高校時代に戻っているのだった……。
現在と過去が交錯し、反復されるその世界で、果たしてハジは再び自分の人生を取り戻せるのだろうか。



監督 三宅唱
出演 村上淳、渋川清彦、三浦誠己、河井青葉、山本浩司、テイ龍進、汐見ゆかり、小林ユウキチ、渡辺真起子、菅田俊

作品公式サイト http://www.playback-movie.com/

2012年11月10日よりオーディトリウム渋谷にてロードショー!ほか全国順次公開予定!


過去の名画が素晴らしいのは、何十本、何百本という同時代の名作の中からさらに選び抜かれた、選りすぐりの一本だからである。
はたして、数多くの新作映画に触れる我々にとっても、永く語り継がれるであろう作品に出会うことは稀である。
であるから一人の観客として、名画の誕生の瞬間に立ち会えたのは心から嬉しいし感動的ですらある。
きっと2012年は『Playback』を観た年として記憶される。

繰り返されることで色褪せていく日常の、くすんだ美しさを呼び起こすこの映画は、観る者それぞれに忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれる。
演技する楽しさ、スケボーの面白さ、とりとめのない会話の心地よさ、初恋のときめき、夢と希望を抱く興奮、人を愛する幸せ…
僕は、映画を観る喜びを思い出した。

posted by 井川広太郎 at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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