2007年04月16日

『世紀の光』問題 署名のお願い

タイの映画監督であるアピチャッポン・ウィーラセタクン(アピチャートポン表記もあり/Apichatpong Weerasethakul)の新作映画『世紀の光(英題:SYNDROMES AND A CENTURY)』が、同国の映倫の審査を通らず、監督はタイ国内での上映を諦めフィルムの返却を求めたが、同映倫は「該当する4シーンの削除が終了してから返却する」という。

映倫による上映禁止という判断自体は非情に残念ながら世界のどの国でもさほど珍しくもないのだが、フィルムを事実上没収するという行為は、全く理解出来ない。

これに対し、タイのfilm foundationが嘆願書への署名活動を開始しています。

以下、コピペしてありますので、賛同された方は是非、署名の方をお願い致します。

特に我々のような外国からの署名は、非常に有効だと思われます。

国立立法議会 & タイ政府御中

“原題:セーンサタワット”(SYNDROMES AND A CENTURY/世紀の光)が、映倫管理委員会(略して映倫)の審査に通らなかった件に関して、映倫側は、4シーンの削除を条件に、(タイ国内での)上映を認めるとしている。しかし、Apichatpong Weerasethakul監督は、前述の4シーンの削除を認めないという意思表示を明確にするため、タイ国内での商業上映を行わないという結論を出した。その点について、監督は次のようなメッセージを寄せている。

“ひとりの映画人として、私は自分の映画を、息子あるいは娘のように思っている。私が彼らをいったん生み出したら、そこから先の命は、彼らのものである。私は、世間の人々が私の子供を愛してくれるか、あるいは嫌うか、といったことは気にしない。ただし、私は彼らを深い愛情と、産みの苦しみを経て、創造しているのである。だから我が子が、いかなる理由であれ、自分の国に居ることが出来ないのならば、自由にしてやって欲しい。ありのままの彼らを温かく迎えてくれる場所は、他にもあるからだ。システムへの恐れや、欲望のために、彼らを不具にしていい理由など、あってはならない。そうでなければ、芸術作品を産み出し続ける理由など存在しないのではないか。”

 Apichatpongの代理人は、映倫に対し、フィルムを返却するように要請した。その際に、映倫の委員会に対し書面で、タイ国内での商業上映を行わないため、再審査の要請を取り下げる旨を伝えている。しかし、映倫の担当者は、フィルムを元の状態では返却しない可能性が出てきた。担当者は、該当する4シーンの削除が終了してから返却すると回答しているのだ。(この経緯に関しては、http://a-century.exteen.comを参照)
 
 今回の『世紀の光』の事件に関して、各種媒体、特にインターネット上で、様々な意見が表明されている。その殆どが、タイ国映倫の審査システムの横暴さに、全く同意できないという意見である。それは、国民が情報を知る権利と、意見を自由に表明する権利の自由を政府が制限しているシステムと受け止められている。このシステムは、君主制だった仏暦2473年(西暦1930年)に映画法令が施行されて以来今日まで使用されている。

 タイ国で、映画の自由を制限するこのようなシステムが、今日まで変わらずに続いているのは、不思議である。過去30年間においても、映画業界から、民主主義の現状に合わなくなってきた前述の法令の改訂を求める動きが、何度も何度もあったにもかかわらず、成功していないのだ。

  今回の『世紀の光』の事件が起こった仏暦2550年(西暦2007年)は、国家がちょうど新憲法草案を制定する時期にあたる。そこでこれを機会に、私たちタイ国民は、タイの映画人、世界中の映画ファン達と力を合わせ、映画を通じて情報を得たり、自由に意見を表明するという、人間の基本的人権の回復を要求しようではないか。この媒体(映画)だけが、唯一民主主義に即していず、いまだに国家権力という鎖にきつく縛られているのだ。

  今回署名を行う私達は、民主主義制度の下で、基本的人権と尊厳を持った者として、憲法草案委員会に対し、権力の鎖からずいぶん以前に解き放たれている他の媒体、例えば、新聞、ラジオ、テレビなどの他の媒体と同じく、映画も国家権力から権利を制限されることなく自由を持つ媒体として制定されるように、要求しようではないか。

 それは、映画法令、(ビデオ?)テープとTV素材法令を、時代遅れで役立たずのものにし、また、民主主義社会の中で、基本的な権利をベースに、観客の分類を行うような新しい映画の審査システムの構築をするためでもあるのだ。

署名サイト http://www.petitiononline.com/nocut/petition.html

タイ→日訳文出典:タイ映画&アジアな毎日 Thai Movie & Asia Entertainment Diary


簡単に要約すると、「タイにおいては未だに当局が映画を上映するか否かの検閲を一方的に行っているがそれは映画が情報統制されていた時代の名残であり、自由主義の国のようにRatingシステム(あのR-18とかR-15といった年齢によって観客を制限する制度)を伴った法律に改訂して欲しい」という要求です。

上記リンク先ページの一番下段にある「click Here to Sign Petition」というラジオボタンをクリックし、次のページの「NAME」欄に半角英数ローマ字で名前を入力、その下の「Email Address」欄に同様に入力(勿論フリーメールでok)、一個飛ばして「Country」欄にjapanと入力、そのままだと「Emailアドレス非公開設定」になっているので、そのまま「Preview Your Signature」ボタンを押して、次のページで完了です。



カンヌ国際映画祭の審査員賞も受賞し、いまやタイのみならず世界的に最も注目される映画監督であるアピチャッポンは元々、白川幸司監督が親しい友人で、その縁で俺も仲良くしてもらっていた。

そして昨年のバンクーバー国際映画祭で、『東京失格』がノミネートされたドラゴン&タイガーアワードの審査員の一人がアピチャッポンで、驚きの再会。

『東京失格』は受賞を逃したのだけれど、彼は俺の作品を気に入ってくれて、現地では何度も呑んだし、その後も度々メールするようになった。

今回の件を知って昨晩彼にメールしたのだが、やはり現状は好転しておらずこの署名も有用なようなので、ご理解して頂ける方は是非ともご協力をお願い致します。



アピチャッポンが上記声明文の中で言っている、“ひとりの映画人として、私は自分の映画を、息子あるいは娘のように思っている…” という言葉が全てを物語っていると思う。

著作権などと言うとややこしいし、実際そう言ってしまうと複雑な問題が絡んでくるし、俺も色々と考えていることがあるので難しいのだが、単純に、自分が生み出した作品を他人に一方的に操作されるいわれは無いし、同時に誰かにそんな権利も無い。

気に入らないのは仕方ない。だからって、なんで否定しようとするのか。

我が子が、あるいは友人の子供が、そんな暴力に晒されているのに黙って眼をつぶっていられるわけは無い。



実は俺も最近、ここまで極端ではないが似たような状況に合い、非常に辛い思いをした。

それは些細な間違いであったし既に解決したのだが、だからこそアピチャッピンの苦境も良く分かる。



ちなみに俺はバンクーバーで『SYNDROMES AND A CENTURY』を観たが、極めて映画的な映画であり、音楽のような官能が持続し、タイという国への愛情に満ち溢れてはいるが、一体どこを削除すべきか全く思い当たらない。


5月にアピチャッポンが日本に来るって。
その頃には全てが解決していて楽しく呑めることを願います。
posted by 井川広太郎 at 12:10| 東京 🌁| Comment(3) | TrackBack(1) | lost in blog | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶり。andサインしました〜
今の世ですが、信じたくない事情がこういうふうに暴力的に起きている。。。
タイは仏教の優しい國だと思っていたが、こんなに悲しいことをしているなんで、、、><!!!

楽しく飲めるように、願います!


Posted by irei☆ at 2007年04月16日 23:34
>irei☆
ありがとう!!><
映画は国境なんて軽く越えるし、観客は表面だけでなくその真実まで観ているのに、制度はそれに追いつかないことがあるんだよね。
俺も勿論のこと、アピチャッポンの作品を通してタイをもっと好きになった人が世界中に沢山いるというのに!!
でも、俺が知っているタイの人々はみんな優しいから安心して!だから、こういう運動が起きるぐらいなんだから。
署名は2000人を超えたみたい。有名無名に関わらず、世界各国(もちろん台湾も!)の人が署名している。ぶっちゃけ驚くほど高名な人もいれば、学生で熱いメッセージを添えている人もいる。
これをキッカケに、少しでも多くの人が映画を巡る環境に関心を持ち、そしてタイやそれ以外の政府の制度も柔軟になれば良いのにと願うよ。
アピチャッポンと一緒に呑んだら報告します><
ありがとう!
Posted by 井川広太郎 at 2007年04月17日 01:03
映倫で、審査したかも。
Posted by BlogPetの失格くん at 2007年04月22日 11:28
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タイ映画『世紀の光』センサーシップに関する請願書  日本語訳
Excerpt: 監督からの文書も出てました。To: The National Legislative Assembly and The Thai Government    国立立法議会 & タイ政府御中 (タイ..
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Tracked: 2007-04-18 00:30