2015年05月10日

真夜中のゆりかご

真夜中のゆりかご』(原題En chance til/2014年/デンマーク/配給ロングライド/102分)



監督:スサンネ・ビア
脚本:アナス・トーマス・イェンセン
出演:ニコライ・コスター=ワルドウ、ウルリッヒ・トムセン、マリア・ボネビー、ニコライ・リー・カース

5月15日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
公式サイト http://www.yurikago-movie.com/


幼子を亡くした刑事が、愛する妻のために無謀な計画を実行することから予想外の展開に巻き込まれて行くサスペンス。

面白かった!
育児ストレスという現代的なテーマを扱う社会派のドラマでありながら、よく出来たサスペンスとしてエンターテイメント性が非常に高い。

荒唐無稽なストーリーを、時には圧倒的な説得力を持って、そして時にはギャグになるスレスレのラインを勇気を持って描く手腕は見事。
物語はシンプルで展開も単純なのに、緊張感溢れる巧みな演出でギュッとハートを掴み、一瞬たりとも飽きさせず、すっかりお腹いっぱいにさせてくれる。
その肝要はなんといっても本作でもやはり、役者がノリノリなことなのである。

主役はもちろん、ちょいと映る端役にもこってりとしたクセがあって、話の筋とは全く別のところでもギンギンに琴線に触れてくる。
登場人物それぞれに人生と生活があるんだって想像力をかき立ててくれるから堪らない。

唐突に出てくる長距離トラックの運ちゃんとか、通り過ぎずにそのまま物語の中枢に居座っちゃうんじゃないかってぐらいの存在感があって引き込まれる。
でもそれは偶然なんかじゃないってことは、この作品のアイコンとして様々なところに配置されている電飾が、彼のトラックの中でもキラキラ輝いていることからハッキリと分かる。

さり気なく凝りに凝った衣装と美術とか丁寧に作り上げた世界観の中で、俳優たちが活き活きとしている様がなんとも楽しい。
それはまるでガラス張りの家で生活する一家のようですらある。

育児ストレスは、核家族化が進んだ現代では非常に深刻な問題だと思う。
それに真正面から向き合いながら、決して重くならず、むしろ軽やかに、誰でもハラハラドキドキを楽しめるようなエンターテイメント性の高いサスペンス映画に仕上げている点が素晴らしい。
posted by 井川広太郎 at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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