2015年10月10日

顔のないヒトラーたち

顔のないヒトラーたち』(原題 Im Labyrinth des Schweigens/2014年/ドイツ/配給アットエンタテインメント/123分)



監督:ジュリオ・リッチャレッリ
製作:ヤコブ・クラウセン、ウリ・プッツ、サビーヌ・ランビ
出演:アレクサンダー・フェーリング、フリーデリーケ・ベヒト

公式サイト http://kaononai.com/
10月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町&新宿武蔵野館(モーニング&レイトショー)ほか全国順次ロードショー


戦後、復興しはじめたドイツで、当時まだ秘密にされていたアウシュビッツでの犯罪に気づいた若き検事が、様々な苦難を乗り越えて裁判に臨んだという史実を基にした、社会派エンターテイメント。

めちゃめちゃ重い実話を、とっても面白いエンターテイメントに仕上げた、珠玉のサスペンス。
思わず、ダンケ!と言いたくなってしまった。

出世と幸せな結婚しか考えていなかった若い検事が偶然、アウシュビッツでの事実を知ることになる。
当初は信じられず、受け入れられないが、多くの当事者と触れ合う中で、次第に確信に変わっていく。
そして無知であった己を恥じ、加害者達のあまりの非道さに怒り、真相を探ることに自分の全てを捧げていくようになる。
しかし、姿を見せぬ者たちによってアウシュビッツは何重にも秘められ守られていて、謎を解くことは容易ではない。
誰が敵なのか、味方なのかも分からなくなっていき、疑心暗鬼が広がっていく。
捜査は思うようには進展せず、職場での立場も危うくなり、さらに私生活すら脅かされていく中、彼が下した決断とは…!!

巨大な組織を前にして無力感に苛まれながらも、しかし一人の勇敢な行動が多くの仲間の決起を促し、少しずつだが確実に大きな変化を生み出していくというストーリーに、素直に感動した。
そうだよな!本当に、その通りだよな!たとえ最初は孤独であっても、信念と勇気を持って諦めずに行動し続けるしかないんだよなって、心から思った。

ところで、この映画はサスペンスで、全編に独特の怖さが漂っているのだが、その恐怖感を演出するテクニックとして敵が全く映らない。
それどころかアウシュビッツの史実も、ほとんど証言によってのみ展開し、物的証拠が映らない。
それによって、まるで主人公は黒い霧に立ち向かうような、悪夢と対峙しているような、異様な雰囲気が立ち込めていてる。
そう、まるでハネケの『白いリボン』(09)のような目に見えぬ圧倒的な怖さが潜み、うごめいているのだ。
そう考えるとガチに怖くてブルってしまうのだが、なんというかドイツ映画ならではの凄みなんだと思う。
posted by 井川広太郎 at 00:13| Comment(0) | TrackBack(1) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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