2016年03月16日

無伴奏

『無伴奏』(2015年/日本/配給アークエンタテインメント/132分)



監督:矢崎仁司
製作:重村博文
出演:成海璃子、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜、松本若菜

公式サイト http://mubanso.com/
2016年3月26日より 新宿シネマカリテほか全国ロードショー!


直木賞作家小池真理子の半自叙伝的小説を原作に、70年安保闘争の最中に仙台で受験を控える少女が、年上の男たちと出会い成長していく姿を描く。

傑作でした。
こんなん矢崎監督にしかできない、誰にも真似できないような独特の映画。

ぶっちゃけ最近、見終わった瞬間に全てを忘れてしまうような軽い映画をたくさん見ていたのだが、この映画は全く逆で、見終わってから幕が上がるような本物の映画。
劇場を出た後に余韻に浸るというより、まるで現実に体験したかのような実感を持って、日常の中で感傷がグッとこみあげてくる。
それこそバッハの曲のように緻密に築き上げられた螺旋状の構成が、感動を波のように繰り返し押し上げてくる。

誰もが経験する青春の過ちと愚かさ、背伸びして傷つくことで大人になっていくあの煌めき。
それを追体験あるいは再体験するような芳醇な時間。

俳優陣が素晴らしい。
安定の池松君が見せる起伏の激しさと秘めたる歪んだ内面が抑揚をつけ、斎藤工のぽっかりと空洞のような虚無感が時代感とシンクロしている。
なにより成海璃子の肉体の眩さが心に焼き付いて忘れがたい。
美しく壊れやすく、儚く逞しい青春を表象し、とうに全て失われてしまった何かを呼び起こしてくれるようだ。
posted by 井川広太郎 at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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