2016年05月04日

ダーク・プレイス

『ダーク・プレイス』(DARK PLACES/2015年/イギリス、フランス、アメリカ/配給:ファントム・フィルム)



監督・脚本: ジル・パケ=ブランネール
原作: ギリアン・フリン(『ゴーン・ガール』)
出演:シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、クロエ・グレース・モレッツ

公式サイト http://dark-movie.jp/
6月より、TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開


28年前に起きた一家惨殺事件の生存者の女性が、トラウマに苦しみながらも事件の真相に迫るミステリー。

面白かった!

メディアに注目された殺人事件の唯一の生存者、その彼女はとんでもなくクズな大人になっていたというセットアップからして堪らない。
かよわい被害者として同情を集めたのは遥か昔、事件の”当事者”としてのトラウマから誰も信用できず、義援金などに頼って生きているうちに経済的にも自立できていないロクデナシになっていましたとさ、という人物造形が秀逸。

そして、次から次に出てくる事件と彼女を取り巻く人々も、みんな揃いも揃ってどうしようもないクズたちなのだが、そんなクズたちが、少しはマシに生きるために自らのトラウマに立ち向かい、事件の真相を探っていく。
弱い人たちのほんの少しの勇気が次第につながり広がっていく過程が素直に感動的。

見方を変えれば、全員があの事件によって28年経っても消えない傷を心と体に負っているとも言える。
犯罪は法とか罪とかの問題だけではなく、加害者、被害者、そして周りの多くの人たちを傷つけるものなのだと痛感する。

かといって僕らはどうしても、過ちを犯してしまう。
無邪気な子供たちの残酷さや、間抜けな大人たちの必死さが、無自覚な悪意として他人を傷つけてしまう様子が、とてもよく出ていて、見ていて辛い。
聖人君子などいるわけもなく、誰もが心当たることがあるはずで、そういった痛みの記憶がズキズキと疼く。
みんなそれぞれが懸命で、そして等しく愚かだ。
だとしたら、僕たちはどうしたら寛容になれるのか。

「黄色い馬」という小さな疑問が全く予想だにしない、しかし素晴らしく映画的に昇華される瞬間は、衝撃的な事件の後の28年間という途方もない時間を生き延びた彼女へのささやかな祝福のようでいて美しい。

ミステリーとしては辻褄が合わないところやよく分からないところとかあるにはあるんだけど、謎解きではなく、愛と家族をめぐる話であることがとても良かった。
未解決事件や不可思議な事件の真相は、全てが愛の問題なのではないかとすら思えて来る。
posted by 井川広太郎 at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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