2016年05月30日

二ツ星の料理人

『二ツ星の料理人』(原題:Burnt/2015年/アメリカ/配給:KADOKAWA/101分)



監督:ジョン・ウェルズ
製作:ステイシー・シェア、アーウィン・ストフ、ジョン・ウェルズ
共同製作:キャロライン・ヒューイット
出演:ブラッドリー・クーパー、ユマ・サーマン、エマ・トンプソン、シエナ・ミラー、オマール・シー

公式サイト http://futatsuboshi-chef.jp/
6月11日(土)より 角川シネマ有楽町 , 新宿ピカデリー , 渋谷シネパレス ...他 全国ロードショー


腕前は天才的だがトラブルの絶えないシェフが、三ツ星を獲得するために再起を図るレストラン・エンターテイメント。

最高!泣いた!めちゃくちゃ面白かった!!
早々に台詞で「『七人の侍』は最高の映画だ」とか言ってしまうから、こちらもブルってしまうのだが、その果敢な宣誓に恥じぬ、素晴らしい映画であった。

料理の腕前は折り紙付きで、知識も経験も十分!
とはいえ厨房はなによりチームワークが大切なので、性格にクセがある彼はレストランを経営するたびに失敗してしまう。
パリで大きな失敗をしてからアメリカでみそぎを終え、再起をかけてロンドンで開店の準備を始める。

まずは仲間を集めていくのだが、その過程がまるで七人の侍。
「厨房は戦場だ!」と啖呵をきって個性的なメンバーを一人ずつ口説いていくのだが、その中で主人公のシェフの過去や人柄も見えて来る。
そして紆余曲折経てオープンしたレストランの厨房のシーンが圧巻。
まさに戦場かのように、組織化された大勢が細かく分担されたそれぞれの仕事を激しくかつ緻密に入り乱れながらこなしていく。
怒声が響き料理人たちが走り回る厨房の描写が素晴らしく、まるで映画の現場のようですらある。

個人の力とチームワークとしての組織力が同時に要求される様子は、まるで映画の現場のようであり、オーケストラのようであり、会社のようであり、サッカーのようであり、家族のようである。
そこに生きる人々への愛情がたっぷり注がれたシーンは見るも感動的で、そう、この映画は厨房を描きつつ、監督の深い映画愛に裏打ちされた作品なのだ。

そして、出て来る料理がとにかく全部美味しそう!
是非とも空腹で見るべきだし、鑑賞時には垂涎に備えて前掛けの着用をお勧めするし、劇場の後は最寄りのレストランに直行すべきなのである。

成長物語、恋愛、親子関係、しがらみや葛藤、ライバルとの友情と堂々と展開する王道のストーリーのど真ん中を深い映画愛が貫き、監督のありったけの思いがこもったとても重厚な映画である。
そしてラストで三ツ星を目指していたはずの主人公が辿り着くささやかな境地に、本当の「勝ち」とは何なのか、まるで七人の侍を向こう側から見るような爽快感がある。
posted by 井川広太郎 at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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