2017年06月16日

『丸』(2014年/日本/配給 マグネタイズ/89分)



監督:鈴木洋平
プロデューサー:池田将、今村左悶
出演:飯田芳、池田将、木原勝利

公式サイト http://www.yoheisuzuki.com/maru.html
7月8日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて<逆輸入>ロードショー!!


とある民家の中に謎の球体が出現したことから巻き起こる不可思議な出来事を描く不条理劇

映画にはいろんな表現や可能性があるにも関わらず、昨今の映画館で観られる映画ときたら、どれも似たようなものばかりだ。
ハッキリ言うと、いま映画館で興行しているほとんどの映画は”ハリウッド映画”の真似事でしかない。

ハリウッド映画がよくできていることには疑う余地はないが、映画にはもっと色んな面白さがある。
音楽で例えるならロックだけではなく、雅楽も、クラシックも、民族音楽もあるように。
好みは人それぞれだからこそ多様性が損なわれると脆く弱くなるし、なにより、似たような映画ばかり観ていて楽しいか?正直、僕は飽きた。退屈だ。

「丸」を鑑賞中、ぶっちゃけ僕の趣味には合わず、素直には乗れなかった。
だが、どうだろう、観賞後に振り返ってみると、稀有な映画体験をしたという充実感がある。
あんな映画は今まで観たことないし、似たような映画が思いつかない。
独特な映画だからこそ、各国の映画祭で絶賛されたというのも頷ける。
万人に受けるかどうかは分からないが、「丸」という映画でしか得られない感覚、感情、感動があるのだ。
映画にはこんな表現もあるのか、こんな可能性もあるのかと、映画を観る楽しみがさらに広がった気がする。

ありふれた日常かと思いきや、ノイズのような音楽の心地よさに惑わされ、紙一重でシュールな世界へと足を踏み入れてしまい、台詞は全て言葉遊びのように分解され形骸化する中で未知の言語のような独特の響きを帯びてゆき、感覚に訴えかける細やかな演出がちりばめられたパラレルワールドは物語の定型を一切受け入れない。

ファーストフード店のように世界中どこでも同じ味が提供できるというシステムは紛れもなく偉大だ。
しかし例えば異国を訪れたのなら、その土地ならではの料理を楽しみたいという人には「丸」をオススメする。
お口に合うかどうかは分からないが、しかしきっと忘れがたき映画体験になるはずだ。
posted by 井川広太郎 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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