2017年10月25日

リュミエール!

『リュミエール!』(原題 Lumiere!/2016年/フランス/配給 ギャガ/90分)



監督 ティエリー・フレモー
製作 ティエリー・フレモー、ベルトラン・タベルニエ

公式サイト http://gaga.ne.jp/lumiere!/
10月28日から東京・恵比寿の東京都写真美術館ホールほか全国で順次公開


映画の父“リュミエール兄弟”が製作した作品1422本から厳選された108本で構成された映画

1895年12月28日にリュミエール兄弟がパリの劇場で興行し、映画が誕生した。
到着する列車の映像を観た観客が逃げ出したという逸話は有名だが、実際、大好評でそれ以降、次々に映画が作れられるようになった。

リュミエールが製作した短編にこそ映画の基本が詰まっているという事実は、古今東西の映画人が指摘してきたことであるが、こうしてまとめて見ることで再確認できる。

当初より演出がなされていたこととその的確さには改めて目を見張るし、アクションと移動撮影こそが醍醐味であること、扉は開くものであること、被写体は庶民であること、行ったことのない場所に連れて行ってくれる世界の窓であることなど、普遍的なエンターテイメント性が貫かれている。

奥行きを作る構図の完璧さは唸るほどで、全く同じ構図が多いことからも徹底した意図が読み取れる。
似たようなカットが続くとさすがに飽きてくるのだが、そんな時に異質な構図が挿入されるとまた感動的で、逆説的にカット割という概念を予感させてくれる。

ナレーションが語りすぎて作品の邪魔をしているという見方もあろうが、この偉業の前には寛容になるべきだし、そもそもリュミエールに音はない。
ちなみに劇中で映画史に絡めて幾つかの作品と監督が挙げられるが、そのうち実に二つが日本映画である。

リュミエールの作品をまとめて一本の映画にするという発想を、なぜ今まで誰も思いつかなかったのであろうか。
どの短編も極めて高い技術による圧倒的な映像美と、信じられないほどの瑞々しさに溢れていて驚くほどに素晴らしい。
この映画はリュミエールの作品をまとめて見るのに最適な美の教科書だ。
posted by 井川広太郎 at 10:44| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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