2018年03月21日

泳ぎすぎた夜

『泳ぎすぎた夜』(原題 La nuit ou j'ai nage/2017年/フランス・日本合作/配給コピアポア・フィルム、NOBO/上映時間 78分)



監督:五十嵐耕平、ダミアン・マニベル
製作:ダミアン・マニベル、マルタン・ベルティエ、大木真琴
出演:古川鳳羅、古川蛍姫、古川知里、古川孝、工藤雄志

公式サイト http://oyogisugitayoru.com/
2018年4月14日より、シアターイメージフォーラムほか、全国順次公開


子供を演出するのは映画の極意みたいなところがある。
”子供映画”の金字塔であるアッバス・キアロスタミの「友だちのうちはどこ?」と「トラベラー」を彷彿とさせる本作をダミアン・マニベルと共同監督した五十嵐耕平くんは、新作「ライオンは今夜死ぬ」でも子供を演出し続けている巨匠、諏訪敦彦監督の教え子であり、そこには確かな意志と偽らざる伝統を感じる。

第74回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ・コンペティション部門に正式出品された「泳ぎすぎた夜」は雪深い青森を舞台とし、現地に暮らす演技未経験であった古川鳳羅くんを主役に迎え、子供が小さな大冒険をする話である。
ほぼ台詞は無いながら、押さえきれないエモーションを身体の全てと街の一部を使って鳳羅くんが表現する中で、様々な物事に機敏に反応する子供の頃の純粋な感情と、未知と発見に溢れた世界の面白さ、そして、いつの間にか見失ってしまった日常の楽しさを思い出させてくれる。

2017年11月に有楽町朝日ホールほかで開催された国際映画祭「第18回東京フィルメックス」では学生審査委員賞を受賞し、さらに国内最大級の映画レビューサービス・Filmarks(フィルマークス)とのコラボレーションで創設された「Filmarks賞」も受賞した。
海外やら国際映画祭やらで評価された映画となると小難しそうに感じるかもだが、なにより日本の若き学生や一般観客が実際に観てこの映画を選んだというのは、なんとも感慨深い。

誰もが確かに体験していながらとうに失われた何かを、圧倒的な自然に囲まれて暮らす人々を捉えた美しい映像で描く『泳ぎすぎた夜』は、言葉ではなく感覚的に訴えかっける子供映画のようでありながら、子供を思う父親の目線をも湛えた映画であるというのもまた感動的。
posted by 井川広太郎 at 09:24| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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