2018年05月09日

ナイルの娘

K'sシネマで開催中の台湾巨匠傑作選2018で侯孝賢の「ナイルの娘」を鑑賞。
「恋恋風塵」と「悲情城市」という二大傑作の間に作られたためか、なかなか上映機会がなかった幻の映画が、まさかのデジタルリマスター。
僕にとっても唯一、侯孝賢の旧作で見逃していた作品なので、まっことありがたや、ありがたや。

アイドル歌手を起用した企画ものではあるが、随所に侯孝賢の印が散りばめられていて、なかなかどうして素晴らしい。
やくざ者の兄を持つ妹の日常という、ジャンル映画にすらなりきれない独特の設定が逆にシュールな世界観を構築しつつ、そもそも物語に依存せずに台北の情景を映し出していく。

街の息吹の生々しさと対照的に、ヒロインの非リアルで地に足がつかない雰囲気が、むしろ少女漫画的なメルヘンを効果的に醸し出している。
急成長を続けコントロールを失いつつある台北という都市は、心と体のバランスを持て余す思春期の少女に似ているのか。

若きカオ・ジエがイケメンすぎるんだけど既に凄みがあって、なんなのこの色気はと思ったら本作でデビューしたらしい。末恐ろしい。
侯孝賢のマドンナ、シン・シューフェンや、キングオブおじいちゃんリー・ティエンルーも出てて勢揃い感も半端ない。
やっぱり家族とは、そろって飯は食う人達のことなのだ。

劇場は大変な混雑具合で、三百人劇場での台湾映画祭を思い出してグッときた。

posted by 井川広太郎 at 09:00| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする
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