2007年07月13日

ヒロシマナガサキ

ヒロシマナガサキ (原題:WHITE LIGHT/BLACK RAIN:The Destruction of Hiroshima and Nagasaki) 2007/アメリカ/1時間26分/配給:シグロ/ザジフィルムズ

製作・監督・編集:スティーヴン・オカザキ

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被爆者14人の証言 勇気という名の希望

本作は、アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞に輝いたスティーヴン・オカザキ監督が、25年の歳月をかけて完成させた渾身のドキュメンタリー映画である。
広島、長崎の原爆投下から60余年を経た今、日本でも記憶が薄れつつあるが、アメリカをはじめ世界の多くの人々はいまだその被害の実態を知らず、被爆者の現実についてもほとんど知られていない。
原爆の被害に対する認識と関心を、世界に呼び起こしたいと考えたオカザキ監督は、被爆者が高齢化していくなか、せきたてられるように日本を訪れ、実に500人以上の被爆者に会い、取材を重ねた。
14人の被爆者の証言と、実際の爆撃に関与した4人のアメリカ人の証言を軸に、貴重な記録映像や資料を交え、ヒロシマ・ナガサキの真実を包括的に描いた本作。被爆者の想像を絶する苦悩に向き合い、彼らの生きる勇気と尊厳を深く受け止め、私たち観る者を圧倒する。

今、作らなければ 今、伝えなければ

スティーヴン・オカザキ監督は1952年ロサンゼルス生まれの日系3世。英訳の「はだしのゲン」を読み広島、長崎の原爆投下に関心を深めたオカザキは、1981年に広島を初めて訪れ、被爆者を取材した第1作「生存者たち」(82)を発表。日系人強制収容所を描いた作品「待ちわびる日々」(91)でアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した。
アメリカでは原爆投下が「戦争を早期に終わらせ、日米両国民の命を救った」との認識が強い。オカザキ監督はヒロシマ・ナガサキの事実を伝え、核の脅威を世界に知らしめることを自分の役目と考えるようになる。
胎内被爆の現実にも迫った中篇「マッシュルーム・クラブ」(05)は2005年アカデミー賞にノミネートされた。
そして今年完成した「ヒロシマナガサキ」は彼のこれまでの映画人生のひとつの到達点ともいえる。

いつか来た道に、ふたたび戻らないために

現在、世界には広島に落とされた原子爆弾の40万個に相当する核兵器があるといわれる。また2001年9月11日の同時多発テロ以降、世界的緊張とともに核拡散の危機が急速に高まり、核兵器による大量殺戮が現実化する恐れも出てきた。
このような状況のなか、「ヒロシマナガサキ」は、2007年、広島に原爆が投下された日である8月6日に、全米にむけてテレビ放映される予定である。
本作は、アメリカのみならず世界中の人々に、広島、長崎で何が起きたかを知らしめ、核兵器の脅威に対して強い警鐘を鳴らす作品になるだろう。


公式サイト http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/

7月28日(土)より岩波ホールにてロードショー


この原爆に関するドキュメンタリー映画の最大の特徴は「アメリカ映画」であること。

日本人にとっては誰でも知っている当たり前のこと。

その当然のことが忘れられ、薄れ、描く事すらできなくなった現在の日本への贈り物だと思う。



あまりにも生々しい映像を避ける人がいるかもしれない。

しかし、それは、60年前に実際に避ける事も出来ずに苦しめられた人々への冒涜だ。

我々には、それを直視する義務がある。



悲しみは終わらず、傷は癒えておらず、事実は永遠に変わらない。

これからどうするのか、それ以前に知らなければいけない事がある。

知らないのなら、これから知れば良い。

無視するのは暴力だ。

我々は映画という力で、時間や国境や文化や全てを越えて分かち合うことが出来る。



戦争とか、暴力とか、平和とか、つまりは我々の日常にとって最も大事な記憶がある。

是非、観て下さい。
posted by 井川広太郎 at 23:37| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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