2007年09月27日

ヴィーナス

ヴィーナス 原題:VENUS/2006年/イギリス/95分/配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ=シナジー

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『ノッティングヒルの恋人』や『Jの悲劇』などで世界的な注目を集める、イギリス映画界の匠ロジャー・ミッシェルが名優ピーター・オトゥールを擁して紡ぎだす、ロマンチックでおかしく、愛しさにみちた人間讃歌。生きていることの哀歓、無常、切なさをリアルな映像のなかに散りばめながら、どんなかたちでも人と人との絆が培えることを美しく謳いあげていく。高年齢化社会を迎えた現代にふさわしい、大人のヒューマン・ドラマだ。
 「アラビアのロレンス」以来8度のアカデミー主演男優賞にノミネートされたピーター・オトゥールが、老境の孤独と悲哀、人生の諦観と生(性)の執着を圧倒的な表現力で演じている。

若い頃はもてはやされ、女性とのさまざま浮名を流した俳優のモーリスも、もはや70歳代。成功したはずの俳優の仕事も最近まわってくるのは死体の役や脇役ばかりで、俳優仲間のイアンと“お迎え”を待つ日々を送っている。そんな彼がイアンの姪の娘ジェシーをみてときめいた。下品で無作法であってもこの若さの輝き、肌の張り。彼女こそわがヴィーナス、残りの人生を充実させてくれる生き甲斐だ。かくして、モーリスは邪険にされても相手にされなくても、なんのその。あらゆる手練手管を駆使してヴィーナスにアプローチ、彼女の“生の煌き”になんとか触れようとする……。

監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ピーター・オトゥール/レスリー・フィリップス/ジョディ・ウィッテカー/リチャード・グリフィス

10月27日(土)シャンテシネほか全国にて順次公開
作品公式サイト http://www.venus-cinema.com/


面白かったです。素敵な映画でした。

平たく言うと、老いぼれジジイがピチピチの女子にハッスルするっていうだけの話なのだが、実はかなりシリアスな状況だったりもする。

しかし、全く悲壮感がない。

寧ろ、そういった悲劇的な状況をも「生きること」で乗り越えてしまう逞しさと言うか、長生きしてこその生きる術の巧みさと言おうか、死ぬことも余裕で受け入れつつ生きることをエンジョイしている様、つまりはそういったlive through thisがこの映画のモチーフであってドラマツルギーなのだとも思う。

映画そのものも飽くまでコメディ(喜劇)として描くことに徹して、非常にふくよかな懐の深さを見せ、なんつーか、敢えて当たり障りのない演出に仕上げているのが素晴らしい。

言うまでもなく、そういった自然な演出に仕上げるっていうのは非常に技術がいることで、例えば危うく深刻になりそうなシーンで対位法すれすれの軽やかなBGMでさり気なく展開してみせたりする辺りは、映画的な表現の充実感をヒシヒシと感じた。音楽が良かったです。

生きる為の術という意味では、実はこのじーさんは自分自身をも騙していると俺は思うのだが、それが出来ちゃうのは彼が役者だからと解釈すべきなのだろうが、だとしたら馬鹿正直にしか生きられない若者に演じるという生き様を見せつけたという寓話なのかもしれない、といま思った。じーさんカッコイイ。

というわけで、オモロい映画でした。

こういう映画を観ると、色んな意味で安心します。
posted by 井川広太郎 at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする
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