2018年05月08日

ガチ星

『ガチ星』(2017/日本/配給マグネタイズ/106分)



監督 江口カン
プロデューサー 森川幸治、瀬戸島正治
出演 安部賢一/福山翔大/林田麻里/船崎良/森崎健吾/伊藤公一/吉澤尚吾/西原誠吾/博多華丸/モロ師岡

公式サイトhttp://gachiboshi.jp/
5月26日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次公開


挫折した元プロ野球選手の男が、酒に溺れギャンブルにはまり離婚を経た後、再起を賭けて競輪選手を目指すドラマ

テレビドラマとして放映されたものを再編集、追撮して映画化したとのこと。

そもそも主人公が四十の冴えないおっさんという時点で沁みるが、その上で飲む打つ買う全てにおいてハイレベルな真性クズ。
それを余計な台詞を排したカッコイイ映像で表現しつつ、分かりやすくテンポのいい圧倒的な演出力で一気に魅せる前半はもう、日本版「レスラー」になるのではないかと大興奮。

ストーリーそのものは、王道なスポ根なのだが、なにより主人公のクズ描写がすごい。
プロ野球選手なのにベンチ裏でタバコを吸っているし、パチンコは家族より優先するほど完全な依存症だし、競輪選手になってもルール違反をガンガンしているし、忖度ない表現にはドキッとさせられる。

だけど異様にモテる、そこも良く分かる。だって人間らしく、人間臭いんだもの。
不器用でも、もがいて必死に生きる人間をリアルに描く前半は泣けるし笑えるし身につまされるし、人間の悪いとこも良いとこも見えてきて素晴らしく面白い。
ただ、とてもいいキャラであった競輪学校の鬼教官が秘めた親心なんてのを吐露してからは転調してしまい、僕は乗れなかった。

ともあれ前半のソリッドな演出には本当に驚かされたので、それだけでも間違いなく見応えある。
こないだ某映画館にいたら、横にいた若いおしゃれカップルがガチ星のチラシを手に「この監督、CM出身で面白いから見たいんだよー」って話してた。
なうなヤングには既に知れ渡っているらしく驚いたが、そんな彼らがクズな四十男の生き様をどう見るのか、それもすごく楽しみ。
posted by 井川広太郎 at 21:30| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年05月02日

妻よ薔薇のように 家族はつらいよV

『妻よ薔薇のように 家族はつらいよV』(2018年/日本/配給 松竹/123分)



監督 山田洋次
プロデューサー 深澤宏
出演 橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優

公式サイト http://kazoku-tsuraiyo.jp/
2018年5月25日(金)全国公開


三世代世帯を支える主婦が、とあるトラブルから日頃の不満が爆発し家出をしてしまうホームドラマ

とっても面白かった!
誰もが心当たりのあるシンプルな話で素晴らしい俳優陣の演技が堪能でき、必要以上に押し付けがましくなく、それでいて巧みな演出についつい乗せられてしまい、このシリーズは初めて観たがまったく安心して楽しめる映画だった。
家族あるある満載で、試写会場どっかんどっかんウケてた。

鑑賞後、隣の席の人たちが「あの家族に娘がいれば」とか「愚痴を吐き出す場は必要だから」とか早速、家族や家庭について話し合っていて、まっこと映画の理想だなあと。

家族に不満がある主婦はもちろん、家庭について思うことがある人や、これから新たな家族を迎える人も、身近な人と見に行って鑑賞後にあーだこーだ話し合ったら一層、面白い作品だと思う。

松竹にはこのホームドラマという世界に誇れる伝家の宝刀があるのだから、是非とも今後も続けて欲しいし、こういったハイレベルで素晴らしいホームドラマを撮れる若い監督をなんとか育成して欲しい。
posted by 井川広太郎 at 21:03| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年05月01日

死の谷間

『死の谷間』(原題 Z for Zachariah/2015年/アイスランド・スイス・アメリカ合作/配給ハーク/98分)



監督 クレイグ・ゾベル
製作 シガージョン・サイバッツォン、ソール・シグルヨンソン、スクーリ・Fr・マルムクィスト、ソフィア・リン
出演 マーゴット・ロビー、キウェテル・イジョフォー、クリス・パイン

公式サイト http://hark3.com/shinotanima/
6月23日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー


核戦争後と思しき荒廃した世界で、放射能の影響を免れた谷間で孤独に生きる女の元に二人の男が訪れるサスペンス

どうとでも面白く出来そうな設定なので期待に胸を膨らませ見たのだが、冒頭の30分ほどは裏切らない面白さ。
自然豊かな谷間で孤独に暮らす女、飼い犬だけが友達、原始的な生活の中でも理性を維持する知性、そこに外の放射能に犯された世界から誰かが来るとしたら…確かにこんな感じなのかもしれないと想像力を掻き立てられる。

それ以降は、え、こういう展開するんだ…と些か拍子抜けしてしまったのだが、ロウソクはとんでもなく蓄えあるのかとか、このままではガソリン足りなくなるのではとか、トイレは保つのかとか、万が一似たような状況に陥った際にサバイバルするシミュレーションがいろいろ出来そう。

主演のマーゴット・ロビーはハーレイ・クイン役の人で、いまはトーニャ・ハーディング役の映画が公開中。
大人しい美女役よりも、ワイルドな女の方がハマる気がする。
そういえばハーレイ・クインのスピンオフ映画を計画中とかなんだっけ。
posted by 井川広太郎 at 22:58| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年04月24日

フジコ・ヘミングの時間

『フジコ・ヘミングの時間』(2018年/日本/配給 日活/115分)



監督 小松莊一良
出演 フジコ・ヘミング

公式サイト http://fuzjko-movie.com/
2018年6月16日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー


60歳を過ぎてから世界的な人気を得たピアニストのフジコ・ヘミングに密着したドキュメンタリー

一年のうちの多くの時間を各国での演奏ツアーに費やすためパリを始め世界中に家があり、物に溢れた部屋の中で多数の動物を養いながら、毎日四時間の練習を欠かさない孤独な生活を送っているという。

戦後間もない頃に本人が描いた絵日記の素晴らしさには驚かされ、それを軸に持ってくる構成は面白い。
時折見せる口を歪めるような表情とか、とっておきの皮肉でも飛び出してきそうでワクワクするんだけど、そのあたりももっと掘り下げて欲しかった。

あと、若い指揮者に恋していて「あなたみたいに若ければって言ったんだけど… 二、三年でも楽しく過ごせれば、それでいいじゃない」みたいなことを語るシーンが印象的。
恋多き女感とか、酸いも甘いも噛み分けた感とか、人生を謳歌するためのテクニック感が滲み出ていて、とってもいい話なだけにもっと突っ込んで欲しかった。

ともあれ、never too lateのテーマはグッと来る。
ピアノって本当に素晴らしい楽器だなあ。
僕もまたピアノを習ってみようかしら、遅すぎることなんてきっとないのだから。
posted by 井川広太郎 at 12:41| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年04月22日

四月の永い夢

『四月の永い夢』(2017年/配給ギャガ・プラス/93分)



監督:中川龍太郎
製作総指揮:石川俊一郎, 木ノ内輝
出演:朝倉あき 三浦貴大 川崎ゆり子 高橋由美子 青柳文子 志賀廣太郎 高橋惠子

公式サイト http://tokyonewcinema.com/works/summer-blooms/
5月12日(土) 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー


いまは亡き恋人からの手紙を受け取ったことで、揺れる女の心情を繊細に描く

この映画の舞台は国立市。僕にとっては学生時代を過ごした特別に思い入れのある街なので最初、この映画の構想を監督の中川君から聞いた時には「国立の映画を撮るなんて君には無理だ」と生意気なことを言ってしまった。
ところがどうだろう、完成した作品は見事な国立映画であった。脱帽である。

国立には良くも悪くも閉じた雰囲気があって、外界から切り離され守られているような独特の安心感があり、この映画はそういった国立の空気感を見事に捉えつつ、物語に昇華している。
出て行けそうで出て行けない、例えるなら、まだ冷える春の朝に布団に包まってグズっているような感じか。
そんな温もりに甘えてしまうようなモラトリアムは、誰にでも心当たりがあるはずだ。

そういった社会性に敏感なせいか中川君は、公衆浴場を愛し劇中でも度々使うが、本作ではさらにラジオを巧みに使っている。
ラジオは仕事や家事や移動中など、どこかで何かしながらでも聞くことができるためか聴取者それぞれの生活に馴染んでいて、生放送かつ葉書を紹介したりとインタラクティブな面もあって一体感や共有感が高い。
メジャーなものからマイナーなものまで様々な曲が流れるが、どんな曲もいまどこかで誰かが一緒に聴いているという安心感があるのだ。

であるから、ラジオを愛するヒロインが夜道で、ポータブルオーディオプレイヤーのイヤホンを耳に刺し、密かに音源で音楽を聴いて悦にいるというシーンは、なんとも甘美な背徳感に満ちている。
この曲をいま聴いているのは世界で自分独りであるという優越感、この曲はわたしだけのものなのだという独占欲、他の何も耳には入らないという自己満足、それらが禁を犯した罰でもあるかのように過去の過ちを思い出させるというのは、なんとも象徴的である。

楽しんで良いのか幸せになって良いのか、愚問のようなしかし誠実な戸惑いは、その罪悪感に蝕まれた告白に耳を傾けてくれる人を必要としていた。
ラジオのDJに懺悔の葉書を書いたのも、きっと同じ気持ちであったのだ。

主演の朝倉あきがなんとも見事。
鮮やかな情景を纏いながら瑞々しい感情を湛える映画女優を、心地よい移動撮影と躍動感にあふれた切り返しで存分に捉えた名作だ。
posted by 井川広太郎 at 12:25| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年04月16日

名もなき野良犬の輪舞

『名もなき野良犬の輪舞』(原題 The Merciless/2017年/韓国/配給 ツイン/120分)



監督 ビョン・ソンヒョン
出演 ソル・ギョング、イム・シワン、チョン・ヘジン、キム・ヒウォン、イ・ギョンヨン、ホ・ジュノ

公式サイト http://norainu-movie.com/
2018年5月5日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー


組織の大物と向こう見ずな若者が刑務所で出会い、手を組みながらも疑念と友情との狭間で揺れるクライムドラマ

「インファナル・アフェア」か「男たちの挽歌」あるいはジョニー・トーのノワールを彷彿とさせるが、香港映画のような裏切りの裏切りというドライなテーマも、韓国映画だとウェットな質感を帯びる。

カンヌ国際映画祭で絶賛され韓国国内の映画賞も多数受賞しているとのこと。
二人の主人公の葛藤と意外な展開で魅せようという意図は分かりつつも、そのために他の登場人物たちがちょっとご都合すぎる気がして、僕には少し難解だった。

とはいえ主演のソル・ギョングはもちろん、ハンパないチンピラ感のキム・ヒウォンや、全てが脂ギッシュなイ・ギョンヨン、まるで宇崎竜童なホ・ジュノなどアクも顔も濃い面々が次々に画面に溢れてもうお腹はいっぱい。

そんな中、紅一点のチョン・へジンが綺麗で、登場するたびに癒しになったー。
そういえば美しいマジックアワーのシーン、突っ立って台詞を言い合うだけで単調になりそうなところ、陽落ちしちゃうよ!という緊張感が漲ってハラハラドキドキとても良かった。
posted by 井川広太郎 at 23:15| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年04月12日

29歳問題

『29歳問題』(原題 29+1/2016年/香港/配給 ザジフィルムズ、ポリゴンマジック/111分)



監督 キーレン・パン
挿入歌 レスリー・チャン、レオン・ライ、ビヨンド
出演 クリッシー・チャウ、ジョイス・チェン、ベビージョン・チョイ、ベン・ヨン、ジャン・ラム、エレイン・チン、エリック・コット

公式サイト http://29saimondai.com/
5月19日(土)、ロードショー!YEBISU GARDEN CINEMA他


30歳を目前に迎えたワーカホリックな女が、全く正反対に自由奔放な人生を送ってきた同年齢の女と出会うドラマ

女優キーレン・パンがライフワークとして演じてきた舞台を、自ら監督し映画化したものらしい。
そんなわけで舞台の初演の頃の2005年の香港が舞台のようで、香港の俳優や歌手といったスターのネタがてんこ盛りになっている。

レオン・ライのモノマネしたり、ビヨンドの歌が出てきたり、懐かしかったり笑えたり。なにより、レスリー・チャンがヒロインのアイドルというのは、どうにもこうにも胸熱。
なんだけど、レスリー主演という「日落巴里」というドラマを見たことないので、そのドラマに憧れてヒロインがどうしてもパリに行きたがるというのが全く理解できない。
それが大きなドラマツルギーになっているだけに、分からないことが残念。

初めの方に出てくるバスのシーンが王家衛の「天使の涙」(95)のパロディとは分かったんだけど、それ以外はシーンとしてのオマージュはどこにも発見できなかった。
他にも香港映画に詳しい人ならクスリとくる仕掛けが色々と施されているのかもしれない。

最近は「あの頃」、つまり80~90年代の香港スターを扱った映画が多いと言われる。
当時若者だったファンたちが大人になって懐かしむようになり、あるいは制作者となっての第一線にいるからかもしれない。
台湾映画「私の少女時代」(15)なんかはアンディ・ラウの存在そのものをネタにしつつ、なおかつアンディを知らない人にもちゃんと分かるように描いていて、スターの有効活用ともいうべき映画的なダイナミズムに感動した。
posted by 井川広太郎 at 09:32| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年03月22日

さよなら、僕のマンハッタン

『さよなら、僕のマンハッタン』(原題The Only Living Boy in New York/2017年/アメリカ/配給ロングライド/88分)



監督:マーク・ウェブ
製作:アルバート・バーガー、ロン・イェルザ
製作総指揮:ジェフ・ブリッジス、マリ・ジョー・ウィンクラー=イオフレダ

オフィシャルサイト http://www.longride.jp/olb-movie/
4月14日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国順次公開


作家志望ながら挫折した若者が、恋や出会いを通じて、父と母との葛藤を乗り越え成長していく姿を描く

文学への愛情深い、王道的な成長物語
主人公の苗字が監督と同じだし、格段の思い入れがあるのかも

現在のNYを舞台にさえしなければ、”無難な”作品にはならなかったのではと考えてしまう
いまのNYは商業的すぎて叙情の欠片もないので文学は似合わず、演出だとしてもあまりに寓話的すぎて白々しい
イマドキの感覚だと大した障害もなくオイタもしていない若者に試練だ成長だと言われてもピンとこないし、アバンタイトルの文学と芸術と都市への思索も言い訳のように聞こえてしまう
せめてコスプレにすれば成立したのかもしれないが、やっぱウディアレンって偉大なのかもと思ってしまう

ともあれ俳優陣の存在感が素晴らしく、最後まで見入ってしまう
文句なしにダサかっこいいピアース・ブロスナン、唯一文学的な香りを漂わせるジェフ・ブリッジス、カーシー・クレモンズの可愛さと知的な雰囲気もとても良い
そして、ケイト・ベッキンセールが美しすぎてツライ
posted by 井川広太郎 at 18:13| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年03月21日

泳ぎすぎた夜

『泳ぎすぎた夜』(原題 La nuit ou j'ai nage/2017年/フランス・日本合作/配給コピアポア・フィルム、NOBO/上映時間 78分)



監督:五十嵐耕平、ダミアン・マニベル
製作:ダミアン・マニベル、マルタン・ベルティエ、大木真琴
出演:古川鳳羅、古川蛍姫、古川知里、古川孝、工藤雄志

公式サイト http://oyogisugitayoru.com/
2018年4月14日より、シアターイメージフォーラムほか、全国順次公開


子供を演出するのは映画の極意みたいなところがある。
”子供映画”の金字塔であるアッバス・キアロスタミの「友だちのうちはどこ?」と「トラベラー」を彷彿とさせる本作をダミアン・マニベルと共同監督した五十嵐耕平くんは、新作「ライオンは今夜死ぬ」でも子供を演出し続けている巨匠、諏訪敦彦監督の教え子であり、そこには確かな意志と偽らざる伝統を感じる。

第74回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ・コンペティション部門に正式出品された「泳ぎすぎた夜」は雪深い青森を舞台とし、現地に暮らす演技未経験であった古川鳳羅くんを主役に迎え、子供が小さな大冒険をする話である。
ほぼ台詞は無いながら、押さえきれないエモーションを身体の全てと街の一部を使って鳳羅くんが表現する中で、様々な物事に機敏に反応する子供の頃の純粋な感情と、未知と発見に溢れた世界の面白さ、そして、いつの間にか見失ってしまった日常の楽しさを思い出させてくれる。

2017年11月に有楽町朝日ホールほかで開催された国際映画祭「第18回東京フィルメックス」では学生審査委員賞を受賞し、さらに国内最大級の映画レビューサービス・Filmarks(フィルマークス)とのコラボレーションで創設された「Filmarks賞」も受賞した。
海外やら国際映画祭やらで評価された映画となると小難しそうに感じるかもだが、なにより日本の若き学生や一般観客が実際に観てこの映画を選んだというのは、なんとも感慨深い。

誰もが確かに体験していながらとうに失われた何かを、圧倒的な自然に囲まれて暮らす人々を捉えた美しい映像で描く『泳ぎすぎた夜』は、言葉ではなく感覚的に訴えかっける子供映画のようでありながら、子供を思う父親の目線をも湛えた映画であるというのもまた感動的。
posted by 井川広太郎 at 09:24| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年02月23日

ザ・キング

『ザ・キング』(原題 The King/2017年/韓国/配給ツイン/134分)



監督:ハン・ジェリム
出演:チョ・インソン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、リュ・ジュンヨル

公式サイトhttp://theking.jp/
2018年3月10日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー


権力を得るために悪事に手を染めていく若き検事の戦いと葛藤を描くハードボイルドなドラマ

フィクションでありながら妙にリアルな説得力があって、なぜ、"薄給で激務"のはずの検事が異常な富と権力を持ち得るのか、よく分かる。
重大事案が起こるとそれを打ち消すかのようにスキャンダルが報道されたり、政治家とめっちゃ癒着したり、出世こそが正義であったり、組織の論理が最優先されたり、なんか知っているような気がする検察の暗部が次々と描かれていく。

なんといっても歴代韓国大統領の実際の映像を使い、その失脚と選挙のたびに検察が暗躍しているというシーンが面白い。
韓国の歴代大統領は逮捕されたり、殺されたりと、必ず悲惨な末路をたどっているが、この映画を見ると色々と納得できる。やっぱりなー。そうだったのかー。

かといってこれが韓国だけの話とはとても思えず、むしろ、これは日本の話ではなかったっけと、既視感でクラクラする。
国家権力とか組織とか政治とか、どこもこんなもんなんだろうなという爽やかな絶望感。

しかし単なる暴露映画かというとそんなことは全くなく、権力と欲望とに惑わされた若者の一代記になっている。
主役のめちゃんこイケメンなチョ・インソンが、時代の波に飲まれる男を真摯に演じていて、ピカレスクというよりハードボイルドな雰囲気が骨太で良い。
さらに、憧れの先輩検事を演じるチョン・ウソンが素晴らしい。
恐ろしいほどに切れ者で、近づきがたいほどのオーラを放ちつつ、実はめっちゃ軽薄な小者っていう難しい役どころを見事に演じていて、めちゃくちゃカッコいい。
ビシッと決まったシチサン分けが最高にクールだぜ!
posted by 井川広太郎 at 12:57| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年01月30日

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(原題The Big Sick/2017年/アメリカ/配給ギャガ/120分)



監督:マイケル・ショウォルター
製作:ジャド・アパトー、バリー・メンデル
製作総指揮:グレン・バスナー、ベン・ブラウニング
出演:クメイル・ナンジアニ、ゾーイ・カザン、ホリー・ハンター、レイ・ロマノ

公式サイト http://gaga.ne.jp/bigsick/
2018年2月23日(金)TOHOシネマズ日本橋ほか全国順次ロードショー


恋に落ちた異文化カップルが様々なトラブルを乗り越えていく実話を基にしたコメディ

メチャメチャ良かった!
シカゴに暮らすパキスタン出身のコメディアン志望の若者が、白人の女性と恋に落ちるのだが、家族や宗教そして差別や病気と次々に試練が訪れる。
これがなんと、主役のクメイルを演じるクメイル・ナンジアニの実体験なんだとか。
彼が端役で参加していた現場でその話を聞いたジャド・アパトーがピピっと閃いて「脚本を書け!」と鶴の一声。
そこから何年もかけて脚本を完成させ、自ら主演しているのだとか。
さらに驚きなのが、脚本を共同執筆したのが、劇中のヒロインのモデル本人らしい。
カップルが自分たちの出会いと苦難をこんな開けっぴろげな脚本に仕立て上げるなんて…

ジョークに溢れたエピソードの数々と、ハチャメチャなキャラクターたちが素晴らしい。
アホすぎて迷惑ばかりかけるけど憎めない、そんな愛すべき家族や隣人が次々に登場する。
そしてなにより、深刻な話を堂々とコメディしながら、重くなりすぎず、しかし決して軽くはなりすぎず、絶妙なバランス感覚を発揮する演出が秀逸。

なんというか、観客を楽しませつつテーマをちゃんと伝える、ということに徹しているのだ。
ジャド・アパトーのルーツでもあるアメリカのスタンダップコメディについて詳しく描かれているので、その意味でもとても興味深い。
笑いとは何かコメディとは何か、面白くすることに真摯で真剣なスタンスが微塵たりともブレず、しかし堅苦しさは皆無でとにかく最高に笑えるのにグッときて心に響く。
posted by 井川広太郎 at 12:33| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年12月13日

二十六夜待ち

『二十六夜待ち』(2017年/日本/配給フルモテルモ/上映時間124分)



監督:越川道夫
出演:井浦新、黒川芽以、諏訪太朗

12月23日(土)よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開


東北の小さな町を舞台に記憶を失った男とトラウマを抱える女の性愛を描く

寂れた町に生きる男と女の淡々とした日常の中で次第に、それぞれの過去や事情や秘めたる激情が垣間見えて来るのだが…
佐伯一麦の小説を原作としつつ、やはり「アレノ」の越川道夫監督だからこそ成立した作品なんだと思う。
シンプルで力強く叙情的に、ただただ人間を描くという、端的に言って僕の好みそのままの映画である。
渋いかもしれないし、地味かもしれないが、俳優の生々しい肉体が鈍く輝く、映画ならではの感動に満ち溢れている。

井浦新と黒川芽以の濃厚な絡みが、なんとも狂おしく美しく素晴らしい。
すがり求め合う男女の孤独と、愚かしさと、凍えるような寒さと、飢えと乾きと、温もりと、やるせなさと愛と、生と死を感じる。
posted by 井川広太郎 at 10:28| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年12月04日

新世紀、パリ・オペラ座

『新世紀、パリ・オペラ座』(原題L'Opera/2017年/フランス・スイス合作/配給 ギャガ/111分)



監督ジャン=ステファヌ・ブロン
製作フィリップ・マルタン、ダビド・ティオン
出演ステファン・リスナー、バンジャマン・ミルピエ、オーレリ・デュポン、フィリップ・ジョルダン、ロメオ・カステルッチ

公式サイト http://gaga.ne.jp/parisopera/
12月9日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開


世界最高峰のオペラやバレエを上演するパリのオペラ座の舞台裏を追ったドミュメンタリー

冒頭、会議室での際どい発言の応酬とテンポの良い編集に否応無く期待感が高まる。
華やかな舞台を運営する巨大な劇場には、様々な部署と数多くのスタッフが必要であろうことはなんとなく分かるが、想像の域を出ないその裏方の仕事っぷりを生々しく描く。

時代の波をモロ受けて入場料金を下げるべきかを話し合う経営者達の姿は身につまされるし、スタッフの去就に振り回される職場の人間関係の難しさもあり、しかしVIPたち来賓の席順を真剣に議論する様は滑稽でもある。

そんな上層部の指示の元に舞台を作り上げていく演出家や指揮者たちもまた当然ながら軋轢があり、そして歌手やダンサーもプロであるからこその葛藤がある。
新人歌手として雇われた若者の成長も描かれるが、ファンと間違われるほどに初々しい彼が夢舞台に足を踏み入れた興奮とプレッシャーの凄まじさ。

特に中盤以降は大道具やメイク、衣装係など様々な部署の仕事っぷりも矢継ぎ早に描かれ、劇場を運営していく難しさが嫌という程伝わる。
テロの恐怖にも立ち向かい毎夜催されている舞台がどれほど多くの人と時間と情熱が注ぎ込まれているのかよく分かり、とりあえず幕が閉じたらその足でオペラやバレエを観に行きたくなるような映画であった。
posted by 井川広太郎 at 18:02| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年11月11日

南瓜とマヨネーズ

『南瓜とマヨネーズ』(2017年/日本/配給S・D・P/93分)



監督・脚本:冨永昌敬
原作:魚喃キリコ
プロデューサー:甲斐真樹
出演:臼田あさ美、太賀、光石研、オダギリジョー

公式サイト http://kabomayo.com/
11月11日(土)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー


売れないバンドマンを支える女の揺れ動く心情と人生の選択を描くドラマ

とても繊細な感情が漂う、人生の中の何気ない時間を儚くも力強く描く
見慣れたようなしょぼくれた街角なのに、役者が活き活きと演技をすることで、重厚なのに軽やかな世界観を構築し、見逃しがちな日常の煌めきを気付かせてくれる
日本映画って素晴らしいね

シンプルなようでいて凝りに凝った音の演出に、さすが冨永監督と脱帽
さらに歌うとことか緊張感と温もりが共存しているようで、えっコレ生演奏?と錯覚するような臨場感でグッときた

臼田あさみが最高すぎてドキドキした
女のどうしようもなくダメなとこと最高に可愛いとこを同時にやりきってみせた
こんなに魅力的な女優がいるとは
posted by 井川広太郎 at 01:03| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年10月25日

リュミエール!

『リュミエール!』(原題 Lumiere!/2016年/フランス/配給 ギャガ/90分)



監督 ティエリー・フレモー
製作 ティエリー・フレモー、ベルトラン・タベルニエ

公式サイト http://gaga.ne.jp/lumiere!/
10月28日から東京・恵比寿の東京都写真美術館ホールほか全国で順次公開


映画の父“リュミエール兄弟”が製作した作品1422本から厳選された108本で構成された映画

1895年12月28日にリュミエール兄弟がパリの劇場で興行し、映画が誕生した。
到着する列車の映像を観た観客が逃げ出したという逸話は有名だが、実際、大好評でそれ以降、次々に映画が作れられるようになった。

リュミエールが製作した短編にこそ映画の基本が詰まっているという事実は、古今東西の映画人が指摘してきたことであるが、こうしてまとめて見ることで再確認できる。

当初より演出がなされていたこととその的確さには改めて目を見張るし、アクションと移動撮影こそが醍醐味であること、扉は開くものであること、被写体は庶民であること、行ったことのない場所に連れて行ってくれる世界の窓であることなど、普遍的なエンターテイメント性が貫かれている。

奥行きを作る構図の完璧さは唸るほどで、全く同じ構図が多いことからも徹底した意図が読み取れる。
似たようなカットが続くとさすがに飽きてくるのだが、そんな時に異質な構図が挿入されるとまた感動的で、逆説的にカット割という概念を予感させてくれる。

ナレーションが語りすぎて作品の邪魔をしているという見方もあろうが、この偉業の前には寛容になるべきだし、そもそもリュミエールに音はない。
ちなみに劇中で映画史に絡めて幾つかの作品と監督が挙げられるが、そのうち実に二つが日本映画である。

リュミエールの作品をまとめて一本の映画にするという発想を、なぜ今まで誰も思いつかなかったのであろうか。
どの短編も極めて高い技術による圧倒的な映像美と、信じられないほどの瑞々しさに溢れていて驚くほどに素晴らしい。
この映画はリュミエールの作品をまとめて見るのに最適な美の教科書だ。
posted by 井川広太郎 at 10:44| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年10月23日

ヒトラーに屈しなかった国王

『ヒトラーに屈しなかった国王』(原題 Kongens nei/2016年/ノルウェー/配給 アットエンタテインメント/136分)



監督:エリック・ポッペ
製作:ペーター・ガルデ、フィン・イェンドルム、スタイン・B・クワエ
製作総指揮:ヘンリク・ツェイン
出演:イェスパー・クリステンセン、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン、ツバ・ノボトニー

公式サイト http://kings-choice-jp.com/
12月よりシネスッチ銀座ほか全国順次公開


ナチスの侵略に抵抗するノルウェー国王の決断を描く史実に基づく歴史ドラマ。
堅苦しさはカケラもなく、ハラハラドキドキ手に汗握るサスペンフルな展開でメチャメチャ面白かった!

ノルウェーは1905年にスウェーデンから独立し、新憲法のもと立憲君主制のノルウェー王国を樹立。
その際、ゆかりの深いデンマークの王子を国王として迎え入れることになり、そうしてノルウェーの国王になったホーコン7世のお話。

国王といっても孫と遊ぶのが日課のおじーちゃまなのだが、突如ナチスドイツが侵略してきて、平和な日々がふいに破壊される。
情報が錯綜し、敵の攻撃の手が迫り一刻の猶予もない、その中で交渉を求めるべきか、断固戦うべきか、逃げるべきか隠れるべきか、様々な意見の対立も含めて国内は混乱する。
その結果、本来は政治的な影響力を持たない国家元首のホーコン7世はある決断を迫られるわけだが、そこに至るわずか数日がドラマティックに描かれる。

なにより国王が人間味ある人物として描かれているのが面白い。
王として父として一人の人間としてどう生き、自分の役割をどう全うすべきか悩む姿が誠実で魅力的である。
また他の登場人物たちもそれぞれの立場で葛藤しながら行動していることが大胆かつ繊細に描かれ、人間一人ひとりに尊厳があるのだというメッセージが力強く伝わってくる。
北欧について知らないことも多いので、この作品の中で学ぶことも多かったが、こういう映画を観ると親近感も湧くし、とりあえずめっちゃノルウェー行きたくなる。

立憲君主制という”憲法により君主の権限が規制されている国家制度”において、国家元首たるホーコン7世がどういう立場でどういう決断をするのか。
憲法、国家、そして権力者のあり方を問うこの映画を、いまこそ多くの日本人に観て欲しい。
posted by 井川広太郎 at 10:59| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年09月30日

月と雷

『月と雷』(2017年/2時間/配給 スールキートス)



監督:安藤尋
出演:初音映莉子、高良健吾、草刈民代

公式サイト http://tsukitokaminari.com/
2017年10月7日(土)よりテアトル新宿、テアトル梅田ほか全国公開!


角田光代の小説を原作に、幼児期の体験に囚われたまま大人になろうとする男女のいびつな関係を描く

トラウマやら、ネグレクトやら、幼児期の性的なアレとか、大人になれない子供たちが寄り添って、甘え合って、傷つけたり、怖がったり、すがったり頼ったりする。
草刈民代がメッチャいい、見事なダメ女っぷりが素晴らしい。

人生を感じさせる陰すらも魅力的に映る絶妙なあばずれ感を、草刈民代が完璧に表現している。
単に自堕落だったり淫らだったりするわけではなく、涙も枯れ果てたような哀しさ、死ぬのが面倒だから生きているだけというような虚無感をまとっていて、その達観っぷりがすごい。
誰に対しても無関心な態度は全ての人に平等な寛容さでもあり、売春婦の持つ聖女的なイメージにも似ていて、痩せてて不健康なのに美人!この説得力。

どうしようもなく救いようがなくて暗い話なんだけど、なぜか明るさと前向きさがあるのが不思議で。
それこそ、あえて大人にならずに子供のままでいることを選択したかのような、なんだか絶望的に悲惨なのに異様に瑞々しい映画だった。
posted by 井川広太郎 at 22:38| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年09月08日

あなた、そこにいてくれますか

『あなた、そこにいてくれますか』(英題 Will You Be There?/2016年/韓国/配給 ギャガ・プラス/111分)



監督:ホン・ジヨン
出演:キム・ユンソク、ピョン・ヨハン、チェ・ソジン、キム・サンホ

公式サイト http://gaga.ne.jp/anasoko/
10月14日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷 他 全国順次ロードショー


フランスの作家ギヨーム・ミュッソのベストセラー小説「時空を超えて」を韓国で実写映画化

甘ったるいタイトルの韓流ラブストーリーなんでしょって軽い気持ちで観たら、うっかり泣かされた。
冒頭で医療感動もの?と思わせて、メルヘン寄りのファンタジーに展開してからの、実はタイムトリップするSFってところに驚かされるのだが、その設定を活かし、ひと時の恋愛から愛や人生の選択を問う人間ドラマに昇華していくのが素晴らしい。

タイムトリップものだと、いまの流行は圧倒的に平行宇宙で、タイムトリップするたびにパラレルワールドが増えていくというアレ。
その点、この映画は『バックトゥーザフューチャー』のようにタイムトリップするたびに歴史を塗り替えていく設定で、つまり”正しい歴史”に辿り着くための冒険。

でも、正しい歴史って何? 正しい恋愛って何なんだろう? そもそも恋愛感情で何もかも決定していいのかな?
いや、そうではなく、僕らには家族とか友人とか仕事とか人生という重みがあって。
しかし、恋愛がどうでもいいわけでは決してなく、だとしたら、人生をかけて恋愛を問う瞬間って、どんな時なんだろう?

若い時には若い恋があるように、年を取ると大人の愛があるのかもしれない。
おっさんの心にジーンと沁みるいい映画だった!
posted by 井川広太郎 at 18:36| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年09月06日

ひかりのたび

『ひかりのたび』(2017年/日本/配給 マグネタイズ・太秦/91分)



監督・脚本:澤田サンダー
製作:小林栄太朗、畠中博英、木滝和幸
出演:志田彩良、高川裕也、瑛蓮、杉山ひこひこ、萩原利久、山田真歩、浜田晃、ほか

公式サイト http://hikarinotabi.com/
2017年9月16日(土)新宿K's cinemaほか全国順次公開!


地方都市で暗躍する不動産ブローカーの男と、そんな父に連れられ各地を転々とする娘との関係性を描く

日本人は呑気に利権を貪り、外国人が土地買収に勤しむという殺伐とした資本主義の限界集落には、悪い奴等しかいやしないが、みんな等しくかよわく、寂しく、その日を生き延びるために必死でもがいている。
そんな彼らが奏でる哀愁の協奏曲は、なんとも牧歌的だ。

テレビ番組「カンブリア宮殿」などのナレーションでおなじみで「キミサラズ」にもご出演頂いた高川裕也さん、ファッション誌「ピチレモン」の専属モデルを務めたという志田彩良さんなど、実力ある俳優たちが、“普通”という逞しさを丹念に演じていて素晴らしい。

最近は地方映画も多いけれど観光パンフレットみたいなノリの作品ばかりなので、こういう独自の切り口の作品はとても興味深い。
過去に縛られれ今を生きるた人たちの物語は、陰惨なようでいてどこか瑞々しいのだ。
素直になれない高校生カップルが自転車を押して坂道を登る長い長い長回しが、とても印象的だった。うーん、これもそれも青春なんだぜ!
posted by 井川広太郎 at 16:20| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

パターソン

『パターソン』(原題 Paterson/2016年/アメリカ/配給 ロングライド/118分)



監督:ジム・ジャームッシュ
製作:ジョシュア・アストラカン、カーター・ローガン
製作総指揮:オリバー・ジーモン、ダニエル・バウアー
出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏

公式サイト http://paterson-movie.com/
8月26日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開!


アメリカの田舎町に暮らし詩を愛するバスの運転手の”何も起きない”一週間を淡々と描く

ジャームッシュの新作観に行くと言ったら、若者に「ジャームッシュって誰ですか?」と聞かれたので、「アメリカ人が何もせずにダラダラするだけの映画を発明した人」って答えたら面白がってた

ところでこないだ武蔵野館に予備知識無く『ウィッチ』というホラー映画を観に行ったら、『パターソン』公開記念でジャームッシュのコーナーが!
そんなものあるとは知らず、うっかり『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のTシャツを着ていってしまったので、何人かにジロジロ見られた
これはそういうグッズとかではなく、もう何年も前に発売していたUNIQLOのジャームッシュTシャツですとこの場を借りて弁明したい

そんなわけで『パターソン』を観ていたら、かつてのようにまた、詩を書くためのノートを常備したくなる
やっぱり罫線のない小型のノートに、手書きするのがいい
僕らの平凡な日常は、いつも奇跡と感動で満ち溢れていることを気づかせてくれる

予告編の制止画面が「緊急事態だ」ってとこなのが秀逸
posted by 井川広太郎 at 12:31| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする