2013年06月01日

ローマでアモーレ

ローマでアモーレ』(原題: To Rome with love、配給│ロングライド、2012年/アメリカ・イタリア・スペイン、111分)



『ミッドナイト・イン・パリ』が世界中で大ヒットしたウディ・アレン監督の最新作は、底抜けに愉しくて、陽気なラブ・コメディ!

あらすじ
恋愛小説さながらにローマっ子のイケメンと婚約した娘のもとへ、アメリカから飛んできた元オペラ演出家(アレン)。
恋人の親友である小悪魔な女優(ペイジ)の虜になってしまう建築家の卵(アイゼンバーグ)。
田舎から上京した純朴な新婚カップルの宿泊先になぜか現れたセクシー爆弾なコールガール(クルス)。
ある日突然、大勢のパパラッチに囲まれ、大スターに祭り上げられた平凡な中年男(ベニーニ)……。

監督・脚本・出演:ウディ・アレン
出演:アレック・ボールドウィン、ロベルト・ベニーニ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デイヴィス、ジェシー・アイゼンバーグ、エレン・ペイジ

オフィシャルサイト http://romadeamore.jp/
2013年6月8日(土)より、新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー!


スノッブな若手女優役を演じていたエレン・ペイジが、抜群に良かった。
一見パッとしないが実は小悪魔、と劇中の台詞でも説明される通り、登場シーンでは本当に冴えないのが、どんどん魅力的に見えてくる。
そんな女子だと分かっちゃいても落ちてしまうという、典型的なダメ男子を完璧に演じたジェシー・アイゼンバーグも素晴らしい。それでこそ男だ!

オペラ歌手役の人の歌唱が素晴らしすぎやしないかと思ったら、ファビオ・アルミリアートという人はスゴくスゴい本物のオペラ歌手らしい。
とにかくギャグテンコ盛りで、冒頭からゲラゲラ笑える。

しかし、名優達の力演もさることながら、やはり、ウディ・アレンの登場シーンが一番面白い。
そのあたりも含め、安定の"いつものウディ・アレン(出演)映画”という感じ。
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2013年05月07日

百年の時計

『百年の時計』(2013年・上映時間 105分・配給:太秦/ブルー・カウボーイズ)



2011年に路線開業100周年を迎え、現在も高松市内を走る“ことでん”(高松琴平電気鉄道)は、大正時代に製造された貴重な車輌が今でも運行し、「鉄道の歴史遺産」と言われています。そんなレトロ電車で育まれた切ない初恋の記憶を、『デスノート』、『ゴジラ』『ガメラ』両シリーズほか『ばかもの』で名高いヒットメーカー・金子修介監督があたたかく描きだしました。

 主人公は、本作が長編映画初主演となる木南晴夏。『20世紀少年』や「勇者ヨシヒコ」シリーズなどで個性的な実力派として注目される最旬の女優です。そして、最期の時を迎える前に過去と向かい合おうとする芸術家をミッキー・カーチス、若き芸術家と恋に落ちた人妻を中村ゆり、主人公を大きな愛情で包み込む父親役に井上順、鉄道の運転士で主人公の幼馴染役に鈴木裕樹などが脇を固め、大切な人と共に刻む人生の豊かさに気づかせてくれる香川発のハートフル・ストーリーが誕生しました。
 音楽を手掛けるのは、世界を股にかけて活躍するピアニスト中村由利子。「NO MORE CRY」「ALWAYS」など大ヒットを記録したD-51の新曲「めぐり逢い」が主題歌として華を添えています。

監督:金子修介
キャスト:木南晴夏、ミッキー・カーチス、中村ゆり

オフィシャルサイト http://www.100watch.net/
2013年5月25日よりテアトル新宿ほか全国順次公開!


最初はどんな映画かよく分からなくてドキドキしたんだけど、終盤に向けて一気にファンタジーが展開するところからは虜になって、とにかくもう映画的で壮快。
映画でしかたどることが出来ない爽やかな時空旅行が、幸せな涙を誘う。

形に捉われない脚本は、ありきたりな予定調和では妥協しないからこそ、ゴテゴテした部分も、テカテカしたところも、パキパキする感じもあって、それだけに観る人によって印象もかなり変わるんだと思う。
そんな自由奔放さが、久しぶりに日本映画らしい映画を観たという満足感を与えてくれる。

しかし、私がこの映画を好きなのは、断じて純愛映画だから。
言うなれば、ファンタジックな純愛映画。

運命の女を演じる中村ゆりが徹底的に素晴らしい。
ファム・ファタールとしての説得力を完璧に備えた中村ゆりの存在が、この映画を支えている。
美しく甘美的で、優雅ながら艶めき、とにかくコケティッシュで、背徳的な可愛さ。

映画を観るという一回性が、スクリーンの中の儚い面影に重なる。
このまま堕ちてしまいたいとすら想わせる目映さが、二度とは戻れない時間の煌めきを表象する。
この世に愛など存在しない。あるのは純愛だけなのだ。
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2013年04月17日

孤独な天使たち

孤独な天使たち

巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督最新作『孤独な天使たち』。
監督生活50周年を迎え、世界中が待ち望んだ10年ぶりとなる最新作が遂に公開。

巨匠ベルナルド・ベルトルッチの「ドリーマーズ」(2003)以来およそ9年ぶりとなる監督作。
孤独を愛する14歳の少年ロレンツォは、学校のスキー旅行に行くと両親に嘘をつき、まる1週間好きな音楽と本だけに囲まれて暮らそうと計画する。
しかし、思いがけず異母姉のオリヴィアが現れたことですべてが一変する。
少年時代との別れを迎えるロレンツォと、2人だけのかけがえのない時間をみずみずしく描き出す。

「ぼくは怖くない」の原作者としても知られるニコロ・アンマニーティの同名小説が原作。
ベルトルッチ監督が、およそ30年ぶりに母国語であるイタリア語で撮り上げた作品。



監督 ベルナルド・ベルトルッチ
出演 ジャコポ・オルモ・アンティノーリ/テア・ファルコ/ソニア・ベルガマスコアリアンナ/ベロニカ・ラザール/トマーゾ・ラーニョ

公式サイト http://kodoku-tenshi.com/

4月20日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開


主演の二人の顔が良い。

主役の少年、ジャコポ・オルモ・アンティノーリは、本作で映画初出演らしいのだが、無垢な幼さと、狂気的な暴力性を併せ持つような動物的…あるいは即物的ながら本能が剥き出しとでもいうべき只ならぬ表情に、緊張感が漲っている。
その相貌はラストまで一瞬たりとも崩れず、片時も目が離せない。イケメンじゃないけどカコイイ。

もう一人の主役、少年の義姉役のテア・ファルコは、役柄と同じく、写真家としても活動するアーティストらしいのだが、こちらもまた素晴らしい。
退廃的な美しさの中に、女と少女が不規則に現れるような変化が、拠り所のない現代の絶望感を巧妙に表象している。綺麗で冷たげなのに、子供みたいでかわいい。

狭い部屋でボーイミーツガールからの唐突なダンスシーンなんて、それこそヌーベルバーグ的な、なんてありふれたシーンなんだと観ていたのに、うっかりグッときてしまったのは、きっと曲のせいだろうと思ったら、その曲は、デビッド・ボウイ自身が歌う「スペイス・オディティ」のイタリア語バージョン、「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」。歌詞が全く違う。なんという。
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2013年03月13日

ダークタイド

ダークタイド』原題 DARK TIDE/2011年/アメリカ=南アフリカ/配給 ファイン・フィルムズ/113分

生存確率0%の嵐の海―
彼女のまわりは、人喰いサメだけ!

過去のトラウマにより海から遠ざかってしまっている主人公の海洋生物学者ケイトを演じるのは、ハル・ベリー。
『チョコレート』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、『007ダイ・アナザー・デイ』『X-MEN』シリーズと、大ヒット作に出演。そんな彼女が、今回、南アフリカの海で共演したのが、本物のホホシロサメ。映画『ジョーズ』のモデルにもなった危険なサメだ。
舞台は海。ハル・ベリーは水着で、狭い船上や、荒れ狂う海、そして世界有数のサメのエサ場というロケーションで、厳しい撮影に勇敢に立ち向かった。
アカデミー賞女優が挑んだ、必見の海洋サバイバル・パニック・アクション!

シャーク・ダイビング
…そこは、あまりにも危険すぎる海

海洋生物学者のケイト(ハル・ベリー)は、同僚のダイバーがサメに殺されたことをきっかけに、サメとの仕事から遠のいていた。
いまはオットセイ・ツアーをしているが、銀行に船を差し押さえられそうになる。そんなとき、疎遠になっていた夫ジェフ(オリヴィエ・マルティネス)が、高額報酬の仕事をもちかける。
スリルを求める金持ちが、檻のケージから出てサメと一緒に泳ぎたいというのだ。
葛藤しながらも依頼を受けたケイトは、世界で最も危険とされるサメの餌場に、ダイビングの場所を設ける。



監督 ジョン・ストックウェル
出演 ハル・ベリー、オリヴィエ・マルティネス、ラルフ・ブラウン

オフィシャルサイト http://www.finefilms.co.jp/darktide/

2013年3月16日からヒューマンシトラスシネマ渋谷ほかにて公開


どんな映画が全く知らずに見ていたので先が読めずにハラハラドキドキ。
最初は普通に海を舞台にしたラブロマンスかと思ってたら、豪快にスリラーに転調して正直ビビった。
なんで、あんな怖いことするんだろ。なんか色々と登場人物たちが語っているんだけど、命知らずすぎて理解できない…
モンタージュによって煽りに煽るサスペンスが見事で、普通に手に汗握ったぞ!
これはなかなかの掘り出し物でした。
しかし、ハル・ベリーといったら確かにストーム、確かにストームなんだけど、それにしてもラストの急展開はちょっと意味が分からなかった。
ちょうど今公開中の『クラウド・アトラス』も美人すぎるハル・ベリーを堪能できる映画だが、個人的には『ダークタイド』の方が楽しめたな。
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2013年03月08日

メッセンジャー

メッセンジャー』(原題 The Messenger/製作年 2009年/製作国  アメリカ/配給 インターフィルム/上映時間 112分)

戦死した兵士の遺族に訃報を伝える通告官(メッセンジャー)を題材に描くヒューマンドラマ。
イラク戦争で戦果を上げながらも負傷し、帰国した米軍兵士のウィルは、戦死した兵士の遺族へ訃報を伝えるメッセンジャーの任務に就くことになる。
上官のトニー大尉とともに訃報を伝えていくウィルは、遺族たちの怒りや悲しみを目の当たりにし、苦悩する。
そんな時、夫の戦死により未亡人となったオリビアと出会ったウィルは、失われた心を取り戻していく。
一方、長い軍隊生活で冷え切っていたトニーの心もまた、ウィルに友情を感じることで少しずつ氷解していく。
第82回アカデミー賞で助演男優賞(ウッディ・ハレルソン)、脚本賞にノミネートされた。



監督 オーレン・ムーバーマン
キャスト ベン・フォスター/ウッディ・ハレルソン/サマンサ・モートン/ジェナ・マローン/スティーブ・ブシェーミ

オフィシャルサイトhttp://www.messenger-movie.jp/

2013年03月09日より、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー


いやあ、素晴らしい。
衝撃的に、いい映画だった!
イラク戦争を描いた映画ながら、舞台はアメリカの田舎町で戦闘シーンは一切ない。
見事な脚本と役者の名演技が、じわっと心に響く名作。

超低予算で、撮影も良くないし、音楽はセンスないし、一見、クオリティは低い。
そもそも全く期待していなかったせいもあって、正直、始まって早々、帰ろうかとすら思った。
しかし!ウディ・ハレルソンが初登場するメッセンジャー就任のシーンで、あっ!と心を鷲掴みにされる。
メッセンジャー!?なんちゅう過酷な…
そこからはもう、一気にぐいぐいノンストップで引き込まれていく。

とにかく、脚本と俳優陣が素晴らしい。
シンプルながら非常によく練り込まれた脚本を、手練の役者たちが活き活きと演じている。
ウディ・ハレルソンはごめん、実は心の中でバカにしたこともあったけど、メチャクチャ良かった。悪ノリっぷりがキレにキレてる。
主演のベン・フォスターも負けず劣らずイカすなーと思ってたら、『X-MEN: ファイナル ディシジョン』のエンジェル役の彼だったのね、どうりでね。あれもカッコ良かった。
人妻役のサマンサ・モートンは最高!もうノリノリで、全身から演じる喜びすら匂い立ってくるような見事さ。フェロモンが漲っていて、一瞬たりとも眼が離せない。
役者達が楽しそうだと、見ているこっちもワクワクする。

そして、スティーブ・ブシェミが出てきたところで、うわーっ!となる。
俺たちのブシェミ!
おい!なんか懐かしいぞ!
とにかく!これもう、決定的に良い映画じゃん!
しかもブシェミが2度出てくるんだぜ!
涙腺壊れるわ!

この映画を観ると、シンプルな脚本とすぐれた演技が導きだす物語の力強さを痛感せずにはいられない。
誰にとっても分かりやすい骨太のストーリーが、役者の素晴らしい演技を通じてダイレクトに伝わってくる。心に沁みる。
個人的には、今年に入って溜まっていた色んなモヤモヤがスッと晴れるような、大きな刺激になる映画だった。
最近、会う人会う人に、この映画の話してる。
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2013年02月28日

ベルトルッチの分身

ベルトルッチの分身』(原題 Partner./1968/イタリア/配給ザジフィルムズ/105分)

日本で唯一ソフト化もされず観ることのできなかったベルナルド・ベルトルッチ監督長編第三作。

『暗殺の森』『ラストタンゴ・イン・パリ』『ラストエンペラー』の巨匠ベルナルド・ベルトルッチが1968年に発表した長編第3作。
ドストエフスキーの「分身」を換骨奪胎し、生真面目な青年と破壊的な殺人者という2つの人格を持つ男の姿を鮮烈に描く。
大学で教鞭をとる青年ジャコブは、教授の娘で恋心を抱いているクララの誕生日祝いに駆けつけるが、奇抜な振る舞いでパーティ会場から追い出されてしまう。
その帰り道、ジャコブの前に巨大な影となった分身が現れ、それ以来、ジャコブと分身は同じアパートの一室で起居をともにすることになるが……。

2013年、ベルトルッチの長編監督50周年を機に初の日本劇場公開が実現。
「ベルトルッチ初期傑作選」と題し、『殺し』『革命前夜』を同時上映。



監督:ベルナルド・ベルトルッチ
原作:フョードル・ドストエフスキー
出演:ピエール・クレマンティ、ティナ・オーモン、ステファニア・サンドレッリ

作品公式サイト http://www.zaziefilms.com/bunshin/

3月9日(土)、シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー!


これは、ベルトルッチ版の『中国女』なのか『気狂いピエロ』なのか。
苦悩と混乱がガチガチに剥き出しで、胎動なのか助走なのか、というか、そもそも…正直、なんのこっちゃ、よく分からなかった。
しかし、全くもって不可解なまま、映画史の空白を埋めるワンピースであるような気もして、映画を観るというのはやはり体験なんだなと妙に納得してしまう。
美人すぎるステファニア・サンドレッリは、テイラー・スフィフトに似ていると思った。
あ、逆か。
posted by 井川広太郎 at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2013年02月22日

アントン・コービン

『アントン・コービン』

http://www.antoncorbijn-movie.jp/

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2013年02月11日

佐渡テンペスト SADO TEMPEST

佐渡テンペスト SADO TEMPEST』製作年2012年/製作国日本/配給百米映画社/上映時間94分

INTRODUCTION
シェイクスピアのファンタジー溢れる名作「テンペスト」をモチーフに、日本在住のイギリス人監督ジョン・ウイリアムズが厳寒な冬の佐渡で撮影したのが、2011年3月。
佐渡金山や原生林、世阿弥が伝えて以来、地元の文化の源となっている能や鬼太鼓などを使って、シェイクスピアの魔法の世界を新鮮な映像美で表現している異色作が『SADO TEMPEST』だ。
シェイクスピアの「テンペスト」は、音楽と精霊がただよう魔界の孤島に追放された父娘の物語。
かつて鬼才蜷川幸雄は90年代に"佐渡"と"能"を使って「テンペスト」の世界を舞台で表現してみせた。
ウィリアムズ版『SADO TEMPEST』の主役は、室町時代に幕府転覆の罪で流された順徳天皇をモデルにしたジュントク。
近未来の日本政府が禁じたロックを演奏し、佐渡に追放されたロックミュージシャンという設定になっている。

STORY
ロックシンガーのジュントク、佐渡に追放!
近未来の日本。
政府は危険な思想のロックを禁止する。
反逆のロックシンガー、ジュントクはバンドのメンバーとともに佐渡に追放される。
島は大嵐の後、永遠に冬に閉じこまれていた。
そこでジュントクは謎めいた若い女ミランダと出会う。
ミランダは鬼の歌を切れ切れに歌っていて、気がふれているようだった。
やがてジュントクは鬼の歌にはとてつもないパワーが秘められていることを知る。
ジュントクは一編づつ歌を集めるが、それは嵐を呼ぶ歌なのか、それとも佐渡に再び春を呼び戻すのか。
ジュントクが鬼の歌を歌いあげた時、島には何が...。



監督: ジョン・ウィリアムズ(「いちばん美しい夏」「スターフィッシュホテル」)
主演:ロックバンド「ジルバ」、逸見泰典(ジルバ)、渡邊高志(ジルバ)、和泉昭寛(ジルバ)、宇佐美哲男(ジルバ)、江口のりこ、田中要次、本田博太郎、土屋良太、市鏡赫、佐渡稔

作品公式サイト http://www.100meterfilms.com/sadotempest/main.html

2013月年2月16日より劇場公開


ロックが禁止されるという近未来像は古典的でありながら、切実でもある。
江口のりこさんは、いま一番好きな女優の一人だなあ。
posted by 井川広太郎 at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2013年01月18日

エンド・オブ・ザ・ワールド

エンド・オブ・ザ・ワールド』原題 Seeking a Friend for the End of the World/製作年 2012年/製作国 アメリカ/配給 ミッドシップ、ツイン/上映時間 101分

なぜか楽しくて、だけどちょっと切ない
ちょっと切なくて、だけどなんだか温かいロマンティック・ストーリー

もうすぐ人類が滅亡すると知らされたら、人は何を考え、人生の最後に何をしようとするだろう?誰と一緒に最期を迎えたいと思うだろうか?この映画が描くのは、地球滅亡を目の前にして、昔別れた最愛の女性に会いに行こうとする中年男と、彼と行動を共にすることになった隣人女性との奇妙な旅。だが、そこに悲壮感はなく、全編が温かく不思議なユーモアに包まれている。 世界の終わりが迫っているのに、なぜか夏休みのようなのどかな空気が漂う街の風景。 旅先で出会うのは酒やドラッグに溺れるイカれた楽しい連中ばかり……。二人の旅のお供は捨て犬とお気に入りのレコード。ホリーズの名曲「安らぎの世界へ」ほか珠玉のロック&ポップスに彩られながら続ける人生最後の旅には、どんな“結末”がまっているのだろうか―?


スティーブ・カレル&キーラ・ナイトレイ主演
才能溢れるキャスト・スタッフが贈る”世界の終わり”

人生に後悔し、真実の愛を求め旅に出る主人公ドッジを演じたのはスティーヴ・カレル。『40歳の童貞男』で注目を浴びたコメディアンが、本作では抑えた演技で中年男の葛藤をリアルに表現し、ほのかなユーモアを滲ませる。彼と行動を共にするペニーには、キーラ・ナイトレイ。清楚なクールビューティのイメージが強い彼女が、突き抜けた演技で自由奔放な役を見事に演じ、新境地を開拓。二人のアンサンブルも絶妙だ。また、名優マーティン・シーンが重要な役で出演しているのも見逃せない。 『エターナル・サンシャイン』『50回目のファースト・キス』など奇想天外な設定のロマンティック・ラブストーリーをヒットさせてきたスティーヴ・ゴリンがプロデューサーを務め、このジャンルに新たな傑作を誕生させた。監督は本作がデビュー作のローリーン・スカファリア。全米初登場3位を記録した『キミに逢えたら!』で注目を浴びた女性脚本家が、気鋭のスタッフを結集し、自らの脚本をもとに、初監督とは思えない完成度の高い作品に仕上げている。



監督ローリーン・スカファリア
出演スティーブ・カレル/キーラ・ナイトレイ

公式サイト http://sekainoowari-movie.jp/
2013年1月18日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。


世界の終わりを迎えた時、たまたま出会った男女が慰めあうという、あらすじだけだと身も蓋もない話なのだが、いまの日本で、この長閑な終末感がどう受け止められるのか、逆に興味深い。

スティーブ・カレルが終始、陰鬱で、いつどこで転調するのかと身構えていたのだが、結局、そのままのトーンで終えてみせた。
キーラちゃんが全てのカットで不細工な顔でキメてみせる役者魂は素晴らしいのだが、かわいいお顔も見たかった。
ポップなようでいて、芸達者な2人が醸し出す微妙な重苦しさが全編に漂っている。

ド派手なシーンは無いものの、世界の終わりを予感させる演出はなかなか面白い。
あっけらかんとした面もあり、日常が日常としてダラダラと続きつつ、小規模ながらパニックも暴動もあるわな、でも、やっぱり世界は結構広かったりする。

だからこそ、この呑気な絶望感は愛と人生の不毛を表象しているようで、世界が終わることなんかより、むしろそっちの方が怖い。
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2012年12月15日

悪人に平穏なし

悪人に平穏なし』(原題 No habra paz para los malvados/製作年 2011年/製作国 スペイン/配給 シンカ/上映時間 114分)

2004年3月11日にスペインの首都マドリードで起こった列車爆破事件を題材に、テロ組織の犯行計画に単身で立ち向かう中年刑事の生きざまを描いたハードボイルドサスペンス。
かつては敏腕刑事として活躍していたサントスだったが、過去のある事件がきっかけで左遷され、いまは酒に溺れる日々。
そしてある晩、泥酔したサントスは、酒場で揉めごとを起こした末、店内にいた3人を射殺してしまう。
証拠隠滅のため、現場から立ち去った目撃者の後を追うサントスだったが、その過程で大規模な犯罪計画を練るテロ組織と接触。
殺人事件の容疑者として警察から追われる一方で、刑事としてまだ残っていた最後の正義感から、たった1人でテロ組織と対じする。
12年ゴヤ賞(スペイン・アカデミー賞)で作品賞、監督賞、主演男優賞など6部門を制した。



監督: エンリケ・ウルビス
キャスト:ホセ・コロナド、ロドルフォ・サンチョ、エレナ・ミケル、フアンホ・アルテロ、ペドロ・マリ・サンチェス、ナディア・カサード、他

作品公式サイト http://www.akuninheion.jp/
2013年2月9日公開


ハードボイルドなのか、ダークヒーローなのか、予定調和をことごとく崩していくストーリーがサスペンスになっている。
ヒロイン設定のエレナ・ミケルという女優さんは、元々はミュージシャンらしいのだが、超絶綺麗で存在感あって素晴らしい。
posted by 井川広太郎 at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年12月11日

最初の人間

最初の人間』(原題:Le Premier Homme/105分/配給・宣伝:ザジフィルムズ)

ノーベル文学賞作家 アルベール・カミュ、
自伝的遺作、ついに映画化!

「異邦人」「反抗的人間」等で知られるノーベル文学賞作家、アルベール・カミュ(1913−1960)は、46歳の若さで自動車事故のためこの世を去った。
その際にカバンから発見された執筆中の小説「最初の人間」は、30年以上の長い歳月を経て、1994年に未完のまま出版され、フランスで60万部を売り上げるベストセラーとなり、その後世界35か国で出版、大きな反響を呼んだ。
しかも、フランスに住む作家が、生まれ育ったアルジェリアに帰郷する、という設定は紛れもなく自伝であり、カミュの創作の原点を知る上で大きな事件であった。
2013年に迫った“カミュ生誕100年”を記念し、遂に映画化されたのが本作である。


独立運動の最中、故郷アルジェリアで母と過ごす日々。

1957年夏。作家コルムリは、今は老いた母が独りで暮らす、生まれ育った土地アルジェリアを訪れる。仏領のこの地は、独立を望むアルジェリア人とフランス人の間で激しい-紛争が起こっていた。
そんな中でも、母はいつもと変わらぬ生活を続けており、息子の帰郷を喜んだ。地中海の青さも、あの頃のまま。いつしか心は、かつての少年の日に還って行く─。
父は若くして戦死し、厳しい境遇のなかで懸命に働きコルムリを育ててくれた母、厳格な祖母、気のいい叔父、彼らはみな文字が読めなかった。そんなコルムリを、文学の道にい-ざなってくれた恩師、アルジェリア人の同級生のこと...。
数々の思い出が彼の胸を去来するが、その一方で、現実の状況が、当時と大きくかけ離れてしまったことを目の当たりにしてゆく。


「家の鍵」のイタリアの名匠ジャンニ・アメリオ監督

フランスとアルジェリアの関係を描いた代表的な映画に、「アルジェの戦い」(ジッロ・ポンテコルヴォ監督/1966/ヴェネチア国際映画祭グランプリ)と、カミュ原作の「異邦人」(ルキノ・ヴィスコンティ監督/1968)の2作品があげられるが、いずれもイタリア人監督だった。期せずして本作の監督もイタリアの名匠ジャンニ・アメリオである。
彼は、カンヌ国際映画祭 審査員大賞作「小さな旅人」では移民、貧困、差別問題を、ヴェネチア国際映画祭三部門受賞の「家の鍵」では障害を持つ子供との共生、と常に他者との共存の可能性をテーマに据えてきた。



監督;ジャンニ・アメリオ 
原作:アルベール・カミュ「最初の人間」
出演:ジャック・ガンブラン、カトリーヌ・ソラ、マヤ・サンサ、ドニ・ポダリデス、ウラ・ボーゲ

公式サイト http://www.zaziefilms.com/ningen/

12月15日より、岩波ホール他全国順次公開!




映画『最初の人間』原作本 「最初の人間」新潮社文庫より2012年10月末復刊決定!! 


アルジェリアとフランスとの複雑な関係を背景としつつ、純粋に母と子の物語として感動的。
自分を生み出した親や国に対する愛情が深いからこそ、自分は誰なのかという根源的な問いに対峙する繊細でたくましい姿が、騒々しい時代の中で凛として美しい。

文学賞とか自伝的遺作とかカミュとか言われると、ついつい身構えてしまうが、この映画は難解なわけでもなく、くどくどと説明的なわけでも、ましてや、お涙頂戴なわけでもない。
むしろ自由奔放にファンタジックで、変幻自在なイマジネーションに満ち溢れていてカッコいい。
冒頭の官能的な移動撮影からして既に、そんな予感に満ちている。

例えば、子供時代に飛躍するシークエンスの大胆さは、まるで現実と虚構との垣根をひょいと飛び越えていくようで、まだ幼かった頃の大らかな冒険心を思い出させてくれる。
あるいは唐突に現れる謎の女の、憂いに満ちた表情に虜になってしまいそうな、まさにその瞬間に訪れる転調などは、サスペンスとしても秀逸である。

原作は読んでいないので小説がどう未完なのか、現状ではどうなっているのかも知らないのだが、この映画はきっちりと完璧なエンディングを迎えてみせる。
この映画がラストで到達する、静謐ながら緊張感に満ちあふれた映画的なダイナミズムは圧巻。
ふと眼差しを向け、母を想うという、ただそれだけのことを淡々と描くことで、これほどまでに叙情的かつ魅惑的で感動的であることができるのかと、ゾクゾクした。
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2012年11月21日

ボーンズ・ブリゲード

ボーンズ・ブリゲード』(2012年/アメリカ映画/カラー/111分/BONES BRIGADE:AN AUTOBIOGRAPHY(原題)/配給:グラッシィ)

【2012年サンダンス映画祭正式出品】

80年代、アメリカを席巻した伝説的スケートボード・チーム
“BONES BRIGADE”の真実に追ったドキュメンタリー!


世界的大ヒットを記録した『DOGTOWN & Z-BOYS』のステイシー・ペラルタ監督最新作

70年代スケートボード界に革命を起こし、ストリートカルチャーの発信源となったチーム、Z-BOYSの一員だったステイシー・ペラルタ。映像作家として数々の作品を手掛け、2001年にZ-BOYSの真実を描いた自伝的ドキュメンタリー『DOGTOWN & Z-BOYS』を発表。全世界で100万枚以上のDVDセールスを記録する驚異的な成功をおさめた。そして、Z-BOYS解散後の80年代、低迷期に入ったスケート業界を救ったのが、ペラルタ自身が作り上げた伝説的チーム、BONES BRIGADEである。10年以上の時を経て、ペラルタが再びパーソナルな題材に挑んだ本作『ボーンズ・ブリゲード』は『DOGTOWN & Z-BOYS』の続編ともいうべき作品として、若い野心的な若者たちの、スケートボードに対する情熱、スキル、友情、不可能を可能にする信念が、現在では莫大な金額を動かす巨大産業へと発展させ、スケートボード業界の礎を築いていった物語。それと同時に初めて作られたスケートボードのビデオ作品や、音楽、クロスボーンのグラフィック、ユニークな広告など、現在スケートボードから派生するカルチャーが多方面に広がっているのもこのチームがあったからこそだ。当時のスケートキッズを熱狂の渦に巻き現在でも世界的知名度を誇るBONES BRIGADEの主要メンバーたちのインタビューと当時の貴重なアーカイヴ映像を織り交ぜ、輝きと刺激に満ち溢れた80年代のストリートカルチャーの真実を浮き彫りにするー。


なぜ、彼らはチームとして生きることを選んだのか?

ペラルタ監督は言う。「なぜ、彼らがBONES BRIGADEであり続けたのか?そして頂点へ登りつめた後のチャレンジはどこへ向かっていったのか?僕はこの疑問を追求するために映画化を決めたんだ」。
最高のパフォーマンスとチームとして機能することだけを考えていた彼らは、自分たちは人気があってヒップでクールだとは思っていなかった。高い技術を持った才能豊かなBONES BRIGADEのメンバーたちは、それぞれがいつでもひとりでやっていける実力はあった。しかしなぜチームとしてまとまっていたのか? BONES BRIGADEのメンバーとしてスケートの歴史上で最高のチームであり続けた。
いったい何が彼らをそうさせたのか?その答えにたどり着いたとき、僕らはこのチームの本当の偉大さを知ることになる。



監督:ステイシー・ペラルタ 『DOGTOWN & Z-BOYS』
出演:トニー・ホーク、スティーヴ・キャバレロ、トミー・ゲレロ、ロドニー・ミューレン、マイク・マクギル、ランス・マウンテン、クリスチャン・ホソイ、ジョージ・パウエル、ベン・ハーパー、フレッド・ダースト、シェパード・フェアリー

作品公式サイト http://bonesbrigade.jp/
12/1(土)より渋谷シネマライズ他全国順次ロードショー!


子供の頃に海を越えてやってきたブームに乗って少し遊んだことがある程度で、あまりスケートボードに興味は無かったのだけれど、この作品はかなり楽しめました。スケート好きには堪らないものなのかもしれないけど、間口が広いので、スケートを知らない人にとっても面白く、入門としても最適だと思います。

誰でも耳にしたことはあるあのマックツイストの開発秘話など感動的だし、天才的なスーパースター達の人間味溢れる苦悩や壮絶な努力を物語るエピソードの数々、そしてチーム内のライバル心と固い友情にも深く感情移入できる。ただ、全般的に踏み込みが浅く、ヒロイズムに浸っている印象も否めず白けてしまうところもあり、ドキュメンタリーとしては正直、甘さを感じたのだが、本作は当事者で出演者でもあるステイシー・ペラルタが監督したとのこと。

それでもこの作品が面白いのは、なんといってもスケートの映像が圧倒的だから。80年代当時からの膨大な量の映像を巧みに編集し、スケートの迫力と魅力が様々な形で徹底的に表現されている。奇抜なカメラアングルや迫力の移動撮影を見事に繋いだ大胆なカッティングは、まるで自分が実際にスケートをしているような気にさえさせ、スピード感だけではなく複雑な技術や高い創造性まで感覚的に伝わってくる。なぜ、スケートが多くの若者に受け入れられ、街に出て、音楽やファッションと融和していったのか、その歴史を体感できるようだ。

なんだかチラシやメインビジュアルが怖そうなのでビビっていたんだけど、実際に観てみると、とても爽やかで感動的な作品でした。彼らの影響もあったのか確かに日本でもスケートブームがあったし、なんてったってウチにもスケボーがバッチリあった。そういえば裏には骸骨の絵が描いてあったような気もする。まさか… そんなわけで、全国のスケート好きはスケートを好きになって欲しい人に勧めて一緒に観に行くと懐かしい話が出てきたり、相互理解が一気に進むかもしれませんぜ。
posted by 井川広太郎 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年11月12日

たとえば檸檬

たとえば檸檬』上映時間 138分/日本/配給ドッグシュガームービーズ

「アジアの純真」の片嶋一貴監督が、母親からの嫉妬、支配欲から逃れたいと願いながらも、母に愛されたいと願う娘の痛みを生々しく描いた、歪んだ母娘の物語。
主演は「ピストルオペラ」「誰も知らない」の韓英恵と「キネマの天地」の有森也実。
共演に綾野剛、室井滋、伊原剛志。


「歪んだ愛」と「憎しみ」の間で、依存し合う"母と娘"に魂の救いはあるのか−

母は私を愛しているのだろうか、私は母を正しく愛せているのだろうか…。
これは、母親からの嫉妬、支配欲から逃れたいと思いながらも、母に愛されたいと願う娘の痛みを生々しく描いた、歪んだ母娘の物語である。
年少期の母親との関係、母親の過保護や過干渉が原因である場合が多い
境界性パーソナリティー障害を抱える女性たちの実体験をもとにストーリーが構成され、主人公の苦しみに共感の声が多く寄せられている。



監督:片嶋一貴
出演:韓英恵、有森也実、綾野剛、佐藤寛子、白石隼也、町田啓太、信太昌之、渡邉紘平、松本若菜、内田春菊、古田新太、室井滋、伊原剛志

作品公式サイト http://dogsugar.co.jp/lemon.html
2012年12月15日よりシネマート六本木にて公開


結構ヘビーなテーマなので観る前には身構えてしまうのだけれど、徹底して映画的な表現を突き詰めようとし、あくまで映像とアクションで魅せていく作りなので、むしろ観やすい。

『アジアの純真』が青春の疾走だとしたら、今作は人生の迷走とでも呼ぶべきか、いずれにしろ前作同様に独特な映画的なグルーブが前面に打ち出されている。

かといって勢いだけな訳でもなく、例えば2つの平行する筋を別の撮り方で共存させ、次第にそれが交錯して行く構成など、細かい映像の工夫と緻密な映像設計が効果的。

粗暴なようでいて、この語り口でしかあり得ない映画なのだという覚悟が漲っていて、また、それに応える女優たちの顔は鬼気迫っていて素晴らしい。
posted by 井川広太郎 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年11月02日

Playback

Playback』(2012年/日本/113分/配給:PIGDOM)

第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門正式出品作品

行き場を失くした男の、ある「再生」の物語

誰にでも立ち止まりたくなるときが、ある

勢いだけですべて可能だと、そう信じていたときが終わり、ふと立ち止まる瞬間が訪れる。
いままで自分は何をしてきたのか、そしてこの先どうなるのか。
そんな、誰もが体験するだろう不安を『Playback』の主人公ハジも、40歳を手前にして抱えている。
そんなときに彼は、自らが生きてきた道を辿り直すことで、かつての自分や仲間たち、故郷の風景を改めて発見するだろう。
後悔するためではなく、自らの「再生」を始めるために。


新しき才能との出会いー三宅唱×村上淳×大橋トリオ

監督の三宅唱は、本作が劇場公開デビュー作となる28歳の俊英。
加瀬亮など、映画をこよなく愛する俳優たちをうならせた処女長編『やくたたず』(10)をみた村上淳が、監督にラブコールを送り、この企画が実現した。
監督はその返答として、村上の実人生と重なり合うような、俳優を職業とする主人公を作り出した。
自然体ながら、まるで初めて出会うような村上淳がここにいる。
また渋川清彦、三浦誠己、河井青葉、渡辺真起子、菅田俊ら、エッジの利いた実力派俳優たちが脇を固めるほか、主題歌を提供した大橋トリオの存在も忘れてはならない。
三宅唱という新しき才能を発見する興奮。
そしてその才能と、日本映画を代表する俳優たち、美しいメロディとの幸福な邂逅を、ぜひとも劇場で感じてほしい。


STORY

仕事の行き詰まりや妻との別居など、40歳を手前に人生の分岐点に立たされた映画俳優ハジ。
だがすべてが彼にとっては、まるで他人事のようだ。
彼を良く知る映画プロデューサーは再起のチャンスを与えようとするが、まともに取り合おうともしない。
そんなハジが旧友に誘われ、久しぶりに故郷を訪れる道中、ある出来事が起こる。
居眠りをして目覚めると、なんと大人の姿のまま制服を着て、高校時代に戻っているのだった……。
現在と過去が交錯し、反復されるその世界で、果たしてハジは再び自分の人生を取り戻せるのだろうか。



監督 三宅唱
出演 村上淳、渋川清彦、三浦誠己、河井青葉、山本浩司、テイ龍進、汐見ゆかり、小林ユウキチ、渡辺真起子、菅田俊

作品公式サイト http://www.playback-movie.com/

2012年11月10日よりオーディトリウム渋谷にてロードショー!ほか全国順次公開予定!


過去の名画が素晴らしいのは、何十本、何百本という同時代の名作の中からさらに選び抜かれた、選りすぐりの一本だからである。
はたして、数多くの新作映画に触れる我々にとっても、永く語り継がれるであろう作品に出会うことは稀である。
であるから一人の観客として、名画の誕生の瞬間に立ち会えたのは心から嬉しいし感動的ですらある。
きっと2012年は『Playback』を観た年として記憶される。

繰り返されることで色褪せていく日常の、くすんだ美しさを呼び起こすこの映画は、観る者それぞれに忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれる。
演技する楽しさ、スケボーの面白さ、とりとめのない会話の心地よさ、初恋のときめき、夢と希望を抱く興奮、人を愛する幸せ…
僕は、映画を観る喜びを思い出した。

posted by 井川広太郎 at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年10月11日

One Night One Love ワンナイト、ワンラブ

『One Night One Love ワンナイト、ワンラブ』イギリス/英語/80分/原題:YOU INSTEAD/提供:GREENROOM /配給:グラッシィ

10万分の1の偶然が、恋に変わる瞬間。

イギリス最大級のロック・フェスティバル。
最高の音楽に熱狂する大観衆ーー
ステージには”手錠”でつながれた、2人のロックスターがいた

人気絶頂のエレクトロ・ポップ・デュオ、〈ザ・メイク〉のシンガー、アダムは、イギリス最大級の野外ロック・フェス〈T・イン・ザ・パーク〉に颯爽とやって来た。
ところがバックステージで、売り出し中のガールズ・パンク・バンド、〈ダーティー・ピンクス〉のヴォーカル、モレロと大喧嘩に。
そして信じられない偶然から、二人は手錠で繋がれてしまった! 
手錠を外す手だてが見つからないまま、アダムとモレロはそれぞれの恋人やバンド・メンバーを巻き込んで熱狂渦巻くフェスで一夜を過ごすことになる。
そして、最初は犬猿の仲だった二人だが、行動をともにするうちに二人の心は少しずつ揺れ動き始めるのだった……。


イギリス最大級の野外ロック・フェスティバルを舞台に、
臨場感あふれる、<体験型ロック&ラブストーリー>が誕生した!

〈フジロック〉や〈サマー・ソニック〉など、日本でも様々なロック・フェスが人気を呼ぶなか、ロック・フェスを舞台にした新しいタイプの〈体験型ロック&ラブストーリー〉が誕生した。
実際にロック・フェスが行われている最中に映画を撮る、そんな無謀とも思える企画のもと、2010年にスコットランドで行われたロック・フェス〈T・イン・ザ・パーク〉に、キャストや撮影クルー、エキストラ達が集結。
フェスの観客同様に会場でキャンプを張って寝泊まりしながら、たった5日間で映画は撮影された。
まるでサントラのように遠くから聴こえてくる演奏は、すべて本物のライヴ・サウンド。
音楽に熱狂する大観衆や関係者が集まるバックステージなど、ロック・フェスの雰囲気が臨場感たっぷりに味わえるなか、ドキュメンタリー・タッチでスリリングなラブストーリーが展開。
そして、物語はエキサイティングなクライマックスを迎えるーー。。



作品公式サイト http://onenight-onelove.com

11.3 sat. 渋谷シネクイントほか全国ロードショー!!
※映画オリジナル缶バッジ付き特別鑑賞券¥1300(税込)絶賛発売中!)


実はずっと前から「フェスを舞台にした恋愛映画」を企画しているんだけど、なかなか実現できないものだから、誰かに先を越されてしまうのではないかとどぎまぎしていた。
で、この映画を知って、いよいよヤラレタかとあたふたして観に行ったのだが、とりあえずは全く違う話なので安心。

スター同士の運命の恋というのはどうも好みではないのだけれど、バックステージなどの一般には見えにくい部分も含めたフェスを体験するというのは面白い。
そういう意味では、もっと本番前の様子とか、ガールズバンドがここまで来た重みとか、ヘッドライナーとの待遇の差とかを見たかった。

ドキュメンタリータッチに見せながら周到に構成されたカット割りが見事で、冒頭の演奏しながらの登場シーンは本当にドキドキしたし、手錠をしながらのキーボードセッションも良かったし、焚き火の前でのアコーディオンも、テントの中のアコギの弾き語りも良かった。
なんかいま思い返すと、まるで良い映画だったっぽいぞ…
強い日差しの中の水溜りで泥だらけになる感じが、フェスに行ったような気にさせるし、フェスに行きたい気にもさせる。
posted by 井川広太郎 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年10月01日

キック・オーバー

キック・オーバー』英題:HOW I SPENT MY SUMMER VACATION/2012年/イギリス/95分/配給:クロックワークス

 『マッドマックス』『リーサル・ウェポン』シリーズでハリウッドでの地位を確立し、長きに渡って第一線を走り続けてきたメル・ギブソン。
『ブレイブハート』のアカデミー賞監督としても映画史に大きな足跡を残しているが、それでも多くのファンが待ち望んでいるのは、やはりアクション・スターとしての彼だろう。
そんな期待に応えるべく放たれた新作『キック・オーバー』が、いよいよ日本上陸!

メキシコの刺すような熱もそのままに、ギラギラとした熱気を発するA級アクション。誰もが見たかったタフでラフなメル・ギブソンが、ここにいる!


世界一ヤバイ場所で、デカイヤマを踏め!
メル・ギブソン完全復活!
全世界待望のノンストップ・アクション!!

マフィアから大金を強奪した通称“ドライバー”(メル・ギブソン)は、アメリカからメキシコへと国境を越えて逃亡を図るが失敗。
逮捕され送還された先は史上最悪の刑務所“エル・プエブリート”。
常識もモラルも通用しない世界で、凶悪な囚人、マフィア、悪徳所長、地元警察、など有象無象の輩を敵に回すことになる。
狙いはもちろん、盗んだ大金だった!
果たして彼は大金を取り戻し、脱獄できるのか!



監督 エイドリアン・グランバーグ
主演 メル・ギブソン

公式サイト http://kickover-movie.com

2012年10月13日(土)、 新宿バルト9ほか全国ロードショー


この映画は、当たり。当たりか外れかで言ったら、断然、当たり。
ありがちなアクション映画かと思ったら、一味も二味も違うんだぜ。

まず、痛みを伴うアクション描写。
殴り、殴られ、傷つけ、傷つくことの痛みを、徹底的に映像表現するから、どんな些細なアクションも迫力と説得力があり、また登場人物たちの心の痛みまで感じることが出来るので、観ていてハラハラドキドキする。

さらにメインの舞台となる“エル・プエブリート”の美術セットが素晴らしい。
実際に、似たような刑務所があったらしいのだが、人々が息づく様子、生活感、匂いまでもが漂ってきそうな狭いながらリアルな世界観が、映画的な醍醐味に満ちている。

かと思ったら、一番の見せ場のハズの大銃撃戦シーンが、メキシコを舞台にした某アクション映画へのオマージュになっていて、大迫力で血みどろながらのギャグに抱腹絶倒。
なんというテンコ盛りの遊び心。

原題の「HOW I SPENT MY SUMMER VACATION」、つまり「私がどのように夏休みを過ごしたか」という、シリアスなアクション映画には似ても似つかないふざけたタイトルそのままに、非常に愉快な映画だった。

やあ!ちびっ子の諸君!タフなガイを、タフガイって言うんだぜ!
posted by 井川広太郎 at 00:48| Comment(0) | TrackBack(1) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年09月12日

ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋

ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』英題:W.E./2011年/イギリス/1時間33分/配給:クロックワークス

ミュージシャンや女優として多方面で活躍するマドンナが監督を務めた壮大なラブロマンス。
結婚生活に悩む現代女性と、かつて英国王に王位を捨てさせた悪女として非難を浴び-たアメリカ人ウォリス・シンプソンの姿を通して愛の本質を浮き彫りにする。
悩める人妻を『エンジェル ウォーズ』のアビー・コーニッシュが演じ、世紀のヒロインを『わたしを離さないで』のアンドレア・ライズブローが熱演。
豪華な衣装や宝石に彩られた魅力的な物語におぼれる-。


N.Y.に住む妻・ウォリーは、子供を欲しがらない夫との関係に悩んでいた。
ある日訪れた“王冠を賭けた恋”で知られるエドワード8世と、その妻・ウォリスをテーマにした展覧会。
離婚歴がありながら、イギリス国王エドワード8世と結婚し、自由奔放に生きたウォリスの生き方に、ウォリーは惹かれていく。
しかし、すべてを手に入れたと思われていたウォリスにも、知られざる苦悩があった――。



監督・脚本・製作:マドンナ
出演:アビー・コーニッシュ、アンドレア・ライズブロー、ジェームズ・ダーシー、オスカー・アイザック

作品公式サイト http://we-movie.net/

2012年11月3日より新宿バルト9、TOHOシネマズシャンテほか全国にて公開
posted by 井川広太郎 at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年09月08日

鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド』2012年/日本/2時間8分/配給:クロックワークス

笑いとハラハラ・ドキドキのサスペンス、そしてトキメキ―
映画の醍醐味をすべて織り込んだ、大人のためのエンターテインメント・ムービー。

堺雅人、香川照之が競演!
『運命じゃない人』 『アフタースクール』内田けんじ監督、待望の最新作。

過去2作において、時制の組み替え、信じていたものがすべてひっくり返るような構成で、観客をあっと驚かせた内田けんじ監督。
そんな内田監督が今回描くのは、人生が入れ替わってしまったふたりの男と婚活中の女性が巻き起こす、誰もが楽しめる喜劇。
そこには種も仕掛けもありません!とはいえ、内田監督ならではの先の読めない展開と意外なラストは健在。
でも安心して身を任せてください。
気持ち良いエンディングまで一気に連れて行ってくれます。



監督・脚本:内田けんじ
出演:堺雅人 香川照之 広末涼子 荒川良々 森口瑤子

公式サイト http://kagidoro.com/

2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開


終始安定した俳優陣の素晴らしい技術と、隅々まで気を配られた画面のクオリティから、とても丁寧に作られていることが伝わってくる楽しい映画。
原作ものやシリーズものではないオリジナル脚本ながら、誰でも気軽に安心して観られる日本映画というのは、なかなかスゴいことだと思います。
posted by 井川広太郎 at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年08月02日

かぞくのくに

かぞくのくに』製作年2012年/製作国日本/上映時間100分/配給スターサンズ



病気治療のために25年ぶりに北朝鮮から一時帰国した兄ソンホと、彼を迎える妹リエら家族の姿を通し、価値観の違いと変わらぬ家族の絆を綴っていく人間ドラマ。
主人公リエ役には、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』でアジア・フィルムアワード助演女優賞にノミネートされるなど、世界が注目する新鋭女優・安藤サクラ。
リエの兄ソンホ役にはNHK大河ドラマ「平清盛」、『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』の井浦新(ARATA)、数々の賞を総ナメにした韓国映画『息もできない』の監督・主演のヤン・イクチュンが出演している。
監督は、『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』のヤン・ヨンヒ。
本作は監督の実体験がベースになっている。

監督 ヤン・ヨンヒ
キャスト 安藤サクラ/井浦新/ヤン・イクチュン/京野ことみ/大森立嗣

作品公式サイト http://kazokunokuni.com/

8月4日(土)テアトル新宿、109シネマズ川崎ほか全国順次ロードショー!!


生々しい実体験をドライなフィクションとしてまとめあげた重厚な脚本と、それに真っ向から向き合って応える俳優陣の気迫のこもった演技が見事。
「あの国で、死ぬまで生きるしかない」というヤン・イクチュンの台詞が重く、響く。
井浦新の「おまえは考えて、考えて、考えろ」という願いが届いたのかどうか、「韓国に行けない」安藤サクラが感情的に暴走する姿は絶望なのか、希望なのか。
物語として特別な状況を描いてはいるが、家族がいる人なら誰でも通じるところがあり、必ず感じるなにかがあると思う。

 

posted by 井川広太郎 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(1) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2012年07月18日

依頼人

依頼人』製作年2011年/製作国 韓国/[英題]THE CLIENT/123分/配給 ファインフィルムズ

死体が消えるという不可解な殺人事件が発生し、状況的に被害者の夫による犯行が疑われ陪審員たちの前でその罪が問われる、法廷を舞台にしたサスペンス。
「チェイサー」「哀しき獣」のハ・ジョンウが被告人の無罪を証明しようとする弁護士を、「作戦 The Scam」「セブンデイズ」のパク・ヒスンが有罪を立証しようとする検査を、「僕の彼女を紹介します」「ペントハウス エレファント」のチャン・ヒョクが妻の殺害容疑で出廷する被告人を演じる。
監督は「略奪者たち」(未)でデビューしたソン・ヨンソン。脚本はソン・ヨンソン監督とイ・チュンヒョン。



監督 ソン・ヨンソン
出演 ハ・ジョンウ/パク・ヒスン/チャン・ヒョク

映画『依頼人』公式HP http://client-japan.com/

2012年7月21日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか公開


こいつはヤラレタ!面白かった!

リアル路線のようでいながら、おかしなところや突っ込みどころも満載だし、これで“法廷サスペンス”と呼べるのかと疑問にすら感じてしまうのだが、それも徹底したサービス精神の表れ、120分間ハラハラドキドキさせ全く飽きさせないクオリティが素晴らしい。

企画段階からプロフェッショナリズム高いスタッフが丁寧に緻密に作り込み、どうやって120分間、観客を楽しませ満足させるかと練りに練って、そして現場ではキャストも一丸となって、このプロジェクトに真剣に取り組んでいたであろうことが画面からも熱く伝わってくる、非情に真面目な映画。

要するにハリウッド的なんだけれど、正々堂々とハリウッドの優れた面を学び、身につけて自分のモノにして、“売れる”エンターテイメントを生み出そうという、その真摯さが壮快。そろい踏みの俳優人もカッコいい。男らしいぜ。
posted by 井川広太郎 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする