2007年05月20日

Keep in touch! 19 10月10日

08:00 起床

バンクーバー最後の朝食。
パサパサのパンが切ねえな。


09:00 ホテル前

約5分で荷造りしてホテルの玄関に行くと、送りの予定ではない日本人スタッフが何人かいる。
どうしたのと聞いたら「ちゃんとお別れのご挨拶をしていなかったから」だって!
コラッ!俺が泣いちゃうじゃないか!

同便で帰国する某プロデューサーと、ほぼ同時刻でNYに帰る『ミリキタニの猫』のプロデューサーのマサさんと俺との3人が、ハイヤーで空港へと送ってもらう。

空港での飛行機待ちの間にバンクーバーでの食事の話題になり、ここバンクーバーにも独自の郷土料理があるらしいので今更ながら是非とも賞味しようということになる。

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しかし空港のスタンドで注文したせいか、一見して割りと普通にソースをかけただけのポテト。

今度来る時は、じっくり味わいたいものです。


13:05 バンクーバー発

飛行機の中では『カーズ』とか何本か映画を観た。
客室乗務員に「ウォッカを下さい」と頼んだら「え?ストレートで飲むんですか?」と目を丸くされる。
しかし彼女が初恋の人に瓜二つだったので、俺はそれどころではなくドキドキしていた。


10月11日 14:50 成田着

というわけで、夢にまで見た監督作でのバンクーバー国際映画祭への参加は長いようであっちゅー間に終わる。

また、これから『東京失格』と色々な国に行くことになるのだろうけど、なんつーか、矢張りバンクーバーは俺にとってあまりに思い入れが強すぎるし、劇場公開してから休む間もなくこの旅に出て、これでやっと長い長いめくるめく冒険の序章、一区切り付くような感じ。

すげー楽しくて、オモロくて、嬉しくて、充実していたのだけど、その何百倍も果てしなく切ない感じ。
何言っているのか分からんけど。


最後に、心の父であるジョン・カサヴェテスの言葉を引用して旅行記を終える。

「映画が終わると、愛が終わったみたいに感じる」
posted by 井川広太郎 at 01:55| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2007年05月16日

Keep in touch! 18 10月9日

09:00 起床

全ての日本からのゲストが早朝にバンクーバーを発った。
俺も明日の朝に東京に帰る。
ので、散歩して、ピザ喰って、しんみりしている。

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11:00 『カインの末裔

奥秀太郎監督の『カインの末裔』を観に行く。
有島武郎の同名小説や、旧約聖書の一節「カインのアベル殺し」にインスパイアを受け、工業都市・川崎を舞台にセクシャル&バイオレンスに描いた映画。
映画祭には主演の渡辺一志さんなどが来ていた。

その後、木村さんと合流し、映画を観に行く。


14:00 『Border Post』1241.jpg

チトー死後、分離独立の気運が高まる1987年のユーゴスラビアでアルバニアとの国境に配属された一部隊を描いたベストセラーを映画化したブラックコメディ。
話は分かり易いのだが、英語が分からない以上に、比喩や隠喩の面白みが理解できない部分が多く、やっぱもうちっと世界情勢についても勉強しなきゃなーと思う。

それから木村さんの友達も来て3人でお茶してる。
バンクーバー在住の友人が居たおかげで一層充実した旅行になった。
今度は東京で遊びましょう。


17:00 映画祭本部

この日のパーティは中華。
焼売を喰いまくる。


18:40 『Buddha's Lost Children』 0726.jpg

タイで多くの孤児を旅しながら育てる元ボクサーの僧侶のドキュメンタリー。
一見、ドラマなのではと思ってしまうほど美しい映像と特に色彩が素晴らしい。
子供達の屈託のない笑顔が素敵。


21:00 RUN ROBOT RUN!パーティ

『RUN ROBOT RUN!』のパーティにポール、久美子さんらと行く。
映画祭期間中、作品を広く知ってもらうためにこういうパーティを映画会社が独自に開催する。
作品は既に観てオモロかったし、主演のララとも仲良くなっていたので気楽に行ったのだが、会場が強面のドアマンがいる物凄く高級そうなクラブでビビった。
が、中では普通にフランクなスタンディングパーティ。
俺達は2階のテラスにでて、ダラダラと飲み食い。
いやん、もう明日に帰るなんて切なくなっちゃう。


23:00 the Saddest Boy in the Worldパーティ

続いて、別のパブで開催されていた『the Saddest Boy in the World』のパーティにも参加。
この作品のプロデューサーと仲良くなってたので「明日帰るのー」と挨拶。
こっちは粗方既に出来上がっていて、遅れて行った俺達も適当なテーブルに座り、周りにいる人たちとダラダラと飲み話す。
しっかし俺は、帰りたくない症候群が発症し、上の空。


25:00 ホテルに帰る

ポールと久美子さんに送ってもらってホテルに戻る。
そもそも、この二人との出会いが俺にとってのバンクーバーの始まりのようなものだったので、すっかり感極まってしまう。
4年前に初めてバンクーバーに来た時に彼等に出会い非常に良くして貰い一気にバンクーバーを好きになり、そして2年前に来た時には再会し2年後にまた来るぜと豪語し、そして今回、初監督作品で念願のバンクーバー国際映画祭に出品し、嬉しいやら、有り難いやら、今度はいつ会えるやら。
なんか一言でも口にしたら号泣してしまいそうなので「じゃっ!」とかアッサリ挨拶して、そそくさと自室に逃げ込む。

もっとちゃんとお礼を言えば良かったと後悔。
アレなんだよね、泣いちゃダメだとか踏ん張るのって、必ず後で後悔するんだよね。

いい加減、素直に泣けるカッコイイ大人になりたいです。
posted by 井川広太郎 at 00:01| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2007年05月03日

Keep in touch! 17 10月8日後編

19:30 『ヨコハマメリー

日本人ゲストチームと合流し、同じくゲストである中村高寛監督の『ヨコハマメリー』を観に行く。

既に日本では大ヒット、大きな話題になっていたのだが、俺はバンクーバーの地で初めて観ることになる。

んで、映画はガチ最高。

ファーストカットから全身がシビレルような興奮。
こういうドキュメンタリーを撮りたいと、俺が長年憧れていた作品が目の前にあるという感動。
なんて言えば良いのか分からなくなるほど好きな映画なのだが、簡単に言うと、この映画を観てからこの映画を忘れたことは一日だって無い。
いや、本当に素晴らしい映画でした。


22:00 Subeez Cafe

んで、日本人ゲストチーム総勢10数名で『ヨコハマメリー』上映の打ち上げ。
ポールと久美子さんに連れられて来たのはSubeez Cafeというお洒落なカフェ。

広い店内の隅にあるパーティーテーブルに陣取ると、店員がメニューを持って来てくれた。
「ひょっとすると、アンタ達は日本の映画監督か?」
「そうですよ」
「いま友人が『ヨコハマメリー』っつーのを観て物凄く面白かったってメールがあった」
「彼がその監督ですよ」
「マジで!スゴいなあ!彼女は本当に気に入ってたよ」
「ありがとう!」
「あと彼女は『東京失格』ってのを観たがってた」
「あ、それ、俺が監督!でも上映は終っちゃった」
「え?そうか… それは残念だなあ」

まあ、そんなこんなで、宴は始まる。

皆で楽しく呑みながら、ちょいと中座していた俺は席に戻ると同時に、店内に流れ始めた曲に猛烈に引かれる。
なにこれ、ヤバい!ヤバいって!!
音楽に詳しいポールに「この曲なに?」と聞いたら「ん?知ってる気もするけど思い出せないなあ」とのこと。
この時、まだイントロ。
ヤバい!心臓がドキドキしてきた!なにこれ!なんなのよっ!この曲は!
その場にいるみんなに聞くが誰も知らない。
んで、ついにケリーさんのボーカルが始まる。
ヤバい!

もう我慢できなくなった俺は席を立ち、レジにいる店長のところに走り、この曲はなんだと尋ねる。
すると店長は「来たな」とばかりにニヤリとしながら俺を指差し、ちょっと待てとメモり始める。
その間も曲が流れ続け、俺はなんかクリスマスプレゼントをもらうような気持ち。

Bloc Party 0572.jpg
Song:This Modern Love
Album:Silent Alarm

そう書かれたメモを満面の笑顔の店長に渡された俺は、日本に帰ったらミュージシャンのjun sekiguchiにさっそく聞こうと小躍りする。
ありがとー!!

これが俺とBloc Partyとの出会い。


24:00 ホテルのロビーで別れを惜しむ

深夜の静まり返ったダウンタウンをぞろぞろとホテルに向かいながら、みんな帰りたくない症候群が発症する。

俺以外の日本人ゲストは全員、明日の早朝の飛行機でバンクーバーを発つ。

あまりにも楽しい日々と、物凄く仲良くなれた仲間と、別れを惜しむようにホテルのロビーでたむろし、話し込む。

もう寝る時間が無くなっちゃうよ、もう朝まで起きてた方が無難かもとゲラゲラ話しながらダラダラしている。


27:00 

いい加減、ホテルにも迷惑だしなという感じで、記念写真を撮った後、それぞれ自室に戻る。

そして、寝る。
posted by 井川広太郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2007年04月29日

Keep in touch! 16 10月8日前編

12:00 起床

物凄く寝坊した結果、観ようと思っていた映画を数本逃す。
痛い。


12:30 映画祭本部

朝食にありつこうと映画祭本部に行くと、『single』のカメラマンのタッキーとボランティスタッフのマキちゃんがいる。
駄弁りながらパンとか果物とか、そこらへんにあるものを頂く。
タッキーは夕方にバンクーバーを発つらしい。
んで、タッキーは「俺、帰りたくないよ」と言わんばかりに凹み気味。つーかモロ言っていた気もする。
そんなわけで一緒にバンクーバー散策をすることにする。


14:00 バンクーバー失格

お土産買いたいというタッキーを、とりあえずロブソンストリートに案内。
もう数時間後には帰らなきゃいけないっていう切なさが滲み出ていて、こっちまで悲しくなってくる。
こりゃ、明らかにバンクーバー中毒の症状ですね。
フランス在住のタッキーと映画論とか打つけ合いながら散歩。

で、タッキーとロブソンストリートをウォークダウンしていると、学校帰りの木村さんに遭遇。
しかも、木村さんとタッキーは既に顔見知りらしい!
なんという偶然!
んなわけで、旅は道連れ、3人でバンクーバーの街を散歩する。

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スタンドでホットドックを買い食い。
市街には無数のスタンドがあるわけだが、現地在住でwebでも口コミ情報を収集しているという木村さんのレコメンドのスタンドに行く。
つーか、ホットドックスタンドの口コミサイトなんて、あるんだねえ。

バンクーバーのホットドックは、ソーセージの種類が選べる他に、野菜は好き放題挟めるシステム。
ソーセージが見えなくなるほど野菜を盛って頂く。
美味い!

天気も良いし、あーダラダラ。


17:00 タッキー帰国

そんなわけで、見送る。
またどこかで、会いましょう。

その後、木村さんとお茶してる。


19:00 ターキー喰い逃す

そういえば今夜は感謝祭(カナダでは10月の第2月曜日らしく、この日は日曜ってことで催されたらしい)でターキーパーティがあったのだと慌てて映画祭本部に行くが、既に宴は終了。
余り物でも良いから食べさせてくれとゴネるが、もう片したとのことなので、ビアを数本くすねてスゴスゴと退散。
posted by 井川広太郎 at 19:10| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月26日

Keep in touch! 15 10月7日後編

18:15 コンペ受賞式会場へ

『東京失格』がノミネートされた「ドラゴン&タイガー・コンペティション」は、アジアの新人監督を対象にした賞で、アジア映画を欧米映画界に配信するバンクーバー国際映画祭のメインプログラム。
アジアから8本の作品が選ばれ、日本からは『東京失格』と市井監督の『隼』が出品された。

その授賞式が行われる会場に、日本人ゲストの皆で行く。
会場前は既に沢山の取材陣とお客様でゴッタ返していた。
んで、コンペのノミネート作家を中心に、各国ゲストが集まってきて、取材やらフォトセッション開始。
もう結構な数の他国のゲストとも仲良くなっていたので、和気あいあいと物凄く楽しかったです。


18:30 コンペ授賞式

コンペ授賞式は、映画祭のメイン会場であるシネコンの中で一番デカイ1000人程入る劇場。
その最前列に日本人ゲストチームみんなで陣取る。
勿論、会場は満員。
怖いので後ろは振り返らないようにしていた。

はあ、ぶっちゃけ物凄く緊張しました。
グランプリ取っちゃったらどうしよう!取れなかったらどうしよう!
いままでの人生で賞という類は貰ったことは勿論、ノミネートされたことすら無い。
賞を貰うってどういうことなのかしら?という緊張感!
実は心臓がバクバク鳴っていて、隣に座っているポールに気付かれたどうしようとドキがムネムネしてました。

が、残念ながら『東京失格』は受賞を逃しました。
ちょっと、ホッとした。
この緊張感からやっと逃れられる!
しかし、一生に一度あるかないかのチャンスだったので、やっぱ受賞したかったな。残念。
まあ、また頑張ります。
今度からこんなに緊張しないだろうしねー


19:00 『王の男』1908.jpg

で、授賞式に続いて特別上映という形で韓国映画『王の男』を上映。
日本人ゲストチームみんなも鑑賞。
韓国で大ヒットしたという話は聞いていたので前から気になっていた映画なのですが、まさかこの機会に観ることになるとは。
大劇場の最前列なので、首が辛かったです。


21:00 パーティ

映画祭のゲストを集めたホームパーティに出席。
映画祭事務局の某女史の好意で自宅で開かれた。
自宅とは言っても、ダウンタウンの超高級マンションのぶち抜きワンフロア。
軽く400uはあろうかという超豪華な室内には、幾らするかも分からないような高級な家具が並び、四方にあるテラスからはバンクーバーの美しい夜景が一望出来る。

そこで日本人ゲストは勿論、各国ゲストやVIPが膨大な酒と手料理に舌鼓を打ちつつ、思い思いに過ごす。
つーか、韓国と中華の家庭料理だったのだが、マジで美味かったです。

俺はトニー・レンインズから色々と聞けたし、ドラゴン&タイガーの審査員でもあり友人でもあるアピチャートポンともじっくり話せたし、その他にも日本人ゲストのみんなと遊んだり、仲良くなった海外の監督達と話したりしていた。
さらに、某有名映画祭のプログラマーも『東京失格』を観てくれていたので挨拶出来たし、某映画評論家が『東京失格』を気に入ったから某超有名雑誌に評論を書くと言ってくれた。うそー!嬉しい!夢みたい!!
終盤には一室でカラオケ大会が始まり、誰かがタートルズの『Happy Together』を歌っていたので、酔っぱらった俺も一緒に熱唱した。
まあ、とにもかくにもメチャクチャ楽しく充実していました。


24:00 

宴も終わり、日本人ゲストの皆で歩いてホテルに向かう。
そういえば雨が降っていた。

ホテルが近くなってから、帰りたくない何人かで煙草を買いにちょっと離れたコンビニまで散歩に行ったりする。


26:00 自室に戻る

寝る。
posted by 井川広太郎 at 19:18| 東京 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月25日

Keep in touch! 14 10月7日前編

9:00 起床して朝食

バンクーバーに一緒に来て、一週間を共に過ごした『東京失格』のスタッフとキャストは早朝に発った。
今日から1人。
別れに立ち会ってたら、泣いてただろうな。


11:00 『single』1506.jpg

バンクーバーに来てから仲良くして頂いていた中江和仁監督の『single』を観に行く。
『single』のチームは中江監督の他にも撮影や照明の方も来ていて、とても和気あいあい。しかも、みんな若い!
が、彼等の作品は、とてもシリアス。
30代の男が、若い頃に付き合っていた恋人が残した10代の息子と同居生活を始めるという短編。
劇的な状況を淡々と見せながら、特に彼等の日常、会社や学校での有様が素敵。
特に息子の方、高校生のカップルの奥手な愛情表現はカッコ良かったな。
映像も特殊な処理がなされていて、独特な雰囲気が演出されていた。
観た後、どうやって演出したのか直接色々聞いちった。


その後はとある中国映画が観たかったのだが、時間的に間に合わなくなって断念。
映画祭の事務局に遊びに行って、他の色んな国のゲストと話して過ごす。


15:30 『Betelnut』2275.jpg

映画を観ようと劇場前に行くと、先程の『single』の撮影監督の滝沢さんに会う。
今から観る映画楽しみだねとか話していたところが、トラブルで上映が大幅に遅れる。
これからこの映画を観ると共に次の予定に間に合わない。
しかし、この作品は『東京失格』と同じくコンペのノミネート作品でもあり、何としても観たい!ので滝沢さんと相談して粘って観ることにする。
で、やっと観られたその映画『Betelnut』。
中国の田舎町を仕切る傍若無人の悪ガキ2人組がそれぞれ恋に落ちるのだが、実は彼等は純情で何も出来ぬまま共に恋に破れるという話。
個人的には物凄く好きっつーかビリビリ感じた。
何よりファーストカットに全てが込められている。路地でダラダラしている悪ガキ2人が、吸っていた煙草を投げ捨て「じゃあ、行くか」と啖呵を切る。が、その後、乗ろうとした彼等のバイクのエンジンが掛らず、延々とペダルを踏んでいる。そこまで全てフィックスの長回し。そんな映画。
ワンシーンワンカットで淡々と魅せる投げっぱなしのジャーマンのような演出に衝撃を受けたのか、冒頭は数十人いた観客が次々と中座してゆく。

で、だ。
映画の後半には客が数える程になっていた。
それでも俺は楽しみながら映画を観ていたのだが、帰ろうとして席を立ったらしきカナダ人が俺に近付いてくた。
「お前、Lost in Tokyoの監督だろ? スゲー良かったよ! 握手してくれ! それと、ここにサインも!」
映画の上映中だぜ!?
この薄暗い中、どうして俺に気付いたの?
入場時から狙われていたのか…
握手してサインしつつ、映画の鑑賞中に声をかけられるなんて経験は二度と無いだろーなと思った。


18:00 ホスピタリティ

で、俺と滝沢さんは遅刻しつつも、多数のゲストがホスピタリティに集合。
というのも、この後、『東京失格』も参加するバンクーバー国際映画祭のコンペの授賞式!
奇遇なのか、この日ホスピタリティに用意されていたのは寿司だった。
遅刻したので大急ぎで寿司と酒をかっ喰らう。


posted by 井川広太郎 at 02:39| 東京 | Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月24日

Keep in touch! 13 10月6日

8:00 起床

『東京失格』組みんな一緒での最後の朝食。


10:30 『The Last Communist』 0650.jpg

世界的に活躍しているマレーシアの映画監督であるアミールの作品を『東京失格』組の皆で観に行く。
彼とは福島さんや関口が以前から知り合いで、今回の映画祭でも既に会って色々と話していた。
『The Last Communist』は、マレーシアの共産主義者を辿るドキュメンタリーで、手持ちの小型カメラでアミール自身が撮影し、街行く人々に気軽に話し掛ける生々しいインタビューと、マレーシアという国の歴史的な背景が交錯するという、硬軟持ち合わせた独特な映画。
因に、マレーシア国内では未だに上映されていないという。

その後、皆と別れて俺は、『東京失格』と同じコンペにノミネートされている作品を2本観に行く。


13:00 『DO OVER』 1496.jpg

台湾の俊英Cheng Yu-Chiehの作品。物凄くクオリティが高い。
元旦を数時間後に迎える台湾で、映画監督、その映画のヒロイン、そのヒロインに恋する冴えない助監督、不法入国したヤクザ、ラリッたカップルなどの人生が、場所や時間を越えて交錯するというファンタジー。
監督のCheng Yu-Chiehは英語どころか日本語も物凄く達者で、俺は日本語で直接話すことが出来た。
台湾国内でも既に大変に評価が高いらしく、彼は間もなく世界的に活躍することでしょう。
いやー、ビビった。こんなクオリティが高いエンターテイメント作品を撮る同世代が世界にはいるのか!


15:30 『Stories from the North』 2205.jpg

同じくコンペの作品で、タイのUruphong Raksasad監督の映画。
タイの北部の農村部の牧歌的な生活を、ドキュメンタリータッチで描いたこれまた独特な作品。
日の出と共に起きて、日没と共に寝て、犬一匹と暮らし、下手すると一日中誰とも話さないじーさんのリアルスローライフなどを、まさにそこで生活しているかのようなスローテンポでじっくり魅せる。
監督のUruphong Raksasadは笑顔が素敵で、会う度にニコニコと話し掛けて来てくれる根っから優しそうなナイスガイ。
しかし「タイの都会に住む若者に、北部の実情を見せたかった」と言う彼とその作品からは強い意志が溢れていた。
とても素敵な作品で、俺は物凄く気に入りました。


17:30 ホスピタリティ

『東京失格』組の皆が集まって夕食。
あー、みんな一緒での最後の晩餐ですな。


19:15 『隼』 1505.jpg

同じコンペ出品作であり、市井昌秀監督作品の『隼』を、日本人ゲストの皆で観に行く。
市井監督とはもう何日も一緒に呑んでいるし、同じ年と言うこともあり物凄く仲良くなっていたが、作品を観るのはこれが初めて。
『隼』は一回目の上映なので、俺が緊張したようにテンション上がっているかと思ったが、市井監督は結構ケロッとしている。むう…俺っち負けてる…
で、作品の方は物凄くオモシロかった。
駄目カップルの不器用な愛情をコメディタッチで描いていて、一作目でありながらスタイルが確立され、ギャグと切なさが絶妙なバランスで同居する類稀なポップセンスが炸裂しいる。
『東京失格』を観た市井監督が「表現の方向性は違うけど根は一緒だなと思った」と言ってくれた言葉の意味が良く分かった。
すげー!
なんか自分と同じようなことを全く対局で成立させている作品を見て、素直に嫉妬した。
因に『隼』も『東京失格』同様、ロッテルダム国際映画祭にも出品!
同世代の仲間とバンクーバーで出会えて、物凄く嬉しかったです!


21:00 ボスマン呑み

『東京失格』組の皆と昨日と同じパブで呑み。
実は今日で、俺以外の『東京失格』組の皆は帰国してしまう。
長いようで短かったバンクーバーでの日々を振り返りながらしみじみ呑む。

その後、『隼』の市井監督や他の日本人ゲストの皆さんも合流し、呑み騒ぐ。

『東京失格』組の皆は明日の早朝に発つので、バンクーバーで一緒するのは今夜が最後。
あんなことからこんなことまで、とにかく語り尽くし、呑む。


記憶は定かでないが、確か25時くらいから『東京失格』組の皆でパブ巡りをする。
バンクーバーでの日々が余りにも楽しかったから、みんな後ろ髪を惹かれながら呑みまくる。
寂しいとか、悲しいとか、考えなくても済むくらいまで呑んで騒ぐ。


んで、28時頃、部屋に戻り、寝る。

posted by 井川広太郎 at 00:31| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月20日

Keep in touch! 12 10月5日後編

19:00 打ち上げ

さて、どこで呑むべかと話していると、お客さんの1人が「案内するよ!」と言ってくれる。
どんな店が良いかと聞かれたので「安くて近くてみんなで呑めるパブ」と言ったら、ピッタリの店が近くにあるという。

で、そのパブ「ボスマン」に『東京失格』組、日本人ゲストの皆さん、俺の高校の同期達、スタッフの方々、そして俺の呼びかけに応えてくれたお客様共々と行く。
総勢20名ばかりの団体に店は若干たじろいでいたが、話に聞いた通りの良い店で、店名もサッカー好きには溜まらんネーミングだし、物凄く居心地が良い。
一応、『東京失格』のバンクーバー国際映画祭での公式上映が全て終った打ち上げなのだが、参加者の半分近くが知らない人で、他にも久々に会った人や、出会って間もない人達なので、皆ワイワイガヤガヤと挨拶から始まり、大いに盛り上がる。
上映を観てくれたお客様の話もたっぷり聞けたし、他の日本人ゲストの皆さんともジックリはなせたし、いやー、良い呑み会だった。


22:00 ギリシャ料理

夜も更けて来て、帰る者、ライブを見に行く者など、三々五々散って行く。
そういえば、シアトルから来てくれた高校の同期達はパブでは酒を呑まず、これから車で3時間程かけて帰るらしい。ありがとー。気をつけてね。

で、残った面子、『東京失格』組から俺とたかちゃん、他の日本人ゲストから数名が、ポールの案内でギリシャ料理屋に行く。
俺は疲れてヘトヘトだったのだが、ギリシャ料理と聞いては行かないわけにはいかないし、何と言っても今日は『東京失格』上映の最終日。
行くよね。行っちゃうよね。行くでしょ。
腹一杯なのに食欲を刺激しまくる美味く脂っこくトロピカルなギリシャ料理に舌鼓を打ちまくる。
みんな疲労困憊なのに酒呑んでゲラゲラ騒ぐ。
自分の上映の後にみんなと仲良く出来るなんて幸せじゃんか。


24:00 ストリップバー

テンション上がりまくりの皆でもう一軒呑みに行くことになる。
で、来たのがストリップバー。
ぶっちゃけオモシロくない。

店内は安いパブみたいな雰囲気で、金がなさそうな若者がダラダラと呑んでいる。
一緒に行った皆もそれぞれ呑んだり話したり、殆どストリップには関心を示さない。
俺に至ってはちょっと呑んだら爆睡して、ショーが始まる度に店員に起こされる始末。
唯一、某女史のみが食い入るように見て、目を輝かせながら「キレイー!」と手を叩いて喜んでいた。


26:00 寝る

体力の限界!気力も無くなり、部屋に戻りました。

でも、本当に夜遅くまで呑んで食べて話して遊べて楽しかった。

良く眠れそう。
posted by 井川広太郎 at 22:23| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月15日

Keep in touch! 11 10月5日中編

16:00 『東京失格』2回目の上映

昨日、4日の初上映が19時とベストの時刻だったのに、2回目の今日も16時というなかなかの時刻での上映は有り難い。
と思っていたらスタッフの方に「16時はスゴく良いですよ!」と言われる。
今回はPacific Cinemathequeという名画座的なキャパ200人程の単館。
会場に行ってみたら驚いた。
今回もほぼ満員。
バンクーバーでは16時に終業しているところも多いのだそうだ。
恐ろしい…
しかし、何より沢山の人に観てもらえるのが嬉しい!

同じ日本人ゲストの方々も観に来てくれたので、会場前で歓談してる。
流石に一回目の上映を終えているので、今回はあまり緊張もしない。

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と、見知らぬ日本人女性から「井川監督ですよね?」と声をかけられる。
「Nの妻です!シアトルから来ました!」
今日はシアトル在住の高校の同期であるMが観に来てくれる予定ではあったが、Nって誰よ?と一瞬混乱する。
と、向こうから見覚えのある顔が。
それは高校卒業以来に再会する同期のNではないか!
なんで!?夫婦で来たの?っつーか結婚したのもいま知ったし、どこで上映を知ったの?それより10年以上ぶりに会うんだぜ?
車を駐車してから遅れて来たMと合流し全てが合点。
なんでもNもシアトル在住で、シアトルでMと再会し、今日一緒に来たらしい。
Mが来るだけでも嬉しかったのに、まさかバンクーバーで高校の同期に2人も会えるとは!

それから今回もトニーの紹介で舞台挨拶を軽くして、いよいよ上映開始。
『東京失格』組は退場し、遅い昼食でも摂ろうかとパブに行く。

パブに行ったらチャーリーに会う。
チャーリーも丁度いま上映中で、明日にはトロントに帰るらしい。
皆でわいわいと呑んでいる。
と、なんかのビールがキャンペーン中らしく、それを呑んだ福島さんがクジを引いたら、特製のジョッキと紙製の帽子が当たる!
それに釣られてそのビールを呑んだ岩崎さんまで、同じく特製のジョッキと紙製の帽子が当たる!
なんと幸先の良い!!
酒を沢山呑む良い子には、ご褒美まであるんですね!


18;00 ティ−チイン

で、上映が終る頃に劇場に行って、上映後のQ&Aに参加。
福島さんと岩崎さんは、先程貰った帽子を着用して舞台に上がる。

この時のQ&Aも熱気ムンムンで、一生懸命英語で対応していたが、途中から付いて行けなくなり日本語で返答。
やっぱ、最低限の英語は話せるようにならなきゃな。
他の国のお客様がどういうふうに観たのかを直接聞く貴重な機会なのだし。
それでも最後は例によって、酔ってる勢いそのままに「続きは呑みながら話そうぜ!」

で、終了後、『東京失格』組、日本人ゲストの皆さん、俺の高校の同期達、スタッフの方々、そして俺の呼びかけに応えてくれたお客様共々とパブに呑みに行くことになる。
posted by 井川広太郎 at 23:59| 東京 ☔| Comment(5) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月14日

Keep in touch! 10 10月5日前編

11:00 起床

さすがに寝坊する。


12:00 プレビュールームへ

どこの映画祭でも、劇場での正式な上映とは別に、上映する全ての作品がいつでもDVDなどで試写出来る部屋が用意してある。
これは、世界各国から集まったプログラマー、バイヤー、記者などが観るためのものなので、限られた人だけしか入室することは出来ない。
俺はスケジュール的に劇場での上映では観られない映画があったので、そのプレビュールームに行く。
VIFFのプレビュールームは映画祭本部が設置されたホテルの一室にあって、6台程のモニターが用意されている。
受付でゲストパスを提示し、お目当ての作品のDVDを借りる。

RUN ROBOT RUN!viff2006runrobotrun1.jpg

物凄くバカバカしいタイトルと、突拍子も無いデザインでしかもお手製と思しきフライヤーが気に入ってしまい、観る前から注目していた映画。
カナダのマイナーなプロダクションの作品らしいが、中身は以外にしっかりしたコメディで、ラストはちゃっかりホロリとさせる。
堅物の主人公が愛しの相手を万能アンドロイドに奪われ復讐するという近未来SFで、バジェットは確かに低いようだが、脚本もしっかりしていて、キャストも個性が強く、ギャグ満載で飽きさせない。
因に、この作品のチームはかなり気合いを入れてバンクーバーでプロモーションをかけていて、監督の他、ヒロインとバイプレイヤーが来ていた。
ヒロインを努めた女優であるララとはすっかり仲良くなってノベルティグッズ(!)も貰った。


14:00 ネットTVの取材

バンクーバーの邦人向けのネットTVの取材を主演の福島さん、岩崎さん、音楽の関口と受ける。
場所は映画祭事務局の隣の取材部屋。
このインタビューの中で今後の展開はと聞かれ、俺は「『東京失格』という映画と手を繋ぎ、色々な国にいって、沢山の人と出会いたい」と言うような言葉が出た。
そう言ってから、自分の中で『東京失格』が手を繋ぐべき他者になったのだなあと実感した。


14:30 新聞の取材

続いて、バンクーバーの邦人向けの新聞の取材を主演の福島さん、岩崎さん、音楽の関口と受ける。
2年前にも取材されたし、記者さんは顔見知り。
しかし、帰国後に送られて来た紙面を見たら、俺と役者の岩崎さんの写真が差し違えていて驚いた。

posted by 井川広太郎 at 23:39| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年12月01日

Keep in touch! 9 10月4日後編

22:30 「葉っぱ」で呑む

打ち上げということで、『東京失格』チームや、ポールと久美子さん、それに他のボランティアスタッフの方々や友人などで呑みにいく。
ロブソンストリートという商店街にある「葉っぱ」という日本料理屋。
海外の日本料理屋っていうと、日本何だか、アジアナ何だか、全く別もの何だか分からない程にアレンジされているものが多いけど、ここは店員に日本人も多く、勿論カナダ人の口に合わせてはいるが、比較的本来の「日本料理」に近い。

さっきまではめちゃくちゃオフィシャルだったわけだが、仲間で楽しくわいわいと一回目のInternational Premiere上映という大仕事を終えての感慨に耽る。


25:00 さらにホテルで呑む

ホテルに戻り、『東京失格』チームや、ポールと久美子さんとで一部屋に集まり、買い置いておいたビールを身内だけでガヤガヤと部屋呑み。
みんな、帰りたくないんだろ?


27:00 散歩

解散した後、音楽の関口と2人で、夜のバンクーバーの街を散歩に出る。
何を隠そう、2人とも未だに興奮が止まず、感情が押さえ切れない。
それぐらい、バンクーバー国際映画祭で『東京失格』を上映したってことは感動的なのだ。

開いているパブを探していたのだがどこも閉まっているようなので、ハーバーの方に出て、海を見ながら煙草を吸う。
ここは偶然にも、4年前に初めてバンクーバーに来た時に、真っ先にポールと久美子さんに連れて来てもらったレストランの横だった。
しつこいように俺は、バンクーバーに還って来たのだと実感する。

美しい夜景を見ながら、関口が「バンクーバーに来て良かった」と宣う。
確かに俺も、自分にとってあまりにもデカいイベントなのでビビっていた面もあるのだが、そうでなければ、こうしてここに来なければ味わえない感情や、出会いや、瞬間がある。
と、改めて噛み締める。

でも、まだまだ今回の旅は始まったばかり。
明日からも、楽しいことが山ほど起きるんだぜ。


29:00 寝る

ようやっと一人ホテルの自室に戻り、そして寝る。
posted by 井川広太郎 at 00:09| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年11月30日

Keep in touch! 8 10月4日中編

19:15 『東京失格』International Premiere

バンクーバー国際映画祭では、ワンプログラムが基本的に120分。
『東京失格』のように90分の長編の場合は、短編を併映する。

で、『東京失格』と同時に上映する短編は『Request 』。2256.jpg
韓国映画アカデミーの卒業制作として撮られた短編で、めちゃめちゃクオリティーが高い。さすが、将来の韓国映画を背負って立つであろう逸材。
障害者の性欲という難しいテーマを、非常にスマートに見せる演出力が素晴らしい。
この『Request 』のKim Ki-Hyun監督とは、数日前にパーティで出会っていて、すっかり仲良くなっていた。
2年前の『マチコのかたち』の上映の時も長編と併映だったわけだが、その時は長編の監督と会えず残念。
なので、その分、今回こうして一緒に上映する監督と仲良くなれてラッキーコンピューターだわ。


で、『東京失格』の上映。
トニー・レインズに紹介されて、主演の福島さん、岩崎さん、音楽の関口と俺とで、まずは上映前の挨拶。
みんな相変わらず陽気にペラペラ話して会場は爆笑。
でも、俺は心の中では超緊張。
ぐはー!

会場が暗くなって、映画が始まる。
今までで一番デカいスクリーン。
ぐひー!

海外に行く度に思うけど、日本の観客とは全く反応が違う。
なんつーか、反応がストレート。
大声で笑うし、「Oh!」とか叫んでビビったりするし、感情を平気で表に出す。
日本の観客の、静かにジワジワと感情が劇場に満ちて行く感覚も好きだけど、こういったストレートな反応も、俺としては嬉しい。

そして国によって受け取り方が違う部分もあるけど、その上で、時代や文化などに左右されずに皆が感動する瞬間もある。
それが映画だろと俺は思う。

劇場の一番後ろで、猛烈に緊張しつつ観客の反応を楽しみながら『東京失格』を観ていて、これって難解な映画だなと初めて気付く。
座っているだけでは何も与えてくれない。自分から積極的に観ることではじめて、その世界に触れることが出来る。まるで人生のようだ。
まるで人生のような映画を撮りたかったので、観ていて改めて楽しいし、嬉しい。
良いか悪いかは他人が決めることだけど、俺は自分が本当に好きな映画を撮れて誇りに思うよ。

しかし上映中に、若干ながら席を立つ人がいる。
これは辛い。
創り手としては本当に辛い。
『To Be or Not to Be』は1942年のエルンスト・ルビッチ の映画だが、まさにその気分。
劇場で席を立つということが他人の人生を左右することもあるということを知って欲しい。
後で聞いたら、カナダでは日常茶飯事とのこと。
逆に、後の予定があるのに少しでも『東京失格』を観たかったってことですよと笑顔で教えられる。
実際、そうだったのだという観客から、翌日の2回目の上映声をかけられたりもした。

そうかー。でもやっぱ、中座されると大袈裟でなく身が裂かれる思いなの。
白川監督が『眠る右手を』が香港国際映画祭での上映の時、エンドロールになった瞬間に殆どの観客が出て行ったと嘆いていたが、そういうところでやっぱ習慣の違いが出る。

日本での『東京失格』上映の時は、エンドロールが終りきるまで、ほとんど全てのお客様がちゃんと観てくれた。
それってやっぱスゴいことだし、何よりも嬉しいことだ。

とはいえ勿論、バンクーバーでも本当に多くのお客様がエンドロールの最後まで『東京失格』を堪能してくれた。
ふーっと思った。
やった!と思った。
映画が終って、なんか一区切りついて、また人生が始まったんだなあと思った。

俺のすぐ側で観ていたKim Ki-Hyun監督が「最高だ!」と言ってくれた。
彼は本当に『東京失格』を気に入ってくれたみたいで、その後何度も、直接にも人づてにも彼が気に入ってくれた旨を聞いた。
嬉しい。
本当に嬉しいなあ。

再び、トニーの紹介で主演の福島さん、岩崎さん、音楽の関口と俺とで舞台前に出て、これから観客との質疑応答。

相変わらず熱気ムンムンで、応えるのに困る程の難しい質問がバシバシ来る。
脚本のこととか、演技のこととか、音楽のこととか。

特に、小津映画との関係性について問われたのが嬉しかったな。
日本では不思議なことに、それについて公の場で聞かれたことが一度も無かった。
まあ日本では俺のような駆け出しと小津安二郎監督を並列に捉えるのは恐れ多すぎて、海外だからこそ感じる日本というアイデンティティなのかもしれない。

いつも通り質疑応答の時間はオーバーし、劇場を追い出された後も観客にあれこれと話し掛けられる。
バンクーバー在住の日本人や日本語を話せる人が「東京を思い出して良かった!」と言ってくれたり、全く日本について知らないカナダ人が「あの感覚は俺も知ってるぜ!」と言ってきたり、あとデッカイお花も頂いた。有り難う御座居ます!

写真撮られたり、サインしたり、握手したり、なんかもう、観客の生の反応を伝えて貰えて、本当に嬉しいし、有り難い。

本当に嬉しいし、有り難い。
泣いちゃおうかしら。

posted by 井川広太郎 at 13:41| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年11月09日

Keep in touch! 7 10月4日前編

8:00 起床

んあー!今日は遂に『東京失格』のInternational Premiereの日じゃあないか!
なのでバッチし「東京失格Tシャツ」を着込む。


9:00 朝食

福島さん念願のジョージアホテルの朝食に行く。
しかし、出てくる物は一緒。


10:30 1人で映画を観に行く

Dancing Boy 2255.jpg

期間中に仲良くなった韓国の女の子の短編。
とってもボーイズラブな初々しい作品。
少しトロイ男の子が、憧れの同級生に振り向いてもらえるように必死でダンスの練習をする。
こういった若い才能が、ゆくゆくは世界に発信する韓国のラブコメディを手掛けるのだろうと納得。


Withered in a Blooming Season2247.jpg

衝撃の映画。
演出も撮影も編集も駄目駄目なので、最初はちょっとこれはマズいんじゃないかと見ていたのだが、後半になって物語はトンでもない展開をし、映画的なエネルギーが暴走し始める。
決して良く出来た映画ではないが、凄まじい情念が渦を巻いているような感じ。
映画は技術だけじゃないと改めて思い知らされた。
圧倒された。

その帰り、ぼーっとしながら歩いていると向こうからトニー・レインズがやってくる。
俺は興奮して「あんな下手なのに最高な映画を選ぶなんて、あなたはスゲーよ!」みたいなことを捲し立てる。
トニーは飽きれながら「あの作品を気に入ってもらえて良かった!しかし今は急いでいるんだ!それと今夜の君の上映も忘れないでね!」


14:00 花よりもなほ1213.jpg

先の作品の衝撃で予定が狂い、暫しぼーっとしてる。
と、丁度『花よりもなほ』の上映時刻になっていたので劇場に滑り込む。

矢張り時代劇とあってかカナダでも大人気で、席は超満員。
期間中にも色々な国の人から「あれ見た?」と聞かれた。
で、劇場でもチャーリー他、何人かのゲストに会う。
上映後にはチャーリーが「最高にcoolだったぜ!君は時代劇撮らないのか?」と言ってきた。
いや、物凄く撮りたいです。


16:00 壁探しwords.jpg

4年前にバンクーバーに来た際、酔った夜中の帰り道にある落書きを発見した。
壁に書かれた「ignorance is the seed of violence」という言葉はそれ以来、俺の心の真ん中に居座り、『東京失格』という映画の象徴ですらあった。
今回、バンクーバーに『東京失格』を持ってくることが出来て、原点の一つとも言えるその壁の落書きを探すことを楽しみにしていた。
実際、一時間以上、思い当たる地点を歩き回って探していたのだが、記憶は曖昧だし、4年も前の落書きなので消されていて不思議ではないし、次第に見つける意義すら失って行った。
結局、途中で探すのは止めた。
なんつーのか、大事なのはその言葉をキッカケに『東京失格』という映画が生まれ、今度はバンクーバーの劇場のスクリーンに俺が落書きするわけで、きっとそうやって想いは受け継がれて行って、物にはさほど意味はないのだと思う。
うん。そうだ。人や物はいつか消えちゃうけど、そこで起きた事や生まれた想いは消えないんだ。
最初から形がないからね。
映画は光だ。


18:00 ホスピタリティ

『東京失格』組全員集合。
とりあえず腹ごしらえで酒と飯を胃に入れまくる。


18:30 上映チェック

本来はお任せなのだが、物凄くナイーブになった俺は無理を言ってゴネまくって上映チェックを御願する。
上映責任者が「こんな先例無いよ!」と飽きれながらも、俺のリクエストに快く応えてくれる。
問題ないのを確認して、漸くちょっとホッとする。
「だろ!俺達もプロだから信用してよ!」とウィンクする上映責任者と握手して、うわーいよいよだと緊張が一気に高まる。


19:15 『東京失格』International Premiere

劇場前には長蛇の列。
まさかと思って確認したら『東京失格』の列だと言う。
嬉しいを通り越して2周ぐらい回って戻って来てやっぱし感動の嵐って感じ。

元から緊張し易い俺だが、この上映を迎えて本当に心臓が喉から飛び出る程緊張した。
関口と「上映中は観ないでおこう」とか弱く相談していたら、福島さんが「一生後悔するから観ておけ」と言う。
しかし、あまりの緊張に震えが止まらない。

バンクーバー在住の友人や、期間中に知り合った各国ゲストや、お世話になっているスタッフや、日本人ゲストのみんなも観に来てくれる。
そして、劇場は300人近くの満員に。
すげー。
ありがとー。俺は緊張しまくりだよ。

なんで、こんなに緊張するんだろう。
劇場公開初日もこんなには緊張しなかった。
やっぱバンクーバーだからかしら。
おお!俺はバンクーバーで遂に『東京失格』を上映するんだぜ!
4年前からずっと思っていた夢を実現しちまうんだぜ!
I'm back!!
ってゆーか個人的な感情持ち込みまくりだよ。
おい!おい!おい!

あー、書いてて緊張が蘇って来たので、続きはまた今度。

posted by 井川広太郎 at 00:11| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年11月06日

Keep in touch! 6 10月3日

7:00 起床

ゆっくり風呂に入ったりしている。


9:00 朝食

福島さんが寝坊し、今朝はジョージアホテルに行くのは断念とのこと。
いつも通り、宿泊しているホテルのビュッフェで朝食。


11:00 End of an Elephant 1946.jpg

かつてあった巨大遊園地の盛衰を過去のフィルムと現在の風景とで辿ったドキュメンタリー。
いまのような安全性の高さが求められる人間が乗り込む機械ではなく、人間そのものがオモチャのようになる(例えば人間を発射する砲台や人間を遠心力で飛ばす円盤などの)巨大施設の数々は、見ているだけで妙な思想っつーか世界観の違いを痛感させられる。フィルムに残るという偉大さを再発見する。

Blockade 1914.jpg

第二次世界大戦の独ソ戦におけるレニングラード包囲戦でのレニングラードの市民生活を描いたフィルム。残存する当時のプロパガンダ的なフィルムに音を加え再編集したものであるが、その凄惨な光景は他に稀な物語を語る。


以上2本を関口と鑑賞。
ふらりと寄った上映であったが、2人とも大満足。


12:30 映画祭事務局

関口と映画祭事務局に行って、コーヒー飲んで、各国のゲストと駄弁ったりしている。

Scan3-33.jpg Scan3-44.jpg

13:00 チリハウス

関口がバンクーバー在住当時に頻繁に通ったというチャーニーズ屋さんに行く。
この店、普通のオフィスビルの地下という物凄く目立たない場所にあり、店員は英語があまり話せない中国人のおばさん一人。
内装は俺が知る限り世界最強クラスにメルヘンの限りを尽くしていて、腹だけではなく、心までも満たしてくれる。
なっつーか、バンクーバに咲いた一輪の花とでも例えようか、あまりにも幸せで腹がよじれる程に笑った。


14:00 散歩

多分、関口とパブ巡りをしていた。

Scan3-2.jpg Scan3-41.jpg

17:00 ホスピタリティ

『東京失格』組みんなで集まって呑んで食べる。
この後、ラジオの収録らしいから控えめにしておこうねと話していると、久美子さんがやってきて「19時から生放送なのに大丈夫ですか?」と宣う。
え?生放送?収録じゃないの?聞いてないよ…


19:00 ラジオの生放送

久美子さんに率いられ、ラジオ局に車で向かう。
「ラジオ日本」はバンクーバーで唯一の地上波による日本語放送だそうだ。
DJのヒゲタムさんの豪快なキャラに乗せられながら、俺と主演のタックン、たかちゃんで30分程の出演。


21:00 パブ

ラジオの生放送から帰り、久美子さんと皆でパブで酒呑みながらバーガー喰らう。


21:30 Diagrams for Space and TimeDIAGR.jpg

カナダの作家達による10数本の短編映画のオムニバス。
その内の一遍を仲良くなったカナダ人のチャーリーが監督として参加しているので皆で見に行った。
チャーリーが監督した短編は、モスクワのホテルの一室で数名のクリエイター達が24時間以内に数本撮るという企画で作られたもの。
条件が限られていてもアイデア次第でスタイリッシュに見せる手法に関心した。
映画は勿論オモシロかったが、しっかしそれ以上に劇場内が外以上に寒くて参った。


24:00 トニーのパーティ

最初、24時集合と聞いた時はわが耳を疑ったが、それだけ忙しい最中に歓迎してくれるということ。
トニーの招待で日本人ゲストの歓迎パーティがチャイニーズレストランで行われる。
『東京失格』組以外にも、今日バンクーバーに着いたという『隼』の市井監督や、『Cain's Descendant』のチームなどが一同に会す。
しかし、流石にみんな疲れているためかテンション低め。
いや、それでも呑んで、喰って、話しまくっているのだが。


26:30 ホテルに戻る

いやー、疲れた。
寝る。
posted by 井川広太郎 at 23:52| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年11月04日

Keep in touch! 5 10月2日

3:00 起床

くそー酔い醒めだー。
風呂に湯をはってジェットバスで泡泡にしたりして一時間程ゆっくり入浴。
その後、日記をつけたりして5時頃に2度寝。


8:30 朝食

8時頃に起きて、ホテルのビュッフェで朝食。
皆から「(映画祭本部での)朝食はどうなの?」と聞かれる。
いや似たようなもんですよと答えるが、明日はあっちに行きたいと口を揃える。


10:00 アピチャッポンに会う

映画祭本部に行くとアピチャッポンがいる。
アピチャッポン・ウィーラーセタクンは、カンヌの審査員賞をとったタイの若手監督。
以前から白川幸司監督と親交が厚く、その縁で俺も何度か会っていはいたが、たまたま今回のドラゴン&タイガー部門の審査員だったりもする。
久しぶり、みたいな感じで挨拶して、世間話。
『東京失格』楽しみだよ!と言ってくれる。
因に今夜はアピチャッポンの新作も招待上映されるので、俺は観に行くことを約束する。
それにしても人の縁って不思議。


12:00 Walking on the wild side035638a_380.jpg

いやー、びっくり。最高の映画でした。
トニー・レインズがプログラムした中国映画は毎度のようにオモシロいので、とりあえず観てみるかとフラッと観た映画なのだが、衝撃的な傑作でした。
後になって知ったのだが、監督のLAI XIAO ZIは長らく賈樟柯(ジャジャンクー)監督のアシスタントを務めてきて、これがデビュー作とのこと。そして、この映画は世界中の映画祭で好評家を得ている超話題作だったらしい。
中国の田舎町の悪ガキ3人組が傷害事件を起こして逃亡生活を始めるのだが、次第に3人の関係性の歯車も崩れ始め、次々と悲劇的な結末を迎えて行く。
まー、とにかく最高。観た瞬間、今年のベストワン決定って感じ。
ホウ・シャオシェンの『風櫃の少年』、エドワード・ヤンの『クーリンチェ少年殺人事件』を思い出しました。


14:00 Lights in the Dusklightsinthedust_01.jpg

アキ・カウリスマキの新作。
緻密な構成。
完璧な造形美。
相変わらずの悲喜劇。
まさにワン&オンリーの名人芸。
いやー、勉強になる。
オモシロかったです!


15:30 パブとかチャイナとか

関口と合流して、『Lights in the Dusk』を共に絶賛しながらWalking Down the Street。
パブで酒呑んだり、チャイナのテイクアウトで買い食いしたりしてる。

Scan3-53.jpg

18:00 木村さんと会う

バンクーバー在住の木村さんに会う。
木村さんは白川幸司監督作『眠る右手を』で録音を担当。
で、現在、木村さんはバンクーバーに語学留学中とのこと。
因に『右手』の撮影監督である俺は同作で初めてバンクーバーを訪れたのだ。
縁と所縁を感じる。
お茶しながら、遥か5年前の現場の想い出話などをしている。
懐かしいなあ。


21:15 Syndromes and a CenturySyndromes website catalogue.jpg

アピチャッポンの新作『Syndromes and a Century』を観に『東京失格』組一同集合。
で、映画自体は、今までのアピチャッポンの作品の中では最もポップで観易い感じがした(『アイアン・プッシー』は除く)。
原風景的な映像と物語が、あたかも旋律の反復かのように、微妙に形を変えながら繰り返されて行く音楽のような映画。
相変わらず大胆な手法を堂々と用いている。
映像が美しい。


23;00 デイビーで呑む

『東京失格』組の皆とバンクーバー在住の関口の友人達とで呑みに行く。
デービーストリートという、通称ゲイストリートで知られる通りにあるパブっつーかレストランで、この店のスタッフはハリウッド映画にも出演歴がある有名人も多いのだとか。
『東京失格』の上映のチラシを置いてくれないかと頼んだら「もっと沢山くれよ!」だって。
みんな良い奴らだ。


25:30 ホテルの部屋に戻りみんなで呑む

バンクーバーでは、路上での飲酒(Bloc party!!)が違法。
酒屋も早い時間に閉まってしまう。
ので、昼間に買っておいたビールを皆でちびちびと呑む。


26:30 就寝

posted by 井川広太郎 at 13:33| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年10月30日

Keep in touch! 4 10月1日

08:00 起床

海外での朝はいつも早い。
だって日本と違って夜は早いし、街は綺麗だし、少しでも長く遊んでいたいじゃんか!


09:00

概ね、皆で朝食。
確か約一名が大幅に寝坊。
ホテルのビュッフェで摂ったのだが、基本的に北米の朝食はパンと果物などの甘いものだけ。
フランスやドイツでは違ったような気がするんだがなー。


10:00 散歩

福島さん、岩崎さん、山田とバンクーバーの街を散歩する。
俺は結構見慣れたものだが、それでもこの街の景色は矢張り美しいし、空気が乾燥していて気持ち良い。

Scan3-16.jpg Scan3-52.jpg Scan3-8.jpg

サッカーしている人たちを発見!混ぜてもらおうかと思ったけど、靴は履いている一足しか無いわけだし断念。

12:00 寿司

通りがかりの寿司屋で4人で昼食。
バンクーバーは比較的新しい都市でもあり、同時に多種の文化入り交じっているので、食に関するアイデンティティが弱く、逆に言えば何でも食べられる。
当然、寿司などの和食屋は数多いのだが、出されるものは日本のそれとは微妙に違って可笑しい。
この時も、北米の定番である「カリフォルニアロール(アボガド巻き)」は勿論のこと、「スパイダーロール(ソフトシェルクラブ巻き)」っつーのを初めて食べた。意外にイケたな。スパーダーロールは。


13:00 『TOKYO LOOP1001346_01.jpg


というわけで、今回の1本目は、イメージフォーラムが制作した複数作家によるアニメのオムニバス映画である『TOKYO LOOP』。
大山慶監督、和田淳監督といったイメフォを代表する作家は勿論、他ジャンルの作家も参加している意欲作。
特に、しりあがり寿先生の作品が素晴らしかった。


14:30 ホスピタリティ

映画祭事務局があるホテルのパーティールームは、ディナーパーティ以外の時もコーヒーや軽食が用意されて開放されていて、様々なゲストが立ち寄るので、出会いと情報交換の場でもある。
この時は、バンクーバー国際映画祭のドラゴン&タイガー部門(アジア映画部門)のプログラマーであるトニー・レインズがいた。
北野武監督を世界に紹介したことでも知られる高名な映画評論家であるトニーには、過去の白川幸司監督作品でのVIFF参加時から大変にお世話になり、今回のノミネートには言葉に尽くせぬ程のサポートを得た。
本来なら丁寧な感謝の辞でも述べるべきところなのだが、ちょいと感極まってろくなお礼も言えない俺を「Wellcome back! Ikawa-san!」と笑顔で迎えてくれる。
マジで泣きそうになる俺。
するとトニーは「んなことより、明日か明後日、君のクルーも招いてディナーしよう!」と言ってくれる。
こっちが世話になっているのに、なんて有り難いんだろうか。
「それは『lost in tokyo』が素晴らしかったからで、私は関係ないよ!ところでちょいと忙しいからお暇するね」と去って行くトニー。
明日か明後日、また会ったら今度はもっとちゃんと謝辞を述べようと誓う俺。


16:00 『Magic Mirror』img_magic_mirror.jpg

齢88歳のポルトガルの超巨匠マノエル・デ・オリベイラ の新作。
気合い入れて観たのだが、ちょっとツマらなくて寝てしまい、殆ど覚えていません…
また、機会があれば観直します…


18:00 ホスピタリティ

夕食を食べに『東京失格』組の皆でホスピタリティに集まる。
この時はまだ日本人ゲストが他におらず、その代わりに他の国のゲスト達と話したり、仲良くなったりししていた。


20:00 パブ340&cambies

バンクーバーに在住していた関口純の案内で、『東京失格』組の皆でかなりマニアックなパブである340に行く。
こっちは店内には何も無く、只管与太者が酒を呑むといった具合。

それから、その側にあるパブcambiesに。
こっちはパーティテーブルや、ピンボールゲームやビリヤード台があって、大勢でわいわい呑む感じ。

どちらにしろ、観光案内では決して来ないような、その街の横顔が見えて素敵。


24:00 帰室

寒いわ疲れているわで皆でホテルに帰る。

しかし今日はあまり映画が観られなかった。
明日から頑張って沢山観るぞー!!

posted by 井川広太郎 at 00:03| 東京 ☔| Comment(3) | TrackBack(1) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年10月28日

Keep in touch! 3 9月30日後編

17:00 ホスピタリティ

映画祭期間中は毎晩17時から19時まで、映画祭事務局があるホテルのパーティールームでホスピタリティという立食パーティが行われている。
つまり毎晩、只飯と只酒にありつける。
そしてこの場は、世界中から集まったゲストや、プロデューサー、プログラマーなどが交流する場でもある。

十分休養し、ヤル気十分の我々はこの地に赴き、ガッツシ喰らい呑み話す。
これが映画祭の醍醐味だよね。


19:00 レストランでピザ

久美子さんの計らいで、他のボランティアスタッフやポールとお食事会ということで場所を移す。

ポールは本職が日本語通訳で、映画祭では毎年公式の場(舞台挨拶とか)での日本語通訳を担当している。
彼も4年前も、2年前も大変にお世話になった。
というか、久美子さんとポール、この2人がいなけりゃバンクーバーじゃない。

他にも昨年お世話になったボランティアスタッフの方や、初めて会う方などと我々、総勢10数人でレストランでお食事。
おかしい、さっきホスピタリティで呑み喰いしたはずなのに、またビールにピザを平らげる。


22:00 Gラヴのライブ

福島さんと山田が疲れたからとホテルに帰る。
ので、昼間に約束したGラヴのライヴのバックステージパスに余りが出る見込み。
という話をしたら、ポールも久美子さんも他の皆も行きたいと言い出すから、とりあえずみんなで行っちまおうぜということになる。
何枚取り置きしてあるか分からないけど、まあとりあえず行こうか。

ライヴ会場の入り口で話をしたら、確かにGラヴから俺達のチケットとバックステージパスをキープするよう指示が来ているとのこと。
たった30秒の会話だけでちゃんと約束を守ってくれるなんて律儀な人だ!
で、人数が増えたんだけど…と言ったら、何やら色々確認した後、じゃあみんなで入りなよということになる。

いつも思うけど、海外ではゴネれば大概のことは何とかなる。そこが日本とは決定的に違うことだと思う。

んなわけで、皆でライヴを楽しむ。Gラヴも良かったよ!呑み疲れて俺は少し寝ちゃったけど。


24:30 バックステージ

ライヴの後半は折角バックステージパスがあるのだからと、舞台袖に上がり聞いていた。
で、ライヴ終了後、スタッフの人が「バックステージパスがある人はGラヴに会えるからここで少し待ってて!」と言うので、言われるままに別室で待っている。
しかし、待てど暮らせどGラヴが来る気配は無く、それどころかバックステージパスを持ったギャルがどんどん増えてくる。
Gラヴにお礼が言えないのは残念だけれど、こりゃ待ち惚けだなということで、みんなで外に出る。
外に出るとGラヴの切り抜き写真を持ったギャル数名が走り寄って来て「そのバックステージパス頂戴!」とか言ってくる。
Gラヴって、すげー人気あるんだね。あげないけど。


25:00 4人でチャイナ

夜も更けたので、皆、適当に帰る。
が、関口がまだ遊び足りないと言うので、ポールと久美子さんと俺との4人で中華料理屋に行くことになる。
去年に関口がバンクーバーに住んでいる時にポールと久美子さんを紹介していたので、彼等も非常に親しい。

で、この時間にやっている店は少ないのだが、ホテルからほど近い中華料理屋がやっているとのことでそこに行く。
この店は、トニー・レインズのお気に入りで、毎年彼にも連れて来てもらうところ。
今年もきっとまた来ることになるであろう。

他の店がやっていないせいもあってか、深夜なのに大変に繁盛していた。

親しい友人達とまた飲み食いしながら、とても長くあっという間で激動の一日を振り返る。

ああ、俺はバンクーバーに来ちまったんだな。


27:00 自室に戻る

泥のように眠る。
posted by 井川広太郎 at 00:33| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年10月27日

Keep in touch! 2 9月30日前編

13:30 日暮里

いよいよバンクーバーに発つ日。
日暮里駅で、『東京失格』の音楽を担当した関口純と合流。
既に2人とも非常に緊張し、異様にハイテンション。俺同様、彼もバンクーバーという街に思い入れが強いのだ。
関口は1年前、バンクーバーに住んでいた。

その頃に俺は『東京失格』の楽曲の制作を彼に依頼していたのだが、『東京失格』とバンクーバーという街の関係についても彼に話した。
その話が、実際にバンクーバーにいる彼にはパーソナルなリアリティをもって実感されたらしく、最終的に『ignorance is the seed of violence』というエンディング曲に結実するわけだが、バンクーバーという街を通じて共感し合った我々は、その街に訪れることに興奮していた。

その後、主演の福島拓哉、岩崎高広、制作の山田麻李安と合流し、いざ、成田へ!!


15:30 成田

というわけで、今回の旅行は俺を含めて5人。
みんな当然、酒好きばっかなので、ビール呑んで煙草を吸いながら飛行機を待つ。
なんだかこういう賑やかな旅は、先のオーバーハウゼン国際映画祭に参加した時もそうだったけど、退屈する時間がないから忙しいけど楽しい。

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18:00 飛行機が離陸

JALすげー!!
貧乏旅行に慣れきっている俺は、座席ごとに多機能モニターが付いているJALにビックリ!
だって、映画が観られるだけでなく、専用コントローラー付きでゲームとかも出来るんだぜ!?
んなわけで、遊んで酒かっくらって豚みたいに出される飯を喰らい、豪遊した後に時差調整の為に寝る。

因に機内で観た映画は『X-MEN Final Decision』。3作目にしてシリーズ中で一番オモシロかったです。


11:30 バンクーバー着

8時間のフライトの後、なぜか時刻が早まる。なにこれ、すげーオトク感!!
2年ぶりのバンクーバー。空港で既に感無量。
乾燥した涼しい気候の中、久々の煙草を満喫し、「ついに来ちまったな」と関口と心の中で泣きまくる。

飛行場では、トランスレーターの久美子さんが出迎えてくれる。
久美子さんは2年前も、4年前にもお世話になった、俺の中でバンクーバーを象徴するような人。
今回のバンクーバーへの再訪も真っ先に報告し、自分のことのように喜んでくれた。
ますます日本語が下手になった久美子さんと話していると、ああ、本当にこの場所に帰って来たのだなと実感が湧きまくる。
なんかもう、想い出やら思い入れとか有り過ぎて、バンクーバーは既に「帰る場所」の一つのわけだが、こうやって再会出来る友人がいるというのが何よりの喜びだ。

久美子さんに先導され、空港からダウンタウンに向かう。
懐かしい街並は少しだけ変わり、2010年の冬季オリンピックを迎え、建設ラッシュが激しさを増している。
バンクーバーは訪れる度に大きくなっていく。

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12:00 映画祭事務局

車で30分程でダウンタウンに着く。
ダウンタウンの中心部にあるホテルに設けられた映画祭事務局は例年通り。
なんか、ふつー。ふつーにここの位置も道順も分かっちゃうのが切なくて嬉しい。
スタッフの中にも俺のことを覚えてくれている人がいて「Wellcome back!」と歓迎される。
いやー、嬉しい。心から嬉しい。

事務局では期間中のオフィシャルなスケジュールや事務的な何やらを渡される。
とりあえず映画祭のパンフレットを開き『東京失格』が載っているのを確認!
当たり前だけど嬉しい。
そして、お土産に貰うTシャツ!毎度これが楽しみなの!!

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13:00 ホテルからパブ

ようやく滞在するホテルに到着。
しかし、俺の部屋以外はチェックインが14:30になるとのこと。
ではと一旦、俺の部屋に皆の荷物を置き、とりあえず乾杯するべということで速やかにホテル近くにあるパブに。
そしてバンクーバー初のおビール。美味い!
これから滞在中、何杯のおビールを呑むのだろうか。

で、ここバンクーバーでは店舗であっても屋内の喫煙は禁止。
屋外では自由に喫煙出来るが、多くの人が集まる閉鎖空間では喫煙は違法。

このパブでは完全密封された別室が用意され、そこでの喫煙が可能になっていた。
ビール片手にそこで連中とバンクーバー初のビールを楽しんでいた。
と、何やら陽気なカップルがやってきて、いつの間にやら話をするようになる。
彼等はバンクーバーに住んでいて、メイクなどの仕事をしているとのこと。
『東京失格』を観に来てくれるというので早速チラシを渡す。


14:30 ホテルのエレベーターにて

待たされていたチェックインを済まし、皆で俺の部屋に荷物を取りに行く。
と、エレベーターで上がろうとすると、慌てた様子で長身の白人が飛び乗ってくる。
「君達、映画祭で来たの?」
そんな感じで話が始まり、なんとなく自己紹介することになり、再びチラシを渡す俺。
次第に、英語が堪能な関口と彼が一対一で話し始めるのだが、その先は早くて全く聞き取れない。
そして彼は先にエレベーターを降りた。
その間、約30秒。

俺の部屋に戻ってから、関口は興奮した様子で捲し立てた。
「G.Loveだぜ!?G.Love&スペシャル・ソース!!知らないの!?」
関口の話では、先程の彼はG.Loveという有名なミュージシャンらしく、我々が映画祭のゲストで関口がG.LoveのCDを持っていると聞くと「じゃあ今夜のギグのバックステージパスを人数分キープさせとくからおいでよ!」と言って去っていったらしい。

バンクーバーに着いて僅か3時間、ホテルのエレベーターに乗っている30秒の間に早速の急展開!!

まあ、俺はそのG.ラヴ&スペシャル・ソースというバンドを知らないけど、とはいえ旅の最初の夜にライブに無料招待してもらえるなんて有り難いし、楽しに決まってる!

こういう出会いがあるから、旅は素敵だ。

まあさすがに疲れたので休憩ということになり、それぞれ荷物を自室に引き上げる。

俺はバスタブに湯を溜めゆっくり風呂に入り、荷物を解いて、日程や映画祭のパンフなどをチェックしていた。
posted by 井川広太郎 at 00:02| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(2) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする

2006年10月26日

Keep in touch! 1 はじめに

俺の監督作『東京失格』が、第25回バンクーバー国際映画祭(以下、VIFF)のドラゴン&タイガー部門のコンペティションにノミネートされた。

VIFFは過去にも2度訪れた非常に思い入れの強い映画祭であり、アジアの新人監督を対象にしたドラゴン&タイガーのコンペは大きな目標であったし、バンクーバーは俺にとっても『東京失格』という映画にとっても最愛の街の一つである。

そんなわけで今回の旅行は並々ならぬ感情を携えての日々を送ることになったのだが、その中で体験したこと、考えたこと、感じたことを咀嚼していく作業の一つがこの旅行記であろうと思うし、だから恐らくあの日々が俺の血肉となり新しい俺の映画に結実するのはまだまだ先のことなのだろうとも思う。

しかし、当時から、そして振り返り始めた今になって改めて思うのは、今回の旅行そのものが矢張り目的などではなくて、非常にポジティブな意味で通過点であったのだということだ。

だから、この旅行記を書くにあたってタイトルを「Keep in touch!」にすることにした。

Keep in touchとは、まあ別れ際の挨拶の一つで「連絡してね!」とかそういう意味だが、今回の旅行中にも沢山の人から頻繁にそう言われた。

社交辞令に止まらず、なんつーか、こう、人や街や映画と繋がり続けるという実感がこの言葉を通じて俺の中に広がっていった。

なんかね、ポジティブな寂しさ、パースペクティブが広がる切なさ、プログレスする悲しさ、そんな感じ。

旅はいつだって後悔の連続だ。

でも俺は忘れないぜ。

忘れたくないんだぜ。


あとさ、今回の旅行ではカメラを回さなかった。

いつも同様にビデオカメラは持っていったのだけれど、一度も使わずに終った。

オモチャのスチルカメラで少し撮ったし、同行者達が撮った画像があるので、それらはゆくゆく追加していくとして、カメラを回さなかったという事実に自分で驚いた。

バンクーバーは何度も撮っているからか、自分が監督として行く初の国際映画祭だからであろうか。

なんでだろう。
posted by 井川広太郎 at 13:45| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | バンクーバー旅行記2006 | 更新情報をチェックする