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12/23『東京失格』上映@アップリンク

5/20〜監督作「キミサラズ」公開@下北沢トリウッド



2018年03月21日

泳ぎすぎた夜

『泳ぎすぎた夜』(原題 La nuit ou j'ai nage/2017年/フランス・日本合作/配給コピアポア・フィルム、NOBO/上映時間 78分)



監督:五十嵐耕平、ダミアン・マニベル
製作:ダミアン・マニベル、マルタン・ベルティエ、大木真琴
出演:古川鳳羅、古川蛍姫、古川知里、古川孝、工藤雄志

公式サイト http://oyogisugitayoru.com/
2018年4月14日より、シアターイメージフォーラムほか、全国順次公開


子供を演出するのは映画の極意みたいなところがある。
”子供映画”の金字塔であるアッバス・キアロスタミの「友だちのうちはどこ?」と「トラベラー」を彷彿とさせる本作をダミアン・マニベルと共同監督した五十嵐耕平くんは、新作「ライオンは今夜死ぬ」でも子供を演出し続けている巨匠、諏訪敦彦監督の教え子であり、そこには確かな意志と偽らざる伝統を感じる。

第74回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ・コンペティション部門に正式出品された「泳ぎすぎた夜」は雪深い青森を舞台とし、現地に暮らす演技未経験であった古川鳳羅くんを主役に迎え、子供が小さな大冒険をする話である。
ほぼ台詞は無いながら、押さえきれないエモーションを身体の全てと街の一部を使って鳳羅くんが表現する中で、様々な物事に機敏に反応する子供の頃の純粋な感情と、未知と発見に溢れた世界の面白さ、そして、いつの間にか見失ってしまった日常の楽しさを思い出させてくれる。

2017年11月に有楽町朝日ホールほかで開催された国際映画祭「第18回東京フィルメックス」では学生審査委員賞を受賞し、さらに国内最大級の映画レビューサービス・Filmarks(フィルマークス)とのコラボレーションで創設された「Filmarks賞」も受賞した。
海外やら国際映画祭やらで評価された映画となると小難しそうに感じるかもだが、なにより日本の若き学生や一般観客が実際に観てこの映画を選んだというのは、なんとも感慨深い。

誰もが確かに体験していながらとうに失われた何かを、圧倒的な自然に囲まれて暮らす人々を捉えた美しい映像で描く『泳ぎすぎた夜』は、言葉ではなく感覚的に訴えかっける子供映画のようでありながら、子供を思う父親の目線をも湛えた映画であるというのもまた感動的。
posted by 井川広太郎 at 09:24| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年02月23日

ザ・キング

『ザ・キング』(原題 The King/2017年/韓国/配給ツイン/134分)



監督:ハン・ジェリム
出演:チョ・インソン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、リュ・ジュンヨル

公式サイトhttp://theking.jp/
2018年3月10日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー


権力を得るために悪事に手を染めていく若き検事の戦いと葛藤を描くハードボイルドなドラマ

フィクションでありながら妙にリアルな説得力があって、なぜ、"薄給で激務"のはずの検事が異常な富と権力を持ち得るのか、よく分かる。
重大事案が起こるとそれを打ち消すかのようにスキャンダルが報道されたり、政治家とめっちゃ癒着したり、出世こそが正義であったり、組織の論理が最優先されたり、なんか知っているような気がする検察の暗部が次々と描かれていく。

なんといっても歴代韓国大統領の実際の映像を使い、その失脚と選挙のたびに検察が暗躍しているというシーンが面白い。
韓国の歴代大統領は逮捕されたり、殺されたりと、必ず悲惨な末路をたどっているが、この映画を見ると色々と納得できる。やっぱりなー。そうだったのかー。

かといってこれが韓国だけの話とはとても思えず、むしろ、これは日本の話ではなかったっけと、既視感でクラクラする。
国家権力とか組織とか政治とか、どこもこんなもんなんだろうなという爽やかな絶望感。

しかし単なる暴露映画かというとそんなことは全くなく、権力と欲望とに惑わされた若者の一代記になっている。
主役のめちゃんこイケメンなチョ・インソンが、時代の波に飲まれる男を真摯に演じていて、ピカレスクというよりハードボイルドな雰囲気が骨太で良い。
さらに、憧れの先輩検事を演じるチョン・ウソンが素晴らしい。
恐ろしいほどに切れ者で、近づきがたいほどのオーラを放ちつつ、実はめっちゃ軽薄な小者っていう難しい役どころを見事に演じていて、めちゃくちゃカッコいい。
ビシッと決まったシチサン分けが最高にクールだぜ!
posted by 井川広太郎 at 12:57| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2018年01月30日

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(原題The Big Sick/2017年/アメリカ/配給ギャガ/120分)



監督:マイケル・ショウォルター
製作:ジャド・アパトー、バリー・メンデル
製作総指揮:グレン・バスナー、ベン・ブラウニング
出演:クメイル・ナンジアニ、ゾーイ・カザン、ホリー・ハンター、レイ・ロマノ

公式サイト http://gaga.ne.jp/bigsick/
2018年2月23日(金)TOHOシネマズ日本橋ほか全国順次ロードショー


恋に落ちた異文化カップルが様々なトラブルを乗り越えていく実話を基にしたコメディ

メチャメチャ良かった!
シカゴに暮らすパキスタン出身のコメディアン志望の若者が、白人の女性と恋に落ちるのだが、家族や宗教そして差別や病気と次々に試練が訪れる。
これがなんと、主役のクメイルを演じるクメイル・ナンジアニの実体験なんだとか。
彼が端役で参加していた現場でその話を聞いたジャド・アパトーがピピっと閃いて「脚本を書け!」と鶴の一声。
そこから何年もかけて脚本を完成させ、自ら主演しているのだとか。
さらに驚きなのが、脚本を共同執筆したのが、劇中のヒロインのモデル本人らしい。
カップルが自分たちの出会いと苦難をこんな開けっぴろげな脚本に仕立て上げるなんて…

ジョークに溢れたエピソードの数々と、ハチャメチャなキャラクターたちが素晴らしい。
アホすぎて迷惑ばかりかけるけど憎めない、そんな愛すべき家族や隣人が次々に登場する。
そしてなにより、深刻な話を堂々とコメディしながら、重くなりすぎず、しかし決して軽くはなりすぎず、絶妙なバランス感覚を発揮する演出が秀逸。

なんというか、観客を楽しませつつテーマをちゃんと伝える、ということに徹しているのだ。
ジャド・アパトーのルーツでもあるアメリカのスタンダップコメディについて詳しく描かれているので、その意味でもとても興味深い。
笑いとは何かコメディとは何か、面白くすることに真摯で真剣なスタンスが微塵たりともブレず、しかし堅苦しさは皆無でとにかく最高に笑えるのにグッときて心に響く。
posted by 井川広太郎 at 12:33| Comment(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年12月29日

2017年ベスト10

『ハクソー・リッジ』(2016/メル・ギブソン)
極めて優れた戦闘描写で痛みを詳細に描く戦争映画の傑作であり、大作映画はこうあるべきという手本


『氷の下』(2017/ツァイ・シャンジュン)
”分かり易さ”という幻想に麻痺させられた感覚が、圧倒的な映像美を前に覚醒していくような興奮


『天使は白をまとう』(2017/ヴィヴィアン・チュウ)
欺瞞に満ちた”答え”を受け入れられない少女の困惑と失望と疾走は現代中国の「大人は判ってくれない」


『四月の永い夢』(2017/中川龍太郎)
移動撮影の心地よさと切り返しのリズム感で躍動する映像が、繊細な感情と情景を纏う映画女優を讃える


『この世界の片隅に』(2016/片渕須直)
戦争と人の営みをアニメならではのリアリティで描き、こうの史代の世界観を見事に映画化した情熱


『ビッグシック』(2017/マイケル・ショウォルター)
深刻な状況を面白おかしく、軽くはなく重くもなく絶妙なバランス感覚で描くレベルの高い演出が圧巻


『禅と骨』(2016/中村高寛)
ドキュメンタリーでありながら映画本来の自由なフォルムで、アニメやドラマも挿入される奔放な人生賛歌


『ジョニーは行方不明』(2017/ホァン・シー)
映画の被写体とは都市そのものなのだと高らかに宣言しつつ、いまの台湾に生きる人々を活き活きと描く


『馬を放つ』(2017/アクタン・ アリム・クバト )
田舎の馬泥棒の話が、遊牧民族の誇り、宗教と歴史、そして男の浪漫と父と子の寓話へと展開して行くスケール感


『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017/石井裕也)
いまの東京の絶望感を生々しく描きつつ、同時にそこに潜む希望と美しさを感じさせるポジティブな力強さ
posted by 井川広太郎 at 12:46| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2017年12月24日

東京失格



アップリンク渋谷での上映イベント「東京恋愛人vol.2」にご来場くださった皆様、ありがとうございました。
応援してくださった方々もありがとうございました。

「東京失格」の出演者が駆けつけてくれて同窓会みたいで楽しかったけど、みんなちょっとオッさんになってた。
逆に言えば、映画の中のみんなは若い。
そこに映っている東京も、今よりちょっと若いんだよなあ。
このフレーズは昨日見に来てくれた人が言ってたやつだけど、気に入ったので使わせていただきます。

アニメーション監督の水崎淳平さん、作家で脚本家の狗飼恭子さんを招いてのトークイベントもめちゃくちゃ楽しかった。
すごく参考になるお話をたくさん聞けて、勉強になった。ありがとうございました。
さらに、まさかの展開でお客様からの質問を受け付けることになったのだけれど、これが意外と盛り上がって、するどい質問を頂けてとても刺激的で面白かった。励みにいたします!

初公開から11年も経ったDVDも出ている小さな映画を上映して頂き、本当に嬉しかったです。
主催で同時上映「キリトル」監督の田中情さん、お疲れ様でした。
やっぱり劇場で上映して、お客様や仲間と分かち合う映画は格別!
また十年後とかに上映する機会があったら良いなあ。
posted by 井川広太郎 at 17:24| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2017年12月19日

Tokyo Filmgoer

英語字幕付きで上映される映画を紹介するサイト「Tokyo Filmgoer」に、12/23にアップリンク渋谷で開催されるイベント「東京恋愛人vol.2」の情報を掲載していただきました。ありがとうございます!
「東京恋愛人vol.2」では、『キリトル』(2009年/60分/田中情監督)、『東京失格』(2006年/91分/井川広太郎監督)共に英語字幕付きで上映いたします。

There is the article about "TOKYO RENAIJIN Vol. 2: LOST IN TOKYO x KIRITORU" In "Tokyo Filmgoer”, which is the site of the information of the English-subtitled screenings of Japanese films.
Please check it!

http://tokyofilmgoer.com/lost-in-tokyo_kiritoru/
posted by 井川広太郎 at 19:16| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2017年12月18日

海賊ラジオ

ラジオアプリ「勢太郎の海賊ラジオ」内の「福島拓哉のオルタナラジオ船」という番組で12/23(土・祝)にアップリンク渋谷のイベントで上映される監督作『東京失格』(2006)を紹介させて頂きました。
緊張のあまり何話したのか覚えてないけど、主演の福島さんと一緒に行った2006年のバンクーバー国際映画祭での思い出などを語ったような…
1/15まで無料で配信されているようです。ご興味がある方は是非アプリをDLし聴いてみて下さい!
どうぞよろしくお願い致します。
https://appsto.re/jp/CGtf8.i
posted by 井川広太郎 at 10:04| Comment(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする