information

5/20〜監督作「キミサラズ」公開@下北沢トリウッド

東京失格 [DVD]

TSUTAYAレンタル検索



2017年06月09日

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白

『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(原題 Madame B., histoire d'une Nord-Coreenne/2016年/韓国・フランス合作/配給 33 BLOCKS/72分)



監督:ユン・ジェホ
製作:ギョーム・デ・ラ・ブウレイ、チャ・ジェクン

公式サイト http://mrsb-movie.com/
6月10日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!


中国で「脱北ブローカー」をする女の数奇な運命と愛を描くドキュメンタリー

めちゃめちゃ面白かった!
タイトルにある通り被写体のマダムは当初「脱北ブローカー」をしているのだが、そのインパクトあるフック「脱北ブローカー」でさえ些細なことに思えてくるほど壮絶な、女の生き様を描いている。
極限状態を描いた社会派のドキュメンタリーでありながら、一人の女の愛の物語になっているのが、この映画の魅力だ。

北朝鮮に生まれたマダムは夫と子供達を養うために中国に出稼ぎに来たつもりが、騙されて貧しい農村に売り飛ばされ、そこで中国人の農夫と事実婚状態になる。
しかし貧しさは変わらず、身分証もないため仕事も選べず、生活と仕送りのために脱北ブローカーなどもする。
そんな中、北朝鮮に残した家族が韓国への亡命を計画し、マダム自身も身分証を得るために韓国行きを目指すのだが…

めちゃめちゃ政治的な状況に追い込まれながらも、ただただ家族と共に生きるために、マダムは国々を相手に凄まじい大立ち回りをしてみせる。
苦難や抑圧や障害を乗り越え、信じられないようなタフさでサバイブしていくマダムの姿には、「お前らは生きることの重みを感じているか?」と、檻の中で飼い慣らされた観客たちに訴えかける無言の圧力がある。

そして当初は生き延びることだけを考えているような殺伐としたマダムの表情が、北朝鮮と中国との二つの家族の間で揺れているうちに、次第に女の顔になっていくのが素晴らしい。
国や国同士の争いは簡単には変えられないし変わらないかもしれないが、逞しく生きることで人々の運命は劇的に変えることができる。
そして、その勇気や活力を与えてくれるのは、いつも愛なのだ。
愛に生きる女の顔はやはり美しい。
posted by 井川広太郎 at 10:53| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年06月04日

キミサラズ公開終了

監督作「キミサラズ」下北沢トリウッドでの公開、6/2をもって終了致しました。
ご来場頂いたみなさま、ありがとうございました!

作品公式サイト http://kimisarazu-movie.com/
posted by 井川広太郎 at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2017年05月23日

十年

『十年』(十年 Ten Years/2015年/香港/配給スノーフレイク/108分)



プロデューサー:アンドリュー・チョイ、ン・ガーリョン
監督:クォック・ジョン、ウォン・フェイパン、ジェボンズ・アウ、キウィ・チョウ、ン・ガーリョン

公式サイト http://www.tenyears-movie.com/
2017年7月22日(土)よりK's cinemaほか全国順次公開


この映画が作られた時から十年後の2025年の香港を描くオムニバス映画

ストレートに政治を風刺する五本の短編が並ぶ。
近未来の香港として描かれたディストピアは『華氏451』や『メトロポリス』『未来世紀ブラジル』などを彷彿とさせ、まるで日本のことのようにも感じられ面白い。

もうちょっとエンタメした方が多くの人に受け入れられるのではないかなどと危惧してしまうが、実際この映画は超低予算のインディペンデント映画ながら口コミで劇場に行列が出来るほど話題になり異例のヒット、香港映画界に絶大なインパクトを与えたのだという。
その刺激的かつ的確に庶民の声を代弁してみせる真摯な姿勢が歓迎されたのであろうか、いずれにしろ観客は常に制作者の先を行っているからこそ、いつも新しい作品に飢えている。
あるいは、それは国家や資本の論理でしか動けないメディアへの不信感の表れなのか。

最近の日本ではインディペンデントでありながらまるでメジャー映画のような作品が多く、大学に行きながらもバイトと就活ばかりしている学生のようだ。
メジャーにはメジャーの良さや役割があるからこそ、インディペンデントにしかできなこともある。
日本でも是非、こういう映画を撮ろうという心意気のあるプロデューサーに出てきて欲しい。
posted by 井川広太郎 at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年05月22日

映画「キミサラズ」公開中

映画「キミサラズ」初日舞台挨拶@下北沢トリウッド。左より、プロデューサー兼出演カマチ、監督井川、主演長宗我部陽子さん、出演高川裕也さん 映画「キミサラズ」初日舞台挨拶2回目@下北沢トリウッド。左より、出演川野弘毅さん、プロデューサー兼出演カマチ、監督井川、出演辰巳蒼生さん、出演高橋卓郎さん
俺、痩せなきゃ…!!(^_^;)

監督作「キミサラズ」が下北沢トリウッドにて上映されています。
初日の5/20は出演者などが登壇し舞台挨拶も行われました。
今後もゲストを招いてのトークショーやイベントなども開催されます!
6/2まで上映されているので、この機会に是非ご覧ください。

作品公式サイト http://kimisarazu-movie.com/
posted by 井川広太郎 at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2017年05月19日

キミサラズ明日公開




明日5月20日(土)より、監督作『キミサラズ』(2015年/84分)が下北沢トリウッドにて二週間限定公開されます。
どうぞよろしくお願いいたします。

作品公式サイト http://kimisarazu-movie.com/
posted by 井川広太郎 at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする

2017年05月18日

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(原題 Lo chiamavano Jeeg Robot/2015年/イタリア/配給 ザジフィルムズ/119分)



監督:ガブリエーレ・マイネッティ
製作:ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア、ルカ・マリネッリ、イレニア・パストレッリ

公式サイト http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/
2017年5月、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国


日本のTVアニメ「鋼鉄ジーグ」を下敷きに、偶然にも超人的な力を手に入れたチンピラが、私利私欲ではなく正義のためにその力を使うに至る葛藤をシリアスに描く、クライムムービー調のイタリア版スーパーヒーロー映画

超面白かった!
タイトルがそうであるように、この映画は日本のTVアニメ「鋼鉄ジーグ」を下敷きにしている。
日本のロボットアニメを現代イタリアで実写化なんて、それだけで胸熱!だが、実際、どんな作品なのか観るまでは想像もつかなかった。
これは「アニメの実写映画化」なのか、それともオマージュを捧げていると言うべきなのか、うまく説明はできないが、もし原作となったアニメに自我があるのなら感動のあまりむせび泣いているであろう、これだけ幸福な実写映画化はない。

永井豪が参加していた「鋼鉄ジーグ」は、日本では埋もれてしまった過去のアニメの一つに過ぎないが、イタリアでは放送された当時から熱烈な人気で、いまも絶大な知名度を誇っているとか。
それの「実写化」をとんでもない方法で実現した監督の愛情と熱量がこの作品の素晴らしさの源泉であることは明らかだ。

現代のイタリアで、マフィアの陰でコソコソと小さな犯罪をしているチンピラが主人公。
窃盗も殺人も当たり前なマフィアは組織内でもゴタゴタを繰り返し、その周りをウロチョロしながらおこぼれを拾うようにしてなんとか日々の糧を得ている主人公は、犬以下の扱いを受けている。
人の命は腕時計よりも安く、愛情も夢も希望もない殺伐とした犯罪者たちの最低で下衆な日々が延々と描かれる。

それがイタリアならではのコントラストの強い映像と話法でなんとも印象的に描かれ、見ているだけで胸がえぐられるように辛い。
自分が過去に犯した罪や罰や怒りや悲しみといった負の感情を掘り起こされるようで、忘れてしまった痛みや記憶が蘇り心がジクジクしてメッチャ胸糞悪い。

そんなある日、主人公のチンピラが偶然、超人的な力を得る。
するとどうだろう、めちゃめちゃパワーがあるし、怪我してもすぐ治るし、なにこれ超すごい!
そうしたら、やることは当然、レッツ犯罪行為!
ATMをコンクリートの壁をぶっ壊して丸ごと盗み出し、現金輸送車を一人で襲って金を得る。
ちょっと待て!確かにスーパーパワーを得て直ぐに世のため人のためなんて胡散臭いが、かといって絶賛犯罪行為って幾ら何でもクズすぎて…その力をもうちょいマシなことに使えないのか!

だが彼には家族も友人も仲間もおらず、言葉を交わす相手すらいない。
ただただその日暮らしで、獣のように日々の糧を得るために生きてきたのだから、当然っちゃ当然の行動である。
だから彼は、ありあまる金を得ても飯を食う事ぐらいしかやる事がなく、後はポルノビデオを見ながら好きなヨーグルトにありつけば大満足なのである。

だが、あまりにも傍若無人な彼の犯罪行為は目立ち、話題になり、その結果、マフィアたちのパワーバランスも崩れていく。
そのゴタゴタの中で、庇護者を失った女が主人公の家に転がり込んでくるのだが、この女がまるで「ベティ・ブルー」のベアトリス・ダル。
とんでもなく美人なのに知性は子供のような白痴気味で、無防備にひけらかされる豊満な肉体がエロティックであり、どうしようもなく感情的なメンヘラがゆえに男たるもの惹かれずにはいられない。
とはいえ人付き合いが苦手な主人公は嫌々保護するのだが、そんな彼女がなんと古いアニメ「鋼鉄ジーグ」の大ファンで、いつもDVDを見ている。
そして彼女にとっては命の恩人でありヒーローである主人公を、勝手に「鋼鉄ジーグ」に重ねていき、正義のために戦うんだと囁く。
どうやったらこの女をヤレるのかしか考えていない主人公はそんな言葉には耳を貸さないのだが、そんな彼らも否応なくマフィアの抗争に巻き込まれていく…

「子供向けのアニメ」が何を描き、何を残すことができるのか、その答えの一つがここには描かれている。
子供のような純粋な心だからこそストレートに受け止め、そして強く魂に残る。
子供の頃に好きだったアニメの歌を大人になってからも覚えている、誰もがそんな経験はあるだろう。
それが何を意味するのか、そこから何を生み出すべきなのか、この映画はその理想を描いている。

だが甘っちょろさはかけらもなく、イタリアのダークな犯罪映画の中に描くという発想が秀逸である。
自分ことしか考えていないほんまもんの犯罪者が、愛を知り、人のために力を使おうと心変わりしていく描写が素晴らしい。
正義として描かれた正義には正義はないが、悪の中から生まれた正義には純粋な正義を感じる。
ヒースレジャー版ジョーカーへのオマージュもあるのでクリストファー・ノーランの「ダークナイト」も意識しているわけだが、個人的にはダークナイトより遥かに好きだなあ。

クライマックス、ハリウッドメソッド的になっていく中で、どうしても陳腐に退屈になってしまう。それは仕方ない。
それは仕方ないが、さらにその先、ラストのラストに「鋼鉄ジーグ」愛を炸裂させて、スカッとさせてくれる。
その発想はなかった!そうか、そうだったのか!
原作への強い愛があればこそ、ここまで出来るんだぜ!と、高らかに雄叫びをあげてみせる情けない中年男の背中に拍手喝采。
ロボットアニメの実写映画化の金字塔である。
posted by 井川広太郎 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | REVIEW | 更新情報をチェックする

2017年05月15日

『キミサラズ』トークイベント決定!

5/24(水)19:00の回上映後
太田美喜子さん(中村屋サロン美術館学芸員)×カマチプロデューサー
5/25(木)19:00の回上映後
市井昌秀さん(映画監督)×井川広太郎監督
5/28(日)13:00の回上映後
山本哲平さん(奥地秀太役)×カマチプロデューサー
※該当回をご覧のお客様がご参加頂けます。
※ゲストは予告なく変更する場合がございますので予めご了承下さい。
ぜひご来場ください!


5月20日から下北沢トリウッドで公開される監督作「キミサラズ」のトークイベントのスケジュールが発表されました。
私は先に発表された初日のほか、5月25日に登壇してゲストに映画監督の市井昌秀さんをお招きします。

佐藤勝利さん(Sexy Zone)と橋本環奈さんが主演した「ハルチカ」、中島裕翔さん(Hey! Say! JUMP)と新木優子さんが主演した「僕らのごはんは明日で待ってる」と今年に入って2作品が公開され、乗りに乗ってる市井さん。
実は私はいまから11年前、2016年にバンクーバー国際映画祭で市井さんとご一緒しました。
市井さんは「隼」、私は「東京失格」とぞれぞれ初の長編監督作で訪れた国際映画祭で、同い年ということもあって仲良くしていただき、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。

そんな”同期”である市井さんと舞台上でトークするのは初めてなので、私自身、とても楽しみにしております!
是非、この機会にご来場ください!
posted by 井川広太郎 at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | lost in blog | 更新情報をチェックする